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本編
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主人公 レイ 動物と心を交わす神聖とされる能力をもつが信じてもらえていない。人族。
ライオネル帝国
獅子帝レオンハルトを始祖とする皇族が治める獣人族の国。
かつて人族の奴隷だった獣人族を解放して国をつくったという建国の経緯から人族への偏見が根深い。
『レイ、レイ、お腹が空いたの?』
『末っ子ちゃん?』
『僕のご飯あげるよ。』
『ぎゅってしてあげる』
『寒いの?』
「少しの間かくまってくれないかしら?」
『もっちろん』
『かわいい妹』
『私たちの友達』
『間抜けでどんくさくてだめだめでめんどくさくても私たちは家族なのよ』
『何して遊ぶ?』
『私たちはあなたも含めて特別な絆で結ばれているのよ』
獣臭くて、思わず顔をしかめてもみんな笑って許してくれる。
獣人族は情が深いというけれど。父は私の食事が用意されていなくてもちっともきにしていなかった。
見つからないこと、我慢すること、分析すること
たとえ親だとしても当たり外れがある以上、それらを怠ってはいけなかった。
「嘘つきを嘘つきといって何が悪いのですか!報酬を払うと言って雇って!働かせて!条件を達成したにもかかわらずお前は評判が悪いから踏み倒せると笑ったやつと!働きたくないというのは!差別じゃなくて!区別です!というか本当に悪いのは差別じゃなくて理不尽でしょう?切りかかったら殴り返されても仕方がないでしょう?本当に何言っているのですか。本当に。あと一つ言っておきますが私が王子様王女様方に定期的に話しかけているのはこっちは仲良くする意思があるという意思表示であって媚売りではありませんからね。どんだけっ」
ぜえ、はあ。あまりの長文に一度に言い切れない。
「ど、れ、だ、け、自分に価値があると思っているのですか。忠誠?ネガキャンやめて下さったら考えます。事実無根の悪口やめてから言って、どうぞ。」
怒って皮肉って油を注いで大やけど。怒り狂った王子と公爵閣下は私を賤民に落として貧民街に放り出した。
母親がこの方向に誘導していたことに気がついても後の祭り。もはや自分にできるのは弟の無事を祈ることだけだ。いや、このままではダメだろう。きっとあの母に殺されてしまう。だが、もう何もできない。
曲がりなりにも食えていた飯にすらありつけない。自分で自分の愚かさが悔しくて悔しくて仕方がなくて、頭を掻きむしろうにもなぜだか一人になれない。
私はなんてまぬけなの!
一人にしてもらえない。いつも獣がそばにいる。今までになかったことだ。ネズミを従えて、病気を撒こうと話したらひどい目にあった。あっというまに獣たちが集まってきたと思えば、よってたかって体中をくすぐられた。いくら体をよじっても逃げられず。危うく窒息死するところだった。
それでも彼らを私は拒めない。よく私は守られる、彼らがいなくては生きて行かれなかった。
文句が多すぎて思わず嚙みつき口に広がったアンモニア臭に後悔したのは内緒だ。
ぺろり、生暖かい舌が私の頭をなでる。べっとりとついたよだれがいやでいつもどうにかよけようとしていたがどうしようもない。そのあと髪がさらさらに、肌がツルツルになって創傷が治癒することに気がついてからもどうにもいやだ。
洞穴から思わず飛び出て冷たい大気に飛び込んだ。跳ねるようにしてけもの道をたどる。ぴしり、ぴしりと細かな痛みが各所に走る。そのさまがまさしく獣人族らしいことを彼女は知らない。
盛られた毒はすっかり抜けて、黒豹はのびのびと駆け回る。月明かりの下、湖すらないこの場所で自分の姿を客観的に知る術をレイは持ち合わせていなかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
いつだってツンとした顔をした彼女が一番優秀だった。
「お前は自分が何をやったのかわかっているのか。どうして自分の娘を大切にするということすらできないのか。」
「陛下、いかがなされましたか?」
思わず皇帝陛下が呟いたその言葉はだれにも聞かれることがなく。レイと親しい他国の要人達を思い浮かべる。彼はただ一人将来の外交を悲観していた。彼女は優秀な外交官だった。だから彼女に良き後ろ盾をと図った婚姻だったがこうも裏目に出るとは。せめて、と彼女の弟を第3皇子の学友として皇宮に住まわせる指示をだすのだった。
ライオネル帝国
獅子帝レオンハルトを始祖とする皇族が治める獣人族の国。
かつて人族の奴隷だった獣人族を解放して国をつくったという建国の経緯から人族への偏見が根深い。
『レイ、レイ、お腹が空いたの?』
『末っ子ちゃん?』
『僕のご飯あげるよ。』
『ぎゅってしてあげる』
『寒いの?』
「少しの間かくまってくれないかしら?」
『もっちろん』
『かわいい妹』
『私たちの友達』
『間抜けでどんくさくてだめだめでめんどくさくても私たちは家族なのよ』
『何して遊ぶ?』
『私たちはあなたも含めて特別な絆で結ばれているのよ』
獣臭くて、思わず顔をしかめてもみんな笑って許してくれる。
獣人族は情が深いというけれど。父は私の食事が用意されていなくてもちっともきにしていなかった。
見つからないこと、我慢すること、分析すること
たとえ親だとしても当たり外れがある以上、それらを怠ってはいけなかった。
「嘘つきを嘘つきといって何が悪いのですか!報酬を払うと言って雇って!働かせて!条件を達成したにもかかわらずお前は評判が悪いから踏み倒せると笑ったやつと!働きたくないというのは!差別じゃなくて!区別です!というか本当に悪いのは差別じゃなくて理不尽でしょう?切りかかったら殴り返されても仕方がないでしょう?本当に何言っているのですか。本当に。あと一つ言っておきますが私が王子様王女様方に定期的に話しかけているのはこっちは仲良くする意思があるという意思表示であって媚売りではありませんからね。どんだけっ」
ぜえ、はあ。あまりの長文に一度に言い切れない。
「ど、れ、だ、け、自分に価値があると思っているのですか。忠誠?ネガキャンやめて下さったら考えます。事実無根の悪口やめてから言って、どうぞ。」
怒って皮肉って油を注いで大やけど。怒り狂った王子と公爵閣下は私を賤民に落として貧民街に放り出した。
母親がこの方向に誘導していたことに気がついても後の祭り。もはや自分にできるのは弟の無事を祈ることだけだ。いや、このままではダメだろう。きっとあの母に殺されてしまう。だが、もう何もできない。
曲がりなりにも食えていた飯にすらありつけない。自分で自分の愚かさが悔しくて悔しくて仕方がなくて、頭を掻きむしろうにもなぜだか一人になれない。
私はなんてまぬけなの!
一人にしてもらえない。いつも獣がそばにいる。今までになかったことだ。ネズミを従えて、病気を撒こうと話したらひどい目にあった。あっというまに獣たちが集まってきたと思えば、よってたかって体中をくすぐられた。いくら体をよじっても逃げられず。危うく窒息死するところだった。
それでも彼らを私は拒めない。よく私は守られる、彼らがいなくては生きて行かれなかった。
文句が多すぎて思わず嚙みつき口に広がったアンモニア臭に後悔したのは内緒だ。
ぺろり、生暖かい舌が私の頭をなでる。べっとりとついたよだれがいやでいつもどうにかよけようとしていたがどうしようもない。そのあと髪がさらさらに、肌がツルツルになって創傷が治癒することに気がついてからもどうにもいやだ。
洞穴から思わず飛び出て冷たい大気に飛び込んだ。跳ねるようにしてけもの道をたどる。ぴしり、ぴしりと細かな痛みが各所に走る。そのさまがまさしく獣人族らしいことを彼女は知らない。
盛られた毒はすっかり抜けて、黒豹はのびのびと駆け回る。月明かりの下、湖すらないこの場所で自分の姿を客観的に知る術をレイは持ち合わせていなかった。
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いつだってツンとした顔をした彼女が一番優秀だった。
「お前は自分が何をやったのかわかっているのか。どうして自分の娘を大切にするということすらできないのか。」
「陛下、いかがなされましたか?」
思わず皇帝陛下が呟いたその言葉はだれにも聞かれることがなく。レイと親しい他国の要人達を思い浮かべる。彼はただ一人将来の外交を悲観していた。彼女は優秀な外交官だった。だから彼女に良き後ろ盾をと図った婚姻だったがこうも裏目に出るとは。せめて、と彼女の弟を第3皇子の学友として皇宮に住まわせる指示をだすのだった。
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