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あなたはここにいる《前》2
しおりを挟む顔を隠すための黒い布を頭から被り、依頼者を中に招き入れる。
一日に十件、三日間にわたって彼らの知りたいことに答える。失踪した家族の行方を知りたがっている人が多い。たいていはどこかで生きているが、生きているからといって良かったとはならないこともある。見つけたあとも家族には違う苦しみが待っている。
遺体の場所を教えなくてはならないこともある。それでも彼らは俺の出した透視結果に何らかの意味と価値を見出し、半壊した自分たちの生活を建て直すために帰っていく。
どんな形でも帰ってきてほしいのだ。何でもいいから取り戻したい、という切実な叫びが響いてきて、見ている最中もつらくなる。
俺は人のことには答えられても、自分の知りたいことには答えられない。俺にも疑問に答えてくれる人物が欲しかった。
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