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序章
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♦♢♦
──なんだか体がふわふわする……
いったいどれくらいの間気を失っていたのか、気づいたら琉璃は真っ暗な場所にいた。
一筋の光も無いため、自分の身体すら見えない。
──落ちてる……?
あたりは暗くてよくわからない。感覚でゆっくりではあるが自分が落下しているのが分かった。もしかしたら引き上げられているのかもしれない。どちらにも似ていたが、不思議と恐怖はなかった。
──あれ?……私、そういえばさっきまでなにしてたっけ?
何か考えようとしても、頭がぼんやりとして考えは浮かんだ先から消えていく。
「!?」
突然の冷たい感触で意識がはっきりした。頬に何かが触れたのだ。
「……み……ず……?」
──水にしてはドロっとしているような……。しかもなんだか鉄のような臭いがする……。上から落ちてきたんだよね?
真っ暗なので実際上か下かすらもよく分からなかったが、何か落ちてくるとしたら上からにきまっている。
そう思って顔をあげる。何か光の塊が、落ちて/上がってくる。とにかく自分の向かう先とは逆方向に向かうそれは、どんどんと自分の方へと近づいてくる。
「……人!?」
少しずつ 目映い光に慣れて来た目が、光の中に人の姿を捉えた。上半身を真っ赤に染めた男の人だ。
思わず、すれ違いざまに手を伸ばした。しかし、今一歩の所で届かない。
──金の細い糸ような髪が微かに揺れた。
(気絶しているの? それとも……)
その双眸は硬く閉じられていて、落下の流れにまるで抗おうとしない。単なる気絶か、それとも……既に死亡しているのか……。
「死」と言う単語が脳裏に浮かんだ瞬間。背中がゾクっとしたが、それも長くは続かなかった。落下の速度が急激に早まり、息もままならない。
急に辺りが明るくなったように感じた。明るくなったと言うより、真っ白になったのだ。まぶしすぎて目も開けていられない。
そして、琉璃はそこで意識を手放した。
♦♢♦
──なんだか体がふわふわする……
いったいどれくらいの間気を失っていたのか、気づいたら琉璃は真っ暗な場所にいた。
一筋の光も無いため、自分の身体すら見えない。
──落ちてる……?
あたりは暗くてよくわからない。感覚でゆっくりではあるが自分が落下しているのが分かった。もしかしたら引き上げられているのかもしれない。どちらにも似ていたが、不思議と恐怖はなかった。
──あれ?……私、そういえばさっきまでなにしてたっけ?
何か考えようとしても、頭がぼんやりとして考えは浮かんだ先から消えていく。
「!?」
突然の冷たい感触で意識がはっきりした。頬に何かが触れたのだ。
「……み……ず……?」
──水にしてはドロっとしているような……。しかもなんだか鉄のような臭いがする……。上から落ちてきたんだよね?
真っ暗なので実際上か下かすらもよく分からなかったが、何か落ちてくるとしたら上からにきまっている。
そう思って顔をあげる。何か光の塊が、落ちて/上がってくる。とにかく自分の向かう先とは逆方向に向かうそれは、どんどんと自分の方へと近づいてくる。
「……人!?」
少しずつ 目映い光に慣れて来た目が、光の中に人の姿を捉えた。上半身を真っ赤に染めた男の人だ。
思わず、すれ違いざまに手を伸ばした。しかし、今一歩の所で届かない。
──金の細い糸ような髪が微かに揺れた。
(気絶しているの? それとも……)
その双眸は硬く閉じられていて、落下の流れにまるで抗おうとしない。単なる気絶か、それとも……既に死亡しているのか……。
「死」と言う単語が脳裏に浮かんだ瞬間。背中がゾクっとしたが、それも長くは続かなかった。落下の速度が急激に早まり、息もままならない。
急に辺りが明るくなったように感じた。明るくなったと言うより、真っ白になったのだ。まぶしすぎて目も開けていられない。
そして、琉璃はそこで意識を手放した。
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