【本編完結済】悪役令息の取り巻きになっても、音楽はできますか?!

羽橋よし

文字の大きさ
11 / 46
第1章

驚きの連続

しおりを挟む
 「そ...そんな..エウテルが..」
 
 イルから、真実を知らされて、本当にショックだった。エウテルにはそんな壮絶な過去があったんだ。僕が味わったことは、元のエウテルにとってはほんの一部だったみたいだ。いまだにエウテルがイルの計画に加わった個人的な理由が思い出せないけど、なんで筆者はエウテルはを悪役側にしたんだろう。
 (てか、外伝なんて出てたんだ!!)
 読んでなかったな...
 
 でも、少し嬉しかったのは、今回は両親が僕を愛してくれていたこと。両親も使用人に騙されていて、被害者なんだ。 
 嬉しくて、少し笑っていたのだろうか。イルが訝しげにこっちを見ていた。

 「どうして、そう安心した顔をしているの?」

 やっぱり、バレてた。どうしよう、ここは正直に言うしかないか?

 「僕は転生した後、メイドたちの態度が悪かったから、てっきり両親もエウテルのことを嫌っているのかと思っていたんです。でも、本当は2人とも僕のことを愛してくれていた。それがすっごく嬉しいのです。」
 「....」
 
 イルはなぜか、複雑な表情をしていた。何かおかしかったかな...?変なこと口走ったかも...。
 そういえば、ずっと気になってたことがあったんだ。

 「どうして、ルテは使用人だけに嫌われていたの?」
 「....それ..は...」
 
 イルが黙りこくってしまった。すごく苦しそうな顔をしている。やっぱりエウテルが、先に使用人を虐めてたとか、いけないことをしたからかなあ。

 「イル...?」
 イルはハッとして少し考えてから、決心したように僕の方を向いた。
 
 「エウテル。」   「はい」

 「これから話すことは、この世界において少し辛いことなんだ。もしかしたら、ルテはこの世界に失望してしまうかもしれない。それでも聞いてくれる?」
 
 なにやら、僕が思っていたよりも複雑だったらしい。でも、
 
 「やっぱりエウテルがどうして使用人に虐められることになったのか、ちゃんと知りたいです。どんなに辛いことでも、覚悟はできてます。」

 「....わかった。
 ....ルテが虐められていた理由はね、赤い瞳を持っているからなんだ。」

 「...え?」
 赤い瞳...?僕、初めて見たとき、綺麗だなあなんて、思ってた。それが、みんなには、赤い瞳が嫌われているの?
 あまりの驚きで、空いた口が塞がらなかった。

 「この世界では、赤い瞳は血の象徴とされていて、赤い瞳を持つ人は、悪魔の子なんて呼ばれているんだ。もちろん、僕も両親も、この家の人もそんなことは出鱈目だと思っているし、こんな嘘っぱちの話で、迫害していい理由にはならない。でも、必ずしも、みんながそう思っている世界じゃないから、特にキタラ伯爵家の使用人は平民に近い身分の人が多くて、そういう話が根付いてしまっているから、ルテは今回虐めの対象となってしまったんだ。」

 「そ...そんな..」

 驚きの連続で、頭の整理ができない。赤い瞳を持つ人は、悪魔の子なんて呼ばれ方をしていたなんて..

 「ぼ、僕は..最初にエウテルの容姿を見た時に、綺麗だな....って、...そう思ったんだ..。なのに、なのに....」
 結局僕はここでも仲間外れなの...?

 
 「ルテ?聞いて。僕はあの外伝を読んだときにルテはなんでこんなに綺麗なのにモブに近いキャラだったんだろうって、すっごい疑問だったし、ちょっと怒ったんだよね..
 ルテがルテのことを綺麗だと思ったのと同じように、僕もルテのこと綺麗だって、モブにするには勿体なさすぎるって思ったんだ。」
 イルは少し照れくさそうに笑った。

 「だって、こんなに綺麗で艶のある黒髪に、少し和風な赤色の瞳を片方に持つ、オッドアイなんて、特別感ありすぎるじゃん...」
 そう言って、僕の頬に手を当てて、目尻を拭った。また僕は泣いていたらしい。

 「あ、でも見た目で一番好きなのは残念ながらバトラなんだよねぇ~!!」

 「あはは」
 慰めてる時でも贔屓しないの、すごく嬉しいかも。気を遣ってくれてるのかもしれないけど、そんな感じをさせない。

 「あ!!やっと笑った!!」
 嬉しい、などと、満面の笑みを浮かべている。
僕、今は独りじゃないのかな、少し心が軽くなった気がする。

 
 「それでね、ルテは、どうしたい?」
 「え?」

 「使用人たちに、復讐するか」
 「復讐...」
 「使用人たちは、当然、罰を受けるべきなんだ。だって、信憑性もない話を理由に、ご主人様の息子を虐めたんだからね。身分的に考えて、ただ捕まるだけじゃ済まない。」

 ...復讐って言葉、あんまり好きじゃないかも。復讐してスッキリしても、心の奥底ではまだ蟠りが残っているような。復讐したことないけど、そこまでスッキリするものなのかな。

 「僕は..復讐はしたくはない..です」
 
 「そっか」
 「...」
 話したいことはあるけど、嫌われたくない。そう悩んでいるけど、イルはちゃんと聞こうとしてくれている。
 (頑張って..話してみようかな)
 そう決心して、イルの目を見る。

 「その...この世界の法律とかはまだよくわからないけど..受けなきゃいけない罰は受けるべきだけど、それまででいいと思います...。」
 僕なんかが、罪とか罰とか偉そうに言って、烏滸がましく思えてきた。でも、聞いてくれてるんだから、最後まで言わなくちゃ。
 「でも、おと..父上と母上には、ちゃんと真実を知ってほしい...かな。あと、ちゃんと僕を愛してくれてるっていうのを、ちゃんと自分で確かめたい。」
 「うん」
 
 自分の気持ちを人に伝えるのは、全然やってこなかったから、少ししか話していないのに、すごい疲れた。でも、イルはずっと優しく頷いてくれてた。ちゃんと、伝わったかな。

 「ルテの気持ち、伝えてくれてありがとう。すごく嬉しい。実はね、父上と母上が、ルテの計画に協力したいって言ってるんだ。」
 「侯爵様と夫人が...?」

 「そう。ルテの両親にも掛け合ってくれる。僕も..ルテの側にいて、手助けをしたい。良いかな..?」
 
 少しは、頼ってもいいのかな。多分、僕1人だけじゃ何もできない。みんなが居てくれたら、とても心強い。
 「本当に、いいのですか..?」

 「こっちが頼んでるんだから。いいに決まってるでしょ!」

 「....ありがとうございます。」
 また、泣きそうだ。こっちに来てから涙もろくなった気がする。
 
 「本当にありがとうございます」

 イルは、笑顔で頷いた。

 



しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

【16話完結】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている

キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。 今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。 魔法と剣が支配するリオセルト大陸。 平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。 過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。 すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。 ――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。 切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。 お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /チャッピー AI比較企画作品

番に見つからない街で、子供を育てている

はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。 異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。 現世の記憶は失われているが、 この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。 街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、 ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。 だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。 再会は望まない。 今はただ、この子との生活を守りたい。 これは、番から逃げたオメガが、 選び直すまでの物語。 *本編完結しました

結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした

BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。 実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。 オメガバースでオメガの立場が低い世界 こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです 強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です 主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です 倫理観もちょっと薄いです というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります ※この主人公は受けです

【完結】流行りの悪役転生したけど、推しを甘やかして育てすぎた。

時々雨
BL
前世好きだったBL小説に流行りの悪役令息に転生した腐男子。今世、ルアネが周りの人間から好意を向けられて、僕は生で殿下とヒロインちゃん(男)のイチャイチャを見たいだけなのにどうしてこうなった!? ※表紙のイラストはたかだ。様 ※エブリスタ、pixivにも掲載してます ◆この話のスピンオフ、兄達の話「偏屈な幼馴染み第二王子の愛が重すぎる!」もあります。そちらも気になったら覗いてみてください。 ◆2部は色々落ち着いたら…書くと思います

この俺が正ヒロインとして殿方に求愛されるわけがない!

ゆずまめ鯉
BL
五歳の頃の授業中、頭に衝撃を受けたことから、自分が、前世の妹が遊んでいた乙女ゲームの世界にいることに気づいてしまったニエル・ガルフィオン。 ニエルの外見はどこからどう見ても金髪碧眼の美少年。しかもヒロインとはくっつかないモブキャラだったので、伯爵家次男として悠々自適に暮らそうとしていた。 これなら異性にもモテると信じて疑わなかった。 ところが、正ヒロインであるイリーナと結ばれるはずのチート級メインキャラであるユージン・アイアンズが熱心に構うのは、モブで攻略対象外のニエルで……!? ユージン・アイアンズ(19)×ニエル・ガルフィオン(19) 公爵家嫡男と伯爵家次男の同い年の乙女ゲー転生BLです。

【8話完結】勇者の「便利な恋人」を辞めます。~世界を救うより、自分の幸せを守ることにしました~

キノア9g
BL
「君は便利だ」と笑った勇者を捨てたら、彼は全てを失い、私は伝説の魔導師へ。 あらすじ 勇者パーティーの万能魔術師・エリアスには、秘密があった。 それは、勇者ガウルの恋人でありながら、家事・雑用・魔力供給係として「便利な道具」のように扱われていること。 「お前は後ろで魔法撃ってるだけで楽だよな」 「俺のコンディション管理がお前の役目だろ?」 無神経な言葉と、徹夜で装備を直し自らの生命力を削って結界を維持する日々に疲れ果てたエリアスは、ある日ついに愛想を尽かして書き置きを残す。 『辞めます』 エリアスが去った翌日から、勇者パーティーは地獄に落ちた。 不味い飯、腐るアイテム、機能しない防御。 一方、エリアスは隣国の公爵に見初められ、国宝級の魔導師として華麗に転身し、正当な評価と敬意を与えられていた。 これは、自分の価値に気づいた受けが幸せになり、全てを失った攻めがプライドも聖剣も捨てて「狂犬」のような執着を見せるまでの、再構築の物語。 【勇者×魔導師/クズ勇者の転落劇】 ※攻めへのざまぁ要素(曇らせ)がメインの作品です。 ※糖度低め/精神的充足度高め ※最後の最後に、攻めは受けの忠実な「番犬」になります。 全8話。

【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】

古森きり
BL
【書籍化決定しました!】 詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります! たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました! アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。 政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。 男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。 自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。 行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。 冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。 カクヨムに書き溜め。 小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。

処理中です...