花笑みの庭で

ゆきりん(安室 雪)

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 会議室から出た彩音は、アヤトの跡を追って昨日のスタジオに入る。

 ミキシングルームの椅子アヤトは居て、彩音に横に座る様に言う。

 「今日はどんな風に歌うか、決めようと思って。昨日の感じで大体はいいんだけど。細かい所とか。で、3日で彩音CMバージョン、残り3日でスノスタバージョン録るから。CMバージョンはー・・・」

 アヤトか楽譜を見ながら的確に指示を出し、その都度彩音に歌わせ、納得がいったら次に進む。

 そんな作業を3時間した頃、やっと一曲分の確認が終わった。

 「今日はここまでにして、明日は昼からこのスタジオで。
 メシ食おう、今日は夜ゆっくり復習しといて。明日はひたすら歌ってもらうから」

 ニヤリと笑ったアヤトに彩音は顔面引きつりながら

「はい」

 と答える以外選択肢があるだろうか。


 食堂で晩御飯を食べ、アヤトと一緒に部屋に戻る。

 何故か部屋には明かりが点いていた。

 「彩音ちゃん、お帰り~。必要そうな物、一応持ってきたから頑張ってね~。じゃあ、急ぐからまたね~っ。アヤト、よろしくね~」

 バタバタと母・美緒子は部屋を出て行ってしまった。

 おいっ、年頃の娘を独身男性の家に置き去りにしていいのか、母親よ。彩音は心の中で呟く。

 リビングでさっきアヤトと打ち合わせた歌をぶつぶつ呟く。ローテーブルに楽譜を置き、床に三角座りの状態だ。彩音は考え事する時にはいつもこの姿勢になる。

 同じ所でグルグル歌い方を考えていた彩音は、アヤトが彩音の後ろにあるソファーに座った事に気がつかない。突然後ろから左耳に

 「そこはこう歌えばいい」

 とアヤトが歌い始める。

 生歌・生アヤト・左耳直撃・吐息つき

「ひゃ?!」

 ビックリした彩音はローテーブルを膝蹴りしてしまった。

「う~っ、痛ぃ~」

「大丈夫か?」

 アヤトもビックリした様だ。

「ああ、これは青痣になるな。風呂入ったら湿布はらなきゃな。先に風呂使え」

 促されお風呂に行く。出てくるとアヤトの姿は無かった。?お出かけ?と思ってたら帰ってきた。どうやら湿布を買って来てくれたみたいだ。彩音に湿布を貼り終わるとアヤトもお風呂に行った。

 さっきのアヤトの歌声、凄く素敵だったなぁ。独り占めしてしまった。思わず顔がニヤついてしまう。はっ、いかんいかん、歌自分で歌える様にしなきゃ。

 「彩音、寝るぞ」
 
 お風呂上がりに声をかけられる。

 がっ!

 上半身裸っ!

 視線に困るっ。

「お、おやすみなさいっ」

 しどろもどろになってしまった。

「彩音も一緒に寝るんだよ?」  

 はい?

 「昼間も一緒に寝たでしょ、ベッド1つしか無いから」

 はっ、確かに昼間起きたら一緒に寝てたけど、でもでもっ

 「私、ソファーで寝ますっ」

 「何言ってるんだ、風邪引くし体痛くなるだろ」

「いや、でも~」

 ゴネる彩音をフワリとお姫様抱っこしてベッドに向かう。

 無理っ、無理っ!

 何このシュチュエーション!

 そっとベッドの奥に横たえられ、その横にアヤトは横になり布団をかぶせ、おやすみと頭をパフパフされる。



すぐにアヤトからは寝息が聞こえて来たけど、私は全然眠れませんっ。

 
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