裏腹少女

トランクス

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8.敵意と悪意

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「ねぇ、部屋から漫画持っていかなかった?」

「え?」

 週末の夜、リビングで家族に話しかける。ソファに寝転がってテレビを見ていた妹に。

「も、持ってってないよ」

「あれ? おかしいな…」

「どうかしたの?」

「1冊だけ間が抜けてる」

 両親は既に就寝済みで、華恋さんは入浴中。明日が日曜日という事でいつも以上にだらけた気分に浸っていた。

「どこかに置いたまま忘れちゃったとか?」

「自分の部屋でしか読まないから無くすハズがないんだよ。やっぱり香織が持っていったんじゃないの?」

「だから違うってば。私じゃないもん」

「なら部屋を探索してきて良い?」

「ダメーーッ!! だめだめ駄目ぇ!!」

「うわっ!?」

 彼女が喚きながら飛びかかってくる。持っていた雑誌を投げ捨てて。

「どうしたんですか?」

「あ…」

 言い争いを繰り広げているとバスルームからパジャマ姿の女の子が登場。風呂上がりの華恋さんが声をかけてきた。

「聞いてくださいよ、華恋さん。まーくんが濡れ衣を着せてくるんですよぉ」

「濡れ衣って…」

「私が部屋の漫画持っていったって。そんな事してないのに」

 方向転換した香織が彼女に泣きつく。最近は困った事があるといつもこう。同居人を自分の味方に引き込んでいた。

「あはは、それは大変ですねぇ」

「華恋さんからも何か言ってくださいよ~」

「大丈夫ですよ、雅人さんも本気で疑ったりなんかしてませんから。ね? 雅人さん」

「え? ま、まぁね」

 同意を求められ反射的に頷いてしまう。目を逸らしながら。

「……はぁ」

 このままここにいるのは居心地が悪い。溜め息をついて廊下へと移動した。

「あれ? 戻っちゃうの?」

「ん。漫画探してくる」

「私の部屋に入らないでよ~」

「はいはい、承知しましたぁ」

 最近この2人は本当に仲が良い。疎外感を感じてしまう程に。年下に懐かれる状況に華恋さんもまんざらでもない様子。いつの間にか女2人のチームが作られていた。


「ん、んん?」

 自室に戻って本棚を確認する。だがやはり1冊だけ足りない。

「絶対持っていったって、これ…」

 盗人みたいな真似しなくても言えば貸してあげるのに。なぜ無断で部屋に忍び込んだりするのか。

 不信感を抱きながら続けて体を壁に密着。そのまま本棚の裏の隙間を覗き見た。

「……こっちは大丈夫かな」

 もし発見されてたとしたら色々とマズい。やはりドアに付ける鍵を増やすべきか。今のロックはコツさえ掴めば外側からでも解除が可能だから。

 しかしそんな事をしたら怪しまれるのは確実。部屋に隠し事があると暴露しているも同然だった。

「お?」

 脳内作戦会議を開いている途中、机の上に置いていたケータイが鳴り出す。確認すると階下にいる人物からメッセージが届いていた。

「えぇ…」

 その内容が部屋へ訪問する為の許可を問うもの。目的は不明だが、どうやら用事があるらしい。

「しょうがないな…」

 返事を返して待つ事5分。外からドアを優しくノックする音が聞こえてきた。

「入っても良い?」

「良いけど……何の用?」

「随分な言い方ね。私はここに来ちゃいけないのかしら」

「……別にそんな事はないけどさ」

 対面早々に睨み合いを開始する。数分前に穏やかな会話をしていたとは思えない雰囲気で。

 疑いながらも客人の部屋への進入を認可。彼女は促すより先に椅子へと座り込んだ。

「で、何の用?」

「アンタ、明日ヒマ?」

「え? 何、急に?」

「質問してるのはこっち。暇かって聞いてんのよ」

 問い掛けに対して更に問い掛けが返ってくる。威圧感満載の態度が。

「暇……だけどさ。どうしてそんな事聞いてくるの?」

「ふ~ん、なら良かった。私、明日出掛けるからアンタ付き合ってよ」

「はぁ?」

「良いでしょ。予定ないんだし」

「いやいや、出掛けたいなら1人で行ってくれば良いじゃないか」

「……ったく、もう」

 彼女が視線を逸らしながら舌打ち。不機嫌な面を浮かべると徐に口を開いた。

「あのね、私はこの家に居候させてもらってる身なの。普通なら進んで手伝いとかしなくちゃいけないわけ」

「は、はぁ…」

「それなのに休みの日に遊びに行って来ますなんて真似、出来るわけないでしょ!」

「なるほど…」

 指摘されて気付いたが確かにその通り。家族だと思っていた彼女はまだ気を遣って生活していた。

「ちなみに出掛けるってどこへ?」

「……コスプレイベント」

「はい?」

「だからコスイベントに行くって言ってんのよ。何回も言わせんなっ!」

「ど、怒鳴らなくても。何て言ったか分からなかったから聞き直しただけなのに」

「ふんっ…」

 聞き慣れない言葉が耳に入ってくる。意味を尋ねたが速攻で怒鳴られてしまった。

「なら余計1人で行って来たら良いじゃないか。僕が付いて行っても楽しくないよ?」

「それが出来るなら、こうしてアンタに頭下げてお願いとかしてないし」

「誰が頭下げてるって?」

「……殴られたいの、アンタ」

「い、いえ…」

 物凄い剣幕で睨みつけられる。女の子とは思えない表情で。

「私が1人で出掛ける訳には行かないでしょ。だからアンタの方から私を連れ出したって事にしてほしいのよ」

「えぇ……嫌だよ、そんなの」

「なんでよ? どうせ暇なんでしょ、明日」

「それだと僕が君に夢中みたいに思われちゃうじゃないか。こっちが困る」

「あぁ、なるほど」

 ただでさえ香織に『華恋さんに惚れた』と勘違いされているというのに。自分の方から彼女を誘ったとなれば益々その誤解が進んでしまうハズだ。

「そっちは良いの? 僕と2人っきりで出掛ける事に不満とか」

「あるわよ。そんなの無い訳ないじゃない」

「……あのさ、なら出掛けるのやめようよ」

「嫌よ、ずっと楽しみにしてたんだから。絶対に行くもん」

「えぇ…」

 一歩も怯まない展開が続く。いたちごっこのような堂々巡りのような口論が。

 2人で出掛ける事になってでもイベントには行きたいらしい。そして2人で出掛ける事になってでも体裁は守りたいらしい。

「ちなみに断ったらどうするの?」

「そうねぇ……私が服をビリビリに破かれた状態でおじさん達に泣きついたら2人はどんな反応をするかしら」

「やめてくれよ、そういうのっ!」

 彼女がシャツの襟元を捲って肩を露出。羞恥心が無いのかブラの紐を見せつけてきた。

「はぁ、仕方ないなぁ…」

「え、何? 協力してくれる気になったの?」

「どうせやる事ないから構わないよ。それで具体的にはどうすれば良いわけ? ただ付いて行けばいいの?」

「やった。じゃあアンタさ、キャリーバッグ持ってない?」

「キャリーバッグ?」

 話を聞くと衣装を運ぶのに使うとの事。荷物がかさばるから大きめのバッグが必要なんだとか。

「僕は持ってないけど香織が持ってたハズ」

「そうなの? う~ん……どうしようかしら」

「借りてこようか? 言えば貸してくれると思うけど」

「ちょっと待った!」

「ん?」

 ベッドに手を突いて立ちあがる。そのまま部屋を出ようとしたが呼び止められてしまった。

「借りてくる時の言い訳は考えてあるの?」

「言い訳?」

「旅行に行く訳でもないのにキャリー借りるなんて変でしょ。あの子に何か変な勘違いでもされたら困るわ」

「いくらなんでもそれは考えすぎじゃ…」

 旅行鞄を借りただけでそこまで疑われるだろうか。そもそもうちの妹はあまり頭が良くないから何も言わずに貸し出してくれる気がする。

「ならどうするのさ。君はバッグ持ってないの?」

「小さめのならあるんだけどね。ステッキが入らないのよ、あのバッグ」

「ステッキ?」

 耳に入ってきたキーワードにある光景を想起。彼女の趣味を知ってしまった日の出来事を思い出した。

「う~ん、どうしてもキャリー欲しいなぁ」

「やっぱり借りて来るよ。もし何か言われたとしても漫画を売りに行くのに使うって言っておくからさ」

「そ、そう。ならそうしてくれるかしら」

「他には必要な物ないの?」

 その後も明日の予定についての打ち合わせを展開。出発時刻や、電車の乗り換えについてを話し合った。

「とりあえず9時出発ね」

「えぇ……ちょっと早くない? 昼過ぎとかじゃダメなの?」

「ダメに決まってるでしょ。せっかく行くんだから少しでもたくさん楽しみたいの」

「……はぁ」

 週に一度の日曜日だというのに。なぜ興味もないイベントの為に早起きしなくてはならないのか。

「じゃあ私は明日の準備してくるわ。キャリーは朝、部屋に持って来て」

「ん、了解」

「そうそう、アンタの漫画借りて読んだわよ」

「へ?」

「結構面白かったわ」

 彼女が部屋のドアを開けて出て行く。最後に意味深な台詞だけを残して。その言葉に脳内の思考が一瞬停止した。

「こらあぁぁーーっ!!」

 腹の底から叫ぶ。不満を全力で発散した。



「ふぁ~あ…」

 そして翌日、休みの日だというのに朝の8時に起床。いつもだったらまだベッドの上で夢の中。日曜日に早起きしたのはマラソン大会以来だった。

「よいしょっ、と」

 予め香織から借りておいたキャリーバッグを持って階段を下りる。彼女には昨夜『疑ってすいません』と謝っておいた。

「こっちこっち」

「あ、うん」

 一階へとやって来ると手招きしている華恋さんを見つける。就寝中の家族を起こさないよう小声で会話を開始。誘導に従い速やかに客間へと進入した。

「サンキュー。助かっちゃった」

「荷物ってどれぐらいあるの?」

「途中で着替える予定だから2着分。あとステッキとティアラも持って行きたいから」

「へぇ」

 部屋を見回すと綺麗に折り畳まれたカラフルな衣装を発見する。今日着ると思われるコスプレ衣装を。

「会場で着替えるの?」

「そうよ~」

「着替えってどこでやるの? トイレの個室?」

「アンタ、馬鹿ね。皆がトイレ使ったら混雑しちゃうでしょうが」

「……そりゃまぁ」

 どうやら参加者用にちゃんとした更衣室が用意されているらしい。荷物もロッカーに預けておけるんだとか。言葉を交わしながら彼女が持って行く手荷物をバッグに詰め込み始めた。

「全部入りそう?」

「大丈夫。それよりあっち向いててくれる? 着替えとか見られるの嫌なんだけど」

「いやいや、ただの衣装じゃないか」

「それでもよ。終わるまで外に出てなさい!」

「ちょっ…」

 作業中の手を止めて背中を押してくる。パワフルな張り手により強引に部屋から追放。

「はぁ…」

 無理やり付き合わせてきたり突っぱねてきたり。意味が分からない。仕方ないので一足先に玄関で待機する事にした。

「お待たせ」

「もう終わったの?」

「うん。じゃあ出発するわよ。早く会場行かないと」

「よっこいしょ…」

「ジジくさいわねぇ。アンタ、歳いくつよ」

「君と同い年」

 リビングにいた両親に挨拶すると2人で家を出る。まだ寝ている妹には『華恋さんを連れてクラスメートと遊びに行ってくる』と連絡。

 外に出ると広々とした青空が存在していた。見事というしかない快晴が。

「この音うるさいよ。結構響く」

「仕方ないでしょ、キャリーバッグってこういうもんなんだから。代わりにアンタが持ってくれるの?」

「いや、重たいからちょっと……それより何でサングラスしてるの?」

「ん、これ? 万が一知り合いに見つかったりしたら困るでしょ。カモフラージュよ、カモフラージュ」

「……なるほど」

 こんなアイテムで素顔をごまかせるものなのだろうか。どこかの組織に所属している女スパイに見えなくもない。

 それからいつもよりものんびりとしたペースで地元の街を移動。駅に着くと電車に乗ってイベントが行われる会場を目指した。

「どれぐらいで着くの?」

「ん~、1時間弱くらいかな」

「そう」

 日曜日なので車内は混雑気味。仕方ないのでドア付近に2人で並んで立つ事にした。

「そういや部屋に勝手に入らないでくれよ」

「はぁ? 何よ、急に」

「漫画持ってったじゃないか。昨日」

「良いじゃない、借りるぐらい。減るもんじゃあるまいし」

「いや、そういう問題じゃなくてさ…」

 彼女が黙って持っていったせいで部屋中を捜索。しかも無実の妹まで疑ってしまった。

「無断で部屋に侵入した事を怒ってるんだよ。人の部屋に勝手に入らないで!」

「わ、悪かったわよ」

「分かれば良いんだけどさ」

「ごめんなさい…」

 悪態をついてくるかと思っていたが予想に反して素直に頭を下げてくる。口論する気満々だったから拍子抜け。

「……うっ、うぅ」

「ちょ…」

「うぁっ、あぁあ…」

「やめようって…」

 油断していると彼女が口元に手を当てた。震える声で喋りながら。

「ごめん、なさい…」

「……やめて」

「悪気は無かったんです…」

「やめてってば」

「うぅ、あぁあ…」

「嘘泣きって分かってるから!」

「……ちっ」

 すぐさまその芝居を指摘する。言葉に反応して手が顔から離脱。予想通り両目からは少しも涙なんか流れてはいなかった。

「あ~あ、泣けばごまかせるかと思ったんだけどなぁ」

「えぇ…」

 堂々としたその態度に呆れてしまう。怒りすら消え去ってしまうレベルで。

 不信感を抱きつつも電車に乗って移動を続行。途中で地下鉄に乗り換えたりしてどうにか目的の駅へと到着する事が出来た。

「着いたーーっ!!」

 改札をくぐった瞬間に華恋さんが大声で叫ぶ。遊園地にやって来た子供のように。

「うぅぅ、緊張してきたぁ」

「お、落ち着こうって」

「オラわくわくしてきたぞぉ」

「あっそ」

 周りを見れば同じようにキャリーバッグを引いて歩いている通行人をチラホラ発見。中には既に着替えを済ませ、衣装を着たまま会場に向かう強者もいた。

「……凄い服だ」

「ちょっと何ボサっとしてんのよ。さっさと行くわよ」

「あ、うん」

 自分達も目的地へと向かう事に。途中、参加者っぽい人達と何度も遭遇しながら。そして5分ほど歩いて会場と思われる場所に到着。屋外施設で行われるイベントだった。

「うおおぉぉぉっ!!」

 自然と口から驚嘆の言葉が漏れる。まだ会場の一部しか見えていないが中は様々な衣装に身を包んだ人で溢れていた。

「凄いでしょ」

「うん。まさかこんなに大規模なイベントとは思ってなかったから驚いたよ」

「フッフ~ン。恐れ入ったか」

「どうしてこの人が偉そうなんだ…」

 少し離れた場所にあるテント小屋にやって来る。コスプレをする人はここで受付をしなくてはいけない決まりらしい。

「へぇ、勝手に着て歩き回ったらダメなんだ」

「ねぇ。私、更衣室で着替えてくるから」

「あ、うん。じゃあ行こっか」

「……何で付いて来ようとしてんのよ、アンタは」

「え? 一緒に入ったらダメなの?」

「当たり前でしょうが、なに人の着替え堂々と覗こうとしてんのよっ! アホ、変態!」

 彼女が人目も憚からず怒鳴り散らしてきた。顔を真っ赤にしながら。

「えぇ……ならどうすれば良いのさ」

「その辺で待ってなさい。着替え終わったら出てくるから」

「へ~い」

 ビルの入口で一時的に別れる。中へと入って行く背中を見送ると近くにあった壁際へと避難した。

「またこうやって待たされるわけか…」

 先週、一緒に買い物に行った時もこうして外で待機させられていた。駅から並んで帰る約束をした時も。今日は着替えるだけなのでそこまでかからないハズ。しかし予想に反して相方が姿を現す事は一向になかった。

「遅いなぁ…」

 別れてから20分以上が経過しても音沙汰が無い。ひょっとしたら中で遊んでいるのかもしれない。

「お待たせ」

「え?」

 ケータイを弄っていると建物から出てきた人物に話しかけられる。派手なデザインの制服を着た女の子に。

「……んん?」

「なにボケーッとした顔してんのよ」

「あ、君か」

 少しの間を置いて状況を理解。声をかけてきたのは待ちかねていたその人だった。

「これどうなってるの? カツラ?」

「ウィッグよ、ウィッグ。ちょっと触んないでよ」

「あっ、ごめん」

「ズレたら付け直すの大変なんだからね……ったく」

 ピンクの髪に優しく触れる。彼女の手には見覚えのあるオモチャの杖が存在していた。

「これ何の格好なの?」

「これ? これはね、美少女モリモリ学園のうららちゃん」

「あ、ごめん。アニメとか全然見ないから言われても分かんないや」

「……なら最初から聞くなや」

 質問に対して目の前にある表情が明るく変化する。直後に眉間にシワが寄り始めた。

「そうだ。コレ預かってて」

「おわっとと、投げないで」

 殴られるかもと身構えていると拳とは違う物が飛んでくる。赤い色のポーチが。

「何これ?」

「私の財布とケータイが入ってるから。アンタ預かっててよ」

「えぇ……ロッカーの中に入れておきなよ。鍵ぐらい付いてるんでしょ?」

「付いてるけど、やっぱり自分で持っておきたいじゃない。更衣室が絶対に安全とは言い切れないし」

「……はぁ、しょうがないなぁ」

「ロッカーの鍵も入ってるんだからね。無くさないでよ」

「はいはい…」

 渋々ながら意見を聞き入れる事に。ここで文句を言えばまた襲われる可能性もあるから。

「じゃあ行きましょっか」

「会場の中ウロウロするの?」

「そうよ。あと、どこかで友達と会う予定」

「友達?」

「サイトの友達よ」

「へぇ」

 それ系専用の場所があるらしい。詳しい話を聞くと、そこでお互いの写真を掲載して見せ合ったりしているんだとか。

「そこのサイトってさ……エロいのとかもあるの?」

「死ねっ、バカ!」

 気になった点について尋ねると彼女が激怒。否定されたが辺りを見回せば際どい格好をしている人がチラホラ存在していた。

「……あの人、パンツ見えそう」

 超が付くぐらいスカートが短い女性を発見する。少し動いただけで中が見えてしまいそうな衣装の参加者を。

「やっぱり良いわね。こういうイベント」

「来て良かった?」

「あったり前じゃん! 来なきゃ損ってもんだわよ」

「そっか」

 少しだけホッとしていた。華恋さんのこんな楽しそうな顔を見るのは初めてだったから。

 彼女が我が家に来てから1週間ちょい。その間に見た表情と言えば、いつもの作り笑いと不機嫌な怒り顔だけ。だけど今はそのどちらでもない。心の底から楽しんでいる笑顔を浮かべていた。

「うひょおぉぉーーっ! あのロリっ娘、可愛い」

 数歩進む度に発狂が響き渡る。スケベなおじさんを彷彿とさせる台詞が。

「女の人の方が多いんだね」

「そりゃ、女なら男女どっちのキャラでもいけるし」

「確かに……男性が女装すると骨格で違和感が出ちゃうからなぁ」

「けどアンタみたいなヒョロガリならごまかせるから今度やってみない?」

「お断りします」

 行く先々でデジカメでの撮影をお願い。全身を鎧で武装した人や、カラフルなドレスを着たグループに。そんなハシャぐ彼女をすぐ隣でずっと冷静に眺めていた。

「まだ歩くのかぁ…」

「はぁ? もうへばったの? どんだけ体力ないのよ、このへたれ」

「だって君は楽しいから良いけどさ、僕はただ歩き回ってるだけなんだよ?」

「あっ!」

「ん?」

 文句に反論していると対話相手が走り出す。同じような衣装に身を包んでいる2人組の女の子の元に。

「はぁ……疲れたぁ」

 どうやら先ほど言っていた友達らしい。これ幸いにと近くにあった柱へともたれかかった。

「……最初からあの子達と廻れば良かったのに」

 この位置からでは何を喋っているのか聞き取る事は出来ない。確認出来るのは楽しそうで砕けた雰囲気だけ。

「暑ぃ…」

 襟を動かして首元に風を通す。人混みを歩き続けた影響で全身汗だくになっていた。

「あっ!」

 通行人に目を配っていると少し離れた場所にスーツを着た人物を発見する。子供の頃に見ていたアニメのキャラを。

「へっへへ」

 思わず立ち上がって移動。なかなか前に進めなかったが何とかトイレ近くで写真を撮らせてもらう事が出来た。

「懐かしいなぁ」

 頬の緩みが止まらない。この会場に来て初めての喜びを実感した。

「あ、あれ?」

 撮影に成功した事に満足しながら元いた場所へと戻って来る。しかし相方の姿がどこにも見当たらなかった。

「嘘でしょ…」

 先程は友達と仲良く喋っていたハズなのに。辺りを見渡してみたが彼女達の存在も確認出来ない。

「まったく、勝手にどっか行くのやめてくれよなぁ」

 自身にも同じ理屈を言い聞かせながら歩き始める。ピンク色の髪をしたうららちゃんとやらを捜す事にした。

「ん~…」

 普段ならあんな派手な格好の人間を見つけ出す事など容易い。目立ちまくるから。

「お~い」

「え?」

「あ……すみません。人違いでした」

「は、はぁ…」

 それっぽい後ろ姿を見つけたので声をかける。けれど振り向いたその人物は捜していたその人とは似ても似つかない顔付き。同じ格好をした別人だった。

「そうだ、電話…」

 ポケットからケータイを取り出す。本人と連絡を取ろうと。

「げっ!」

 直後にある事に気付いた。手に携えていたポーチの存在に。

「ヤバい……どうしよう」

 この中には華恋さんのケータイ、更には財布とロッカーの鍵も入っている。つまりこのままだと彼女は着替える事も帰る事も出来なかった。

「やだな、やだな…」

 今頃は怒り狂っているのだろう。不機嫌を露にしている姿が容易に想像出来てしまった。

「あ…」

 怯えているとある事を思い付く。入場する時に立ち寄った受付の存在を。

「放送で呼び出してもらえば良いじゃん」

 迷子みたいな扱いで彼女は怒るかもしれない。だがこのまま当てもなく探し回っているよりは遙かにマシだった。

「あのっ、すみません!」

「は、はい?」

 飛び込む形でテント小屋に近付く。パイプ椅子に座って談笑していたお姉さん達の元に。

「友達とはぐれてしまって。放送で呼び出してもらう事は出来ますか?」

「え~と……会場内ではぐれてしまったんですか?」

「はい、そうです」

「申し訳ないですがそういう事はやってないんですよ」

「あ……そうなんですか」

 しかし返ってきた返事に落胆。恥を忍んでまで行った行為は空振りとなってしまった。

「あれ、雅人じゃん」

「ん?」

 ガックリと肩を落としていると後ろから名前を呼ばれる。聞き覚えのある声に。

「え? 君、誰?」

「ふざけんなっ! 俺だよ、俺! てか珍しいじゃん、こんな所で会うなんて」

「あ……だね」

「雅人もこういうイベントに興味あったんだな。そうならそうと教えてくれよ」

「あはは…」

 振り返った先に会場に入ろうとしているボサボサ頭の友人を発見。近付いてきた颯太に力強く肩を叩かれてしまった。

「1人で来たの?」

「え~と、そうだよ」

「そっか。なら一緒に廻ろうぜ」

「……うん」

 咄嗟に嘘をついてしまう。同居人との関係性を否定しようと。

 何故か話の流れで彼と行動を共にする事に。受付の方に向き直るとお姉さん達が笑顔で見送ってくれた。

「捜してたのは別の人なんだけどなぁ…」

 戸惑いながらも再び人が混雑している会場内に突撃する。熱気で溢れかえっている空間へと。

「おい、見ろよ。凄いたくさん人いるな」

「まぁ…」

「やべぇ、テンション上がるわぁ」

「よ、良かったね」

「エロゲのコスしてる人はやっぱりエロゲをやってんのかな」

「ん~、どうだろうか」

「むしろこの会場がエロゲだ。ゲームの主人公になった気分で色々な女の子に話しかけてみよう」

「いいけど失敗してもリセット出来ないという事だけは理解しておいてくれよ」

 友人のテンションが高い。どこかの誰かさんに負けないぐらいのオーラが全身から漂っていた。

「あっち行ってみようぜ。人がたくさん集まってる」

「……うん」

 彼に見つかってしまった事で華恋さんと合流する事が不可能に。なんとかして撒かなくてはいけなかった。

「あ、あのさ…」

「ん? どした?」

「ちょっとお腹痛いからトイレ行ってくる」

「おう。なら俺も一緒に行くわ」

「えぇ…」

 咄嗟に思い付いた作戦を実行する。しかし見事に失敗。男2人で連れションをする事になった。

「じゃあ今度あっち攻めてみようぜ」

「そうだね…」

 トイレから出ると再び歩き回る。カメラを携える友人のすぐ後ろを。

「いって!?」

 その途中でトラブルに見舞われた。多くの人が一斉に同じ方向へと移動するハプニングに。

「ぐぐぐ…」

 息苦しいが同時にまたとないチャンスでもある。雪崩のような現象にワザと身を投じた。

「大丈夫か、雅人っ!」

「え?」

「俺の手に掴まれ。絶対に離すんじゃないぞっ!」

「分かった…」

「うおおぉおぉおぉっ!」

 空気を読まない友人が精一杯に腕を伸ばしてくる。必死な形相も付け加えて。

「ふぅ、何とか助かったな」

「だね…」

「途中、ナース服を着たお姉さんのオッパイが当たっちゃったぜ。デヘヘ」

「あれ男の人だったよ」

「ガッデムっ!!」

 彼の熱い行動に貴重な友情を実感。同時に言いようのない怒りも湧き上がってきた。

「あぁああぁぁ…」

 頭を抱えながら悲鳴をあげる。このままだと後で華恋さんに怒られてしまうだろう。それはもうメチャクチャに。

「どうしたんだよ、雅人。さっきからほとんど喋ってないけど」

「もしかして興奮しちゃってるのかな……あはは」

「あぁ、分かる分かる。女の子のムチムチした太ももとかたまらないよな、ウヘヘ」

「……そういう意味で言ったんじゃないよ」

 友人がニヤニヤと笑い出した。一歩間違えば通報されそうな表情で。

「あ…」

 その時、視線の先にどこかで見たような姿を見つける。派手なセーラー服にピンクの髪。ずっと捜していた人物がこちらに向かって歩いて来ていた。

「ヤベ…」

 咄嗟に顔を隠す。このまま鉢合わせしてしまうのは非常にマズいから。

「あっ、いた!」

「げっ…」

 だが健闘空しく遭遇する羽目に。辺りにいる人間の視線を集めてしまうような大声が飛んできてしまった。

「アンタ、どこ行ってたのよ!」

「いや、その…」

「勝手に姿くらまして、まったく……ん?」

 声の発信元の方へと振り返る。自分だけではなく隣にいた友人も。

「げっ!」

「あれ? もしかして…」

「……う」

「白鷺さん?」

「そ、そうみたいだね」

 颯太がこちらを見ながら同意を求めてきた。どうやら速攻で目の前の人物がクラスメートだと気付いたらしい。

「あ~あ…」

 もうごまかす事は不可能に近い。努力が水泡に帰した瞬間。騒がしい会場内で自分達がいる空間だけが妙な空気に包まれていた。

「も~、雅人くんどこ行ってたの。ずっと捜してたんだよ」

「え? え?」

「勝手にどっか行ったらダメじゃない。心配したんだから」

 そんな状況を打破しようと同居人が行動を起こす。甘ったるい声と共に腕を引っ張ってきた。

「あ、木下くんと一緒にいたんですか。こんにちは」

「ども」

「すいません。実は私達、従兄妹なんです」

「あ、そうなんだ」

「黙っていてごめんなさい。驚きました?」

 そのまま次から次へと嘘を連発。予想もしていなかった展開に思考がまるで追いつかなかった。

「いや~、まさか見つかってしまうとは思いませんでした」

「ん…」

「な、なんか恥ずかしいなぁ。ね、雅人くん?」

「そ、そうですね」

 とりあえず颯太には自分達が親戚という設定で通すつもりらしい。彼女の口から出る出任せに適当に相槌を打って答えた。

「この衣装も雅人くんに着せられたんですよぉ」

「へぇ、でも似合ってるよ」

「そうですか? ありがとうございます、ふふふ」

「……いやいや」

 いつの間にか従姉妹にコスプレさせる変態に仕立て上げられる。とはいえ反論する権利は与えられていないので2人の会話をただ黙って傍観する事に。

「あ……ごめんなさい。私、もう着替えないと。雅人くん、こっち」

「え? あ、うん」

「すいません、ちょっと更衣室に行って来ますね」

 黙り込んでいると華恋さんが再び腕を引っ張ってきた。汗で湿った手で。

「ね、ねぇ」

「……ん」

 彼女に呼びかけるが全てスルー。聞こえていないのか意図的な無視なのかは不明だが。

 解放されたのは更衣室近くの場所までやって来た時。人が少ない壁際へと連れて来られたタイミングでようやく問い掛けに答えてくれた。

「ごほっ!?」

「アンタねぇ、友達がいるならいるってちゃんと言いなさいよ」

「ゲホッ、ゲホッ…」

 腹部に強烈なパンチが飛んでくる。本気ではなかったが怒っている心境が窺える攻撃が。

「どうしてくれんのよっ! 見つかっちゃったじゃない」

「いや、そんなこと言われても」

「しかもよりによってクラスメートに……はぁ。最悪だわ」

「仕方ないじゃん。人が集まるイベントなんだからさ」

 彼女の手が額に移動。露骨に不満をぶちまけてきた。

「仕方なくないわよ! アンタが勝手にどっか行ったりしなければ木下くんに会う事もなかったでしょうが」

「悪い…」

「おかげでこの格好も見られちゃったし……恥ずかしい」

「……む」

 ならイベント自体に参加しなければ良かっただけの話。もしくは1人で足を運んでいたか。そもそも散々この格好で歩き回っていたクセに注目されて恥ずかしいはおかしかった。

「着替えてくるから鍵返して」

「うぃっす」

「……ったく。またフラフラどっか行ったりするんじゃないわよ」

「へいへい…」

 持っていたポーチを投げる。鬱憤を晴らすようにやや乱暴に。どうやら颯太の所へは戻れず、ここで待機していなくてはならないらしい。

 それから待たされる事20分。私服に身を包んだ華恋さんが姿を現した。

「あ、あれ?」

「ん? 何よ」

「どうして戻っちゃってるの? コスプレは?」

「はぁ? クラスメートに見つかっちゃってんのに着れる訳ないでしょ。もう終わりよ、終わり」

「そ、そうなんだ」

 予想を裏切る展開が訪れる。自分にとっては良い意味で。

「ちなみにもう1着の衣装ってどんなの?」

「うららちゃんの魔法使いバージョン」

「へ、へぇ……見てみたかったな」

「前に見たじゃない。家で着てた時に」

「あぁ、あれか。ヒラヒラの衣装」

「そう、それ」

 以前に目撃した恥ずかしい服だった。思い出されるのはステッキで殴られた時の苦い記憶。恐らくうららちゃんは杖を使って敵をボコボコにするキャラなのだろう。

「あ~、アレも着たかったなぁ。くそっ」

「……まだ言ってるし」

「誰かさんのせいで台無しだわ。魔法使いバージョン」

「えぇ…」

 合流したので元いた場所に戻る。その最中も彼女はずっとグチグチ文句を垂れ流し続けていた。

「あのさ、最初から自分でポーチ持ってれば良かったんじゃないの?」

「はぁ?」

「そうすれば仮にはぐれたとしても着替える事が出来たじゃん。でしょ?」

「……アンタになら預けても良いかなぁって思ったのよ」

「え…」

 あまりにも我慢が出来ず抱えていた不満をぶつける。しかし顔を赤らめる彼女の仕草に言葉を紡いでいた口の動きが停止。

「ん…」

 こういうリアクションは反則だった。しおらしい態度をとられたら心を動かされずにはいられないから。

 とはいえ感情と本題は別。失敗の挽回は自己責任だった。

「そんなこと言って実は自分で持つのが面倒くさかっただけでしょ」

「あ、バレた?」

「やっぱり…」

 追及に対して彼女が表情を変化させる。悪びれる様子のない笑顔へと。

「お待たせ」

「おう。意外に時間かかったんだな」

「あれ? なんで顔に絆創膏貼ってるの?」

「ん? 婦警の格好したお姉さんに警棒で叩いてくださいってお願いしたら何故かビンタされたんだよ」

「……何してるのさ」

 キャリーバッグをガラガラ引きながら友人の元へと戻って来た。どうやら何人かの参加者に写真を撮らせてもらっていた様子。

 その後は3人で歩き回る事に。時間が進むにつれ会場内の熱気は増大。けれどやはり重たい荷物を持ちながらの歩行は厳しい為に外へと脱出する事にした。

「歩き回ったから足がパンパンです。疲れちゃいました」

「もう帰る?」

「そうですね。帰って夕御飯の支度もしないといけないですし」

 華恋さんが帰宅を意味する台詞を吐く。本人がそう言っているのだから従った方が良いのだろう。

「颯太はどうする? 僕達はもう帰るけど」

「俺はまだ残ってくよ。夜のライブとかあるし」

「そっか。なら悪いけど先に帰らせてもらうね」

「おう。また婦警コスのお姉さん追いかけてくるわ」

「……本物を呼ばれないように気を付けてね」

 声優さんだかを呼んでイベントが行われるらしい。今日はそれを楽しみにここまで足を運んで来たんだとか。まだまだ疲れを見せていない様子の友人を残して会場を後にした。

「良かったの? イベント」

「仕方ないでしょ。キャリー持ったまま会場内を歩き回る訳にもいかないし」

 電車に乗って地元の駅を目指す。来る時とは違いガラガラの車内に座って。

「あ~あ、見たかったなぁ。アニソンライブ」

「また次があるさ」

「次なんか中々こないわよ。来年よ来年? また1年待たないといけないのよ」

「そ、そうなんだ」

 もし颯太と鉢合わせしなければ例のフリフリ衣装を着て会場でハシャいでいたのかもしれない。想像した彼女の姿は中々凄いものだった。

「それよりアイツ大丈夫なの」

「アイツ?」

「木下くんよ。今日の事バラしたりしないかしら」

「あぁ。口止めしておいたから大丈夫だよ」

 今日バッタリ遭遇した事と、華恋さんのコスプレの件。それらを内緒にしておいてほしいと頼んでおいた。

「それにしてもよく殴らなかったじゃん。コスプレ見られたのに」

「当たり前じゃん。周りに人がたくさんいたのよ」

「な、なら周りに誰もいなかったとしたら?」

「はぁ? フルボッコに決まってんでしょ」

「それ犯罪だから…」

 友人が知らず知らずのうちに命拾いしていた事が判明。周りにいた数多くの参加者に感謝せずにはいられなかった。

「ふぅ…」

 席に座りながら窓の外の景色を眺める。綺麗なオレンジ色の夕焼け空を。

 お互いに疲れてしまったからか口数が次第に減少。最後の乗り換えを済ませる頃には会話がゼロになっていた。

「ん?」

 ふと肩に重みを感じる。隣に意識を移すと華恋さんが体にもたれかかっていた。

「お~い」

 どけようと頭に触れる。僅かな恐怖感を抱きながらも。

「……すぅ」

「もしかして寝てる?」

「んんっ…」

 至近距離で寝息が聞こえてきた。普段の荒々しい口調とは違う色っぽい声が。

「……しょうがないな」

 揺り起こそうとしていた手を下げる。間近にあるのは幼さを感じさせる表情。どこか懐かしさを覚える端正な顔立ち。

「大人しくしてれば可愛いんだけどなぁ…」

 はしゃぎ疲れてしまったのだろう。朝からずっとテンションが高かったし。こんな無防備な姿を見せてしまうなんてよっぽど眠気を堪えていたに違いない。

「お母さぁん…」

「ん?」

「……むにゃ」

「なんだ、寝言か」

 肩にかかる重さに耐えながら景色の観賞を続行。それから地元の駅に到着するまで彼女が目を覚ます事はなかった。
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