お見合いに代理出席したら花嫁になっちゃいました

ゆきりん(安室 雪)

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 レストランを出て、先に綾美と涼がエレベーターに向かい通路を歩いている時だった。綾美の向かいから来た女性が肩に下げたバッグに手を入れた。綾美は注意深く、周りと共にその女性の動きも観察していた為、素早く動く事が出来た。

 バッグから外に出た手には銀色のナイフが握られていた。

 咄嗟に涼をつき飛ばし、綾美から距離をとった。

 「あ?まり・・・うぐっ」

 フラつきながら涼は壁に当たってしまったみたいだ。しかし、その間に女性は綾美に向かってナイフを握りしめたまま、突進してくる。避けるのは簡単だが、後ろには一条パパ・ママがいる。まかり間違って怪我をさせる訳にはいかない。この場で綾美と真理亜が入れ違っているのをしらないのは、この突進女性だけだ。綾美の心は決まった。

 ギリギリで女性を避け、肩辺りに蹴りを入れる。いや、男だったらお腹に蹴りだけど、女性のお腹は大事だからねぇ?勢いよく飛んで行った女性に近づき、うつ伏せになっているから背中を踏みつける。

 「あ、真理亜っ!手加減しろよっ!」

 涼の言葉に、ハッとする。そうだ、以前グリグリ踏んだら穴が空いたって言われたっけ?じゃあ、グリグリせずに踏むだけで。

 「真理亜っ!!あんたなんて死ぬばいいっ!そうすれば涼さんだって、私を見てくれるわっ!そうでしょ、涼さんっ!!」

 女性は踏まれながらも必死で涼を見ている。

 「・・・、知り合い?」

 「いや、見覚えない」

 涼は不審な眼差しだ。

 「嘘よっ!私が付き合って欲しいって言ったら『真理亜に憧れてるから』って言ったじゃないっ!その女さえ消えれば問題ないでしょ!?」

 まだ色々喚いているが。

 「涼さん?どういう事かしら?」

 真理亜凄みバージョンて聞いてみる。勿論、まだ踏んだままだ。

 「あ~、多分、中学か高校あたりか?言い寄って来る女が面倒で、真理亜を女避けに使ってた」

 涼が目を泳がせながら答える。

 「あ~ら、そう。色々聞く事がありそうね?お父様、お母様、行きましょう?」

 踏んでいた女性は護衛が引っ張っていき、私は涼の耳を引っ張りエレベーターに乗せる。



  綾美達の部屋に着くと、すぐにさっきの女性が菊花の犯人だと、一条パパの携帯に連絡が来た。

 「で、涼?ど~ゆ~事よっ?原因はあなたって事よね?真理亜さん、今までずっとイヤな思いしてきたのに、『女避け』ですって!?真理亜さんにキチンと謝罪してよね?」

 怒れてくるっ!

 「まあまあ、綾美さん。まだ子供だった頃の話だ」

 「そうよね?真理亜も犯人が捕まれば気にしないと思うわよ?あ、そうだわ。明日は真理亜も交えて5人でランチしましょうよ。ねっ?」

 と、真理亜ママは場の雰囲気を変えようとしてくれる。

 「じゃあ、真理亜さんの好きなフカヒレスペシャルコースを涼の奢りで」

 中華のお店もこのホテルにはあったから、スペシャルメニューも作ってくれる筈だ。




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