お見合いに代理出席したら花嫁になっちゃいました

ゆきりん(安室 雪)

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 案内されて着いた部屋は広い座敷だった。そこには既に沢山の人が座っており、綾美と真理亜が室内に入ると、途端に蜂の巣を突いたように騒然となった。

 「真理亜さんが2人!?」

 「どう言う事だ!?」

 「どっちが真理亜さんだ?」

 等々。

 上座に座っていた背筋をピンと伸ばした老婆が『パシッ』と扇を打ち付けると室内は水を打ったかの様に静かになる。

 「話しは聞いておる、その娘に代理をさせると?」

 低いしわがれた声が響く。

 「まだ、詳しくは話していませんがお願いするつもりです」

 一条パパが答える。

 「うむ、見た目だけなら誤魔化せるであろうが・・・、さて。どうしたものかの?まあ良い。別室で話して、この話を受けるかどうかはその者の判断に委ねよう。下がれ」

 「はっ!!」

 一条パパの話が終わり、私達の一行は別室に移動させられた。そこは先程とは全く違う洋室でアンティークなティールームだった。明治時代にタイムスリップしたみたいだ。

 「せっかくの旅行中に申し訳ないね、涼くん、綾美さん」

 「とりあえず、一条さん。説明をお願いできますか?」

 一条パパの言葉に涼がたずねる。

 「ああ、実はーーー」

 一条パパが話し始めるが、要約するとこんな話だ。

 毎年この時期に、一条本家主催の関連会社の懇親会が京都の有名ホテルで開かれる。しかし、数年前から真理亜の控え室に白い菊の花束が送られて来るようになった。その花束の菊の花が部分が切り取られ始め、今年は東京と一条本家に全部の花が無く、茎と葉のみが黒いリボンで括られて送られて来たと言う。

 明日が懇親会当日だと言う。

 出来れば明日は真理亜さんを安全な場所で保護し、綾美に代役を頼みたいとの事だ。

 「それじゃ、綾美がかなり危険じゃないかっ!!」

 涼さんが怒る。

 「う~ん、危険だけど真理亜さんを危険な目に合わせるよりはいいかも?」

 「ちょっ、綾美っ!!」

 涼さんが慌てて声を荒げる。

 「もちろん会場には警察も配備予定だ。しかし、先日の真理亜誘拐の際、綾美さんの護身術は素晴らしかったと警察関係者に聞いている。どうかお願い出来ないだろうか?一条家の娘としての役目なんだ。もちろん今年で犯人を突き止めようと警察もかなり動いてくれている。頼むっ、綾美さんっ!!」

 だんだん一条パパが必死になってきた。

 「あ~、はい。まあ、警察の方もいるならお受けします。但し、必ず今年犯人を捕まえて下さい。来年は協力しません」

 本来の一条家の娘として、会社の今後に繋がるのであれば今回解決してもらうのが1番だ。その意味も込めて、この依頼は一度だけとした。




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