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高校生

第3話 学校イチ美少女とクラスマッチ

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 暑さが増してきた七月。
 生徒はみんな制服ではなく、体操服を着ている。
 そう。今日は一学期最後の授業日であり、一学期最後の一大イベントのクラスマッチがある。
 種目はサッカーであり、全学年全クラス参加型である。
 一学期最後の一大イベントということでリア充どもは張り切っている。
 ちなみに非リア充どもは面倒くさそうな顔をしながら、会場となるグラウンドの隅に集まり、「昨日のアニメどうだったー?」とか「あのラノベ面白いよな!」とか話している。だいたい、非リア充はアニメやラノベが大好きなんだよなー。俺もだけど。
 もちろん、俺もそいつらと話しているのだが、ふと、誰かに肩をトントンと叩かれたような気がした。
 誰だよと思い、後ろを振り返るが…いない。気のせいかと思い、また、話に夢中になっているとまたトントンと叩かれた。んん?気のせいか?
 とりあえず無視することにした。どうせ気のせいだもんね!
 と、思った瞬間なんか思っいっきり叩かれた。なんで?!俺は、とっさに後ろを振り返るとそこには…なんと!……美月か…
 山本美月は名前だけ見ると女の子かと思うかもしれない。てか、俺も最初はそう思った。だけど、本人を見ると、なんと男なのだ。美月の両親!なんで女の子っぽい名前を付けたんだよ!入学して早々の教室の席順見て俺の隣は山本美月っていう女の子かーって思ったじゃねーか!
 まあ、とにかくこいつとは入学して以来結構よく話す数少ない友達なのだ。

 「なんだよ!さっきからのやつはお前がやってたのかよ!」

 「わりー、なかなか気づいてくれなかったからさ」

 美月はへらへら笑いながら言った。
 いや、気づいてくれなかったという前にお前が隠れるからだろ!
 
 「隼人、お前の彼女は?」

 「ブフォー」

 思わず吹いてしまった。
 その瞬間、ギロりという音が聞こえたような気がした。複数の目が俺を射殺すかのように睨めつけている。
 やばい、非リア充はリア充を極端に嫌う。よって、リア充=彼女。今のこいつらは俺をリア充と思っているに違いない。このままだと魔女狩りみたいなことをされちゃう!
 あ、魔女狩りというのはたしか中世のヨーロッパで行われた、拷問みたいなものだよ!
 て、脳内で誰かに説明している場合じゃない!
 俺は、とっさに本当のことを言った。あくまで付き合ってないことだけね!付き合ってなくても同居しているって言ったら拷問じゃ済まされない!

 「み、みんなー、怖いよ!付き合ってないから!本当に!」

 うわー。
 まだ疑ってるよー。まあ、そうだよね。これだけで信じるやつなんて普通いないもんね!なので、俺はみんなにその彼女と思われている子を連れて来て、本当に違うということを証明してみせることを宣言し、その場から離れた。
 後で美月のやつを殴ってやろうと心に決め、その彼女を探しに行ったのだった。

 校内を探し回ること十分。
 その彼女は廊下を歩いていた。
 俺はその彼女に声をかけて、今すぐグラウンドに来てほしいことを伝えると、

 「なんで?どうしたの?」

 と、きた。
 なので、説明をすると、なぜか顔を赤らめて少し慌てたような顔をした。どうしたんだ?
 まあ、とりあえず来てくれると言ってくれたので、俺たちはすぐに非リア充どもが待っているグラウンドに向かった。


 「おーい!連れてきたぞー!」

 すると、複数の目がこちらをギロりと睨めつけた。
 とりあえず、連れてきたその彼女を紹介した。

 「こ、こいつがたぶん…俺の彼女と思われている子で名前は知っているやつもいるかもしれないが夏川六花っていう、言います。」

 「…初めまして…夏川六花です…」

 六花は少し緊張しているのか俯いている。珍しいな。
 とりあえず俺は彼氏彼女関係ではないことを証明するために六花に聞いた。

 「俺と六花は付き合ってないよね!」

 すると、六花は耳まで真っ赤にして小さい声でそれを肯定する。

 「…う、うん…」

 なんでそんなに真っ赤になっているの?!
 非リア充どもがめっちゃ怪しんだ目で見てるじゃねーか!
 とりあえず、俺は本当に違うことを熱弁し、なんとか信じてもらうことに成功した。
 その後、予鈴がなり、クラスマッチは開催され、激しい激闘の末、俺たちのクラスは最下位になった。激しい激闘で最下位は辛すぎる!
 こうして、クラスマッチは無事に終了し、長い夏休み期間に入るのだった。
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