全年齢対象じゃ我慢出来ない!

夜摘

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第2話 身体はJK、中身は大人の女なので

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―――『ドキドキ♡メモリーアルバム』
 私が転生したこのゲームは、高校3年間の学校生活を舞台にした女性向け恋愛シミュレーションゲームだ。
 学校での行事を一緒に過ごしたり休日にデートしたりして愛を育み、卒業式の日に告白する・されることで好きな人と結ばれるのが目的…と言う、わりと良くある、王道の学園恋愛ゲームだと思う。
 タイトルこそ少々時代を感じさせるものだがそれも当然で、現在社会人として働いている立派な大人女子の私が、実際に自分が学生時代に遊んでいた…今となっては下手すればレトレゲーム扱いされるくらいの昔の作品なんだから仕方がない。
 …プレイステーション2がレトロゲーム分類だなんて、私は信じたくないよ…。と、それはさておき…。
 まずは、私の推しキャラである『時任 宙ときとう そら』くんについて説明しようと思う。
 彼は女主人公ヒロインである私『夕凪 紅葉ゆうなぎ もみじ』の1年下の後輩であるキャラクターである。
 前髪が少し長めで、普段は隠れた少し目つきの悪い目が髪の隙間から時折ちらちらと見えるのがチャームポイントの彼は、普段は羽織ったパーカーのフードを被り、ヘッドフォンをつけている…と言うキャラデザだ。
 目立たないけれど、実は八重歯だったりするのもカワイイ。
 性格は、所謂ちょっと"オタク"と言うキャラ付けの男の子であり、自分の得意分野に関しては饒舌だが、あまり他人とのコミュニケーションが得意ではなく、異性慣れしていない。
 ツンツンした態度を取ってしまい相手に誤解されることも多いが、実際には小心者の心優しい男の子。
 女主人公ヒロインとも最初はぎこちないやりとりしか出来なかったものの、同じ趣味を共有し合っているうちにちょっとずつ仲良くなって………と言う感じで恋愛を進めて行く。
 …と言うのがゲームでの流れであるが、こちらはゲームでのメタ知識がある異世界転生者なのである。
 宙くんが好む話題だって、デートの場所だって、ファッションの系統だって全部わかってる。
 それに加え、私も実際に生きている"推し"に会えた喜びで積極的にぐいぐい行動して行ったかいあって、私が彼と仲良くなるのにそう時間はかからなかった。
 かーなりの好感度を必要とするお部屋デートだって出来るようになっているのがその証拠でもある。

 私はゲームの頃から彼が大好きで大好きで仕方がなかった。
 だから一緒に過ごせることも、話が出来ることも、彼に触れられることも嬉しくて嬉しくて仕方がなかった。
 それこそ最初は学校で会えること、休日にデート出来るだけでも満足していたくらいだった。

(…でも、こんなに仲良くなったのに、"ただの友達"でいるのはやっぱり物足りなくなっちゃうんだよな…)

 『夕凪 紅葉ゆうなぎ もみじ』は17歳の女の子だけれど、中の"私"は実際にはアラサーの大人の女なのだ。
 中学生の初恋みたいな初々しい恋愛だって楽しいけれど、本当はもっともっと沢山イチャイチャしたい…と言う気持ちになってしまう…!
 たくさんキスして欲しいし、私の身体に触れて欲しいと願ってしまう。

(……けど、あの童貞、本当にさぁ!!!!!!!!!!)

 推しキャラなのに…!!!推しキャラなのに!!!!!
 大好きなのに!!!愛してるのに脳内で童貞を罵ってしまう!
 私だって処女だけど!!!!処女なんだけどぉ!!!!!!!
 でも脳内は大人なの!!!!えっちなこともしたいの!!!!
 どうしていい雰囲気になっても!!!手を出してこないの!!!!

 そんな風に、私は彼と仲良くなればなるほど、日々溜って行く煩悩に悩まされることになってしまった。
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