アイアンメイデンは酒に弱い

その女、強盗を追う。

約束は守る

私が駆けつけたとき、寮はもう手遅れだった。

アリス「状況はどうなってる！新兵は！？」

新兵「俺たちは大丈夫です！」

新兵たちの顔を確認していく。だがそこにリアムの顔は無かった。

アリス「リアム.....リアムはどこだ！？」

新兵達は皆、リアムを見ていないと言う。

アリス「まさか....！」

私は燃え盛る炎の中に入っていった。

新兵「き、教官！？危険です！！」

そんなことはお構いなしに、私は奥に進む。

アリス「リアム.....どこだ....！」

幸い、一階にあるリアムの部屋を知っていた私は、リアムの部屋に入っていった。だが、手遅れだった。

リアム「あ.....うぐ.....！」

リアムは床に倒れていた。胸に刺さるナイフが艶めかしく光る。

アリス「リアム！？」

私の想像を超える光景だった。リアムは刺されたせいで満足に動くことも出来ない。

リアム「アリス教官.....俺....」

アリス「話すな！今外に....！」

私は軍人としての威厳をも忘れ泣いていた。リアムはもう助からないほど、血を流していたのだ。

アリス「誰が...こんな....！」

その時、後ろの方で爆発が起きた。木片が辺りに飛び散る。

リアム「教官！俺のことは良いから逃げてください...！」

アリス「だが....！」

リアム「早く！！」

リアムは私の服を引いた。訓練で教えた相手を飛ばす《投げ技》のひとつだ。

私はリアムの部屋の窓から外に投げ出された。炎は瞬く間に広がり、リアムの部屋を包む。

アリス「ああ.....」

最後に見えたリアムは、微笑んでいた。


次回、「奴らが見ている」 2月18日 公開予定