6 / 13
第六話
しおりを挟む
あらすじ
扉開いたよ!それだけ!
次の空間は生活空間!やったぁ!
とりあえず詳しい説明を受けたよ!分かんねぇ!
行先不安だけど、私は元気です(白目
ひとまずこの空間に対して調査してみる。
まずはテント。
四つあるがどれも大きさは同じ。中も特に変わったところは無い。
まるで間違い探しでもしているかのようだ。
中央に大きな丸いテーブル、いすがあり、それを囲むようにしてタンスや
流し台、キッチン。あと仮設トイレ。ベッドまである。
タンスの中には服や下着なんかも入っている。確認するとき女性下着
まで見てしまったのは事故。そう、事故だ。
仮設トイレもこじんまりとしてはいるがそこそこ綺麗で、割と生活
しやすい環境だった。
拡声器越しにテストマンとも話をしてみるが、どうやら彼の方も
同じ状態らしい。なんにせよこの待遇はありがたい。
「どうも生活面で苦労することは無さそうだ」
『当たり前じゃろ。お主のようなニート、不便な生活を送らせただけで
衰弱死してしまうじゃろうて』
少しムッとした顔を見せるが、言い返せないのですぐに止めた。
次に壁伝いに空間の端を見て回る。
四方の壁の中央にはそれぞれ、先程通ってきた扉と同じような金属製の
扉が一つずつ。
一つは何も描いてない無地の扉。ここは僕が入ってきたところだ。
向かって右側の扉は霧が渦巻く空間の中で倒れている人の絵。
左側は銃を持った人間同士が戦っている絵。
最後に後ろ、入ってきた時正面に見えた扉は牛の頭をした人間の絵が
描かれていた。
どの扉も両開きで、かなり大きい。高さも3mほどあるだろう。
しかも城門のように固く、叩いた感触としてはかなり厚い。
「これ...開けられるのか?」
押したり引いたりしてみるが、僕の筋力では到底開けられそうにない。
というか筋骨隆々の大男が全力を賭してようやく開けられそうな扉だ。
煉は僕が開けようとしている様を静観していたが、ふいに口を開く。
『この扉、何か術のようなもので封じられておるな』
煉は扉に触れて、何かを感じ取るように目を閉じる。
「前にも思ったんだけど...煉はその、能力者的なものなの?」
僕は疑問に思ったことを聞いた。いや、このことは前々から疑問に
思っていた。
煉があの神社の前から僕をこの世界に戻したこともそうだったし、
煉と初めて会い、ここに帰ってくる時、煉は神通力がどうたらとも
言っていたからだ。
『神通力の類や憑依の類はワシにもよう分からん。というか知らん。
まぁ多分長生きしとるからじゃろうて』
いや、そんな能力、数十年の歳を重ねたところで体得できるような
代物じゃないだろ...
『そんなことよりこの扉、やはり神通力で塞がれとるようじゃ』
煉は扉から手を放す。するとすぐに上の方から器械音声が喋り出した。
「その扉はロックされています。通過権限を持つ担当者、若しくは
通過資格を持つ被験者の通過コードを登録して下さい」
よく分からないが、どうやら今は通れないらしい。
「ルール、扉に触ったのか?」
テストマンだ。拡声器が器械音声の音を通していたらしい。
「ああ、触ったよ。権限がどうとかって」
「俺も触った時同じことが起こった。権限というのは管理者、つまり
器械音声側の人間の事なんだろう。俺達は被験者側、つまり通過資格
が無いとその扉は開かないんだと思う」
テストマンは淡々とそう言った。この状況でこの洞察力。テストマンは
聡明な男なのだろう。
「なるほど...」
つまり誰かここを通れるような人物を連れてこなければいけない。
それは同時に、自分たちの他に誰か被験者がいるという事も暗示していた。
しかし、他の扉を見て回っても、全て同じような結果。最初の入り口以外
に開く扉は無かった。
「ダメだ...どれも開く気配は無いな...」
僕がそう嘆いた時、煉がある一か所を指さす。
『まだ、もう一つあるじゃろうて』
煉が指を差すその場所、そこだけはまだ確かめていない。
最後に見た、入ってきた時正面に見えた扉は牛の頭をした人間の絵が
描かれていた扉だ。僕はそこだけは近寄りたくなかった。
何故なら、その扉だけ中から奇妙なうめき声が聞こえていたからだ。
扉開いたよ!それだけ!
次の空間は生活空間!やったぁ!
とりあえず詳しい説明を受けたよ!分かんねぇ!
行先不安だけど、私は元気です(白目
ひとまずこの空間に対して調査してみる。
まずはテント。
四つあるがどれも大きさは同じ。中も特に変わったところは無い。
まるで間違い探しでもしているかのようだ。
中央に大きな丸いテーブル、いすがあり、それを囲むようにしてタンスや
流し台、キッチン。あと仮設トイレ。ベッドまである。
タンスの中には服や下着なんかも入っている。確認するとき女性下着
まで見てしまったのは事故。そう、事故だ。
仮設トイレもこじんまりとしてはいるがそこそこ綺麗で、割と生活
しやすい環境だった。
拡声器越しにテストマンとも話をしてみるが、どうやら彼の方も
同じ状態らしい。なんにせよこの待遇はありがたい。
「どうも生活面で苦労することは無さそうだ」
『当たり前じゃろ。お主のようなニート、不便な生活を送らせただけで
衰弱死してしまうじゃろうて』
少しムッとした顔を見せるが、言い返せないのですぐに止めた。
次に壁伝いに空間の端を見て回る。
四方の壁の中央にはそれぞれ、先程通ってきた扉と同じような金属製の
扉が一つずつ。
一つは何も描いてない無地の扉。ここは僕が入ってきたところだ。
向かって右側の扉は霧が渦巻く空間の中で倒れている人の絵。
左側は銃を持った人間同士が戦っている絵。
最後に後ろ、入ってきた時正面に見えた扉は牛の頭をした人間の絵が
描かれていた。
どの扉も両開きで、かなり大きい。高さも3mほどあるだろう。
しかも城門のように固く、叩いた感触としてはかなり厚い。
「これ...開けられるのか?」
押したり引いたりしてみるが、僕の筋力では到底開けられそうにない。
というか筋骨隆々の大男が全力を賭してようやく開けられそうな扉だ。
煉は僕が開けようとしている様を静観していたが、ふいに口を開く。
『この扉、何か術のようなもので封じられておるな』
煉は扉に触れて、何かを感じ取るように目を閉じる。
「前にも思ったんだけど...煉はその、能力者的なものなの?」
僕は疑問に思ったことを聞いた。いや、このことは前々から疑問に
思っていた。
煉があの神社の前から僕をこの世界に戻したこともそうだったし、
煉と初めて会い、ここに帰ってくる時、煉は神通力がどうたらとも
言っていたからだ。
『神通力の類や憑依の類はワシにもよう分からん。というか知らん。
まぁ多分長生きしとるからじゃろうて』
いや、そんな能力、数十年の歳を重ねたところで体得できるような
代物じゃないだろ...
『そんなことよりこの扉、やはり神通力で塞がれとるようじゃ』
煉は扉から手を放す。するとすぐに上の方から器械音声が喋り出した。
「その扉はロックされています。通過権限を持つ担当者、若しくは
通過資格を持つ被験者の通過コードを登録して下さい」
よく分からないが、どうやら今は通れないらしい。
「ルール、扉に触ったのか?」
テストマンだ。拡声器が器械音声の音を通していたらしい。
「ああ、触ったよ。権限がどうとかって」
「俺も触った時同じことが起こった。権限というのは管理者、つまり
器械音声側の人間の事なんだろう。俺達は被験者側、つまり通過資格
が無いとその扉は開かないんだと思う」
テストマンは淡々とそう言った。この状況でこの洞察力。テストマンは
聡明な男なのだろう。
「なるほど...」
つまり誰かここを通れるような人物を連れてこなければいけない。
それは同時に、自分たちの他に誰か被験者がいるという事も暗示していた。
しかし、他の扉を見て回っても、全て同じような結果。最初の入り口以外
に開く扉は無かった。
「ダメだ...どれも開く気配は無いな...」
僕がそう嘆いた時、煉がある一か所を指さす。
『まだ、もう一つあるじゃろうて』
煉が指を差すその場所、そこだけはまだ確かめていない。
最後に見た、入ってきた時正面に見えた扉は牛の頭をした人間の絵が
描かれていた扉だ。僕はそこだけは近寄りたくなかった。
何故なら、その扉だけ中から奇妙なうめき声が聞こえていたからだ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
転生したら王族だった
みみっく
ファンタジー
異世界に転生した若い男の子レイニーは、王族として生まれ変わり、強力なスキルや魔法を持つ。彼の最大の願望は、人間界で種族を問わずに平和に暮らすこと。前世では得られなかった魔法やスキル、さらに不思議な力が宿るアイテムに強い興味を抱き大喜びの日々を送っていた。
レイニーは異種族の友人たちと出会い、共に育つことで異種族との絆を深めていく。しかし……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる