お見合いに代理出席したら花嫁になっちゃいました

ゆきりん(安室 雪)

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 部屋を出た一条の奥さんは、今度こそ真理亜さんの部屋に入って行った。部屋の主の真理亜さんはいない。

 真理亜さんのベッドに奥さんが座ったので、綾美はドレッサーの前にある椅子を持って来て、奥さんの近くに座る。

「綾美さん・・・、何から話していいのかわからないわ・・・」

 ボソリと奥さんが呟く。

「話せる所からで大丈夫です。ハーブティを用意してもらいますね?」

 一旦部屋から出て、お手伝いさんにカモミールのハーブティを願いして部屋に戻る。ドアを開けた瞬間、奥さんは一瞬明るい顔をするがすぐに暗い顔に戻り、瞳には薄っすらと涙を浮かべる。そして、お手伝いさんが運んでくれたハーブティには手を付けず、重い口を開いた。

 昨日の午前中、真理亜さんは友達とランチの約束をしていた為、11時にタクシーでココを出た。いつも使うタクシー会社だと言う。待ち合わせの時間は12時、充分間に合うはずだ。しかし、12時半に待ち合わせの友達から家に電話が入る。『真理亜さんが来ないけれど、体調が悪いのでしょうか』と。真理亜さんは勿論スマホを持っているが、何度かけても出ない為、家にかけてみたそうだ。高校からの友達で、親同士も繋がりがある為、お互いに家の電話番号も知っていた。既に真理亜さんは出かけたので『おかしい、何かに巻き込まれた可能性もある』と判断した奥さんは、旦那さんに連絡をとり、警察に事情を話し、まずはタクシー会社に確認した。すると驚く事になっていたのだ。

 タクシー強盗にあい、タクシーと乗っていた社員の制服が奪われ、下着姿で社員は気を失い怪我をして道端に転がっていたらしい。犬の散歩をしていた人が発見し、救急車と警察が呼ばれた。その矢先、真理亜さんの件で別の警察がタクシー会社に問い合わせ、真理亜誘拐事件に発展したのだ。

「えっ、じゃあもうすぐ丸1日じゃないですか?何か情報はないのですか?」

 綾美が問いかけると、奥さんはゆっくり首を振る。何か連絡が来た時の為に警察には屋敷に来てもらっているが、まだ連絡はないようだ。その時、廊下が騒がしくなり、真理亜の部屋がノックされ返事を待たずに扉が開けられる。

「犯人からの入電ですっ!」

 
 
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