アイアンメイデンは酒に弱い

青い墨汁

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その女、強盗を追う。

奴らが見ている

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俺はただひたすら、ザッケルに向けて歩いていた。

ー森の香り.....ー

辺りは見渡す限りの森だ。緑の香りが鼻を刺激する。

ーザッケルまではもう少しだ。ー

少し前に見つけた看板、『ザッケルへようこそ』の文字が脳裏に浮かぶ。アリスは先に待っているだろうか。

冷静さを取り戻していた俺はゆっくりと出来事を振り返り、頭の中を整理した。

アリスと共に盗賊の始末をする為、帝都に向かったが門前払い。その直後帝都が街ごと爆破されて死体もお城も無くなっていた。

門前払いされたことからも、帝都自体に何かあったのだろう。

商人たちの荷物が爆破し、街全体が巻き込まれた。なのに死体が無い。

考えれば考えるほどおかしな状況だ。

ーアリスと話し合えば何か分かるかもしれない。ー

そんなふうに考えている内に森の出口に来たようで、先に光が見える。

ーザッケルはもうすぐだ...!ー

俺が心を弾ませた時だった。
背後に視線を感じたのだ。

ー.....誰だ?ー

アリスならすぐに話しかけてくるだろうから
アリスではない。俺は後ろを振り返った。

ーつけられていたか。ー

見憶えのあるフードだった。

男「ありゃりゃ、バレちまいやしたかね。」

相手はそう話しかけてきた。

ー相変わらず気色悪い声だなぁ。ー

彼は紛れもなく、アリスと俺を帝都まで連れてきてくれた案内人だった。

案内人「覚えててくれたのですなぁ。ヒヒヒヒヒヒ!」

案内人は相変わらずの独特なかすれ声で笑った。


次回、「容赦は要らぬ」  2月21日公開予定








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