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 ミーシャはヨロヨロしながら医務室に向かうが、室内は誰もいなかった。とりあえず横になりたかったので、ガラガラに空いているベッドのうち、1番端っこのベッドに寝そべった。目を閉じると泥に沈むみたいに一気に眠りに落ちた。

 「私は気分が悪いのよっ!平民と同じ部屋でなんか寝られないわっ!」

 気分が悪いと言いながら、元気よく怒り散らしている貴族令嬢(絶対)の声が頭に響いてくる。

 「医務室に平民も貴族もありません。体調が悪い方が休まれる場所です。騒ぐなら出て行ってください」

 凛とした女性の声が響く。

 「なんなのよアンタっ、私に意見するつもり?クビにするわよっ!?」

 「私はあなたに雇われている訳ではありません」

 「くっ!!」
 
 貴族令嬢が言葉に詰まる。

 「あの・・・、私少しは良くなりましたので、仕事は無理ですが自分の部屋で休みます」

 「あら、大丈夫かしら?誰かに送らせましょうか?」

 「いえ、皆さん今日は忙しいと思うので1人で戻ります。失礼します」

 「そう、気をつけてね」

 医師は声をかけてくれるが、

 「さっさと部屋に帰ればいいのよ」

 と、悪意のこもった声も聞こえてきた。

 ミーシャはフラフラしながらいつもの倍以上の時間をかけ、ゆっくりと自分の部屋に帰っていった。




 翌朝。

 昨日の不調が嘘のように、いつもの体調に戻っていた。昨夜は夕食を食べれなかったので、朝からいっぱい食べていると、サリナに驚かれる。

 「昨日はあんなに真っ青な顔だったのに。でもまあ、治って良かったわね。風邪の引きかけだったのかな?」

 「私にもよくわからないわ。医務室でひたすら寝て、自分の部屋でもひたすら寝て。朝起きたら治ってたの。そう言えば、昨日医務室で凄い貴族令嬢に会ったよ。『平民と同じ部屋で寝られない』って、元気に叫んでて。何がしたかったんだろうね?」

 「なんだろうね?私達はそう言う部類じゃ無いからわからないわ」

 「そうね」

 朝食を食べ終わり、食器を片付けのんびりと掃除の持ち場に向かった。舞踏会兼婚約発表の会場とは違う場所なので、大して汚れてもおらずいつも通り掃除をしていった。



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