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セイラは温泉から出てバスローブを着て、降って来た白いネコ(?)をタオルで拭き乾かす。身動き1つしないネコに両手を翳すと、セイラの手から白い光がほんわりと光る。その光がネコ全体を包み込み数秒後、ネコがピクリと動いた。
「う、動いた」
いつからいたのかデュークが呟いた。
そしてネコは起き上がり、
「あ~、死ぬかと思ったわい」
と呟いたのだ。
「・・・、ネコが喋った?」
思わずデュークと顔を見合わせる。
「わしは精霊じゃ、ネコではない。ところで、ミルクくれるかの?コップで」
精霊はミルクを催促してきた。
セイラとデュークは目の前の光景を唖然と見つめている。精霊は両足を投げ出して座り、両手でコップを挟んでミルクを飲んでいるのだ。
「あの~、何と呼べばいいのかな?」
「ネコ以外好きに呼べ。命の恩人じゃからな」
う~ん、白くてフワフワで丸っこい。しかもネコは不可。
「ウサギ?かな」
「ぶふっ!!」
デュークは隣で吹き出した。
「あ、いや。普通は動物名じゃなくて、例えばシロとかモコとか・・・」
デュークはモゴモゴと言う。
「ふむ。ネコ以外と言ったからな。ウサギで良い。シロなんてダサいだろ?」
デューク案を拒否し、ウサギに決まった。
「じゃあ、ウサギね。私はセイラでこっちはデュークよ。よろしくね?あ、でもあなたの住処に帰るわよね」
話している途中でウサギはピンク色の淡い光に包まれた。
「セイラは我と契約した。離れる事はない」
セイラの膝にピョンと乗ってきた。
「うふっ。可愛いわ」
思わずウサギをモフモフと撫で回す。
「セイラが精霊と契約・・・」
「我は豊穣の精霊じゃ。何を育てても大豊作となる」
「まあ、ありがとう。ウサギっ!!」
可愛いモフモフ精霊に恵まれ、嬉しい!!
翌日、朝から温泉を楽しむ。
実はウサギも温泉は好きらしいので、溺れない様に木の桶にお湯を入れその中に入れてあげる。ちなみに桶はセイラが入っている温泉の上をゆらゆらと浮かんでいる。2人仲良く温泉に浸かっていると、デジャブが起こる。朝陽を楽しんでいる2人の湯船に、空から何かが
『ドボンッ!!』
と飛び込んで来た。
「キャアッ!!」
またもや悲鳴を上げてしまう。すると扉の外から
「セイラっ、悲鳴が聞こえて来ましたが大丈夫ですかっ!?」
と声がかかる。
うんうん、学習したね。
扉は開けちゃダメだよ?
「何か茶色いのが降ってきたの・・・。ウサギのお友達かしら?」
「友達では無いが、顔見知りではある。引き上げてやってくれ」
茶色いのを引き上げてウサギの桶に一緒に入れ、お風呂から上がる事にした。
「う、動いた」
いつからいたのかデュークが呟いた。
そしてネコは起き上がり、
「あ~、死ぬかと思ったわい」
と呟いたのだ。
「・・・、ネコが喋った?」
思わずデュークと顔を見合わせる。
「わしは精霊じゃ、ネコではない。ところで、ミルクくれるかの?コップで」
精霊はミルクを催促してきた。
セイラとデュークは目の前の光景を唖然と見つめている。精霊は両足を投げ出して座り、両手でコップを挟んでミルクを飲んでいるのだ。
「あの~、何と呼べばいいのかな?」
「ネコ以外好きに呼べ。命の恩人じゃからな」
う~ん、白くてフワフワで丸っこい。しかもネコは不可。
「ウサギ?かな」
「ぶふっ!!」
デュークは隣で吹き出した。
「あ、いや。普通は動物名じゃなくて、例えばシロとかモコとか・・・」
デュークはモゴモゴと言う。
「ふむ。ネコ以外と言ったからな。ウサギで良い。シロなんてダサいだろ?」
デューク案を拒否し、ウサギに決まった。
「じゃあ、ウサギね。私はセイラでこっちはデュークよ。よろしくね?あ、でもあなたの住処に帰るわよね」
話している途中でウサギはピンク色の淡い光に包まれた。
「セイラは我と契約した。離れる事はない」
セイラの膝にピョンと乗ってきた。
「うふっ。可愛いわ」
思わずウサギをモフモフと撫で回す。
「セイラが精霊と契約・・・」
「我は豊穣の精霊じゃ。何を育てても大豊作となる」
「まあ、ありがとう。ウサギっ!!」
可愛いモフモフ精霊に恵まれ、嬉しい!!
翌日、朝から温泉を楽しむ。
実はウサギも温泉は好きらしいので、溺れない様に木の桶にお湯を入れその中に入れてあげる。ちなみに桶はセイラが入っている温泉の上をゆらゆらと浮かんでいる。2人仲良く温泉に浸かっていると、デジャブが起こる。朝陽を楽しんでいる2人の湯船に、空から何かが
『ドボンッ!!』
と飛び込んで来た。
「キャアッ!!」
またもや悲鳴を上げてしまう。すると扉の外から
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と声がかかる。
うんうん、学習したね。
扉は開けちゃダメだよ?
「何か茶色いのが降ってきたの・・・。ウサギのお友達かしら?」
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