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高校生

第10話 学校イチ美少女と大阪

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 飛行機に乗り、鹿児島から大阪まで約一時間。
 俺たちは大阪に降り立った。
 すぐに自分のキャリーバッグを取ると、話す暇もなく、本日泊まるホテルまでバス移動が始まった。
 車内ではもうクタクタになり、俺も六花も美月も眠りこけていた。
 ホテルに到着した頃には十一時まえになっていた。

 「疲れたねー」

 六花が疲れた表情で言い、俺もそれを肯定する。
 ホテルに荷物を置き、一旦全体集合がかかった。
 引率の先生の話によると、このあとは夕方五時まで自由行動ということで解散した。
 俺たちは奈々たちと合流すると、いきなり美月が、
 
 「隼人、そーいえばさ、大阪の人って本当に関西弁喋るのかなー?」

 と、言ってきた。
 たしかに。どーでもいい話だが、俺たち奈々以外は全員鹿児島人だが、鹿児島弁を話したことはない。話すとしてもイントネーションぐらいかな?
 今、鹿児島の若者は鹿児島弁を話さない。なぜかというかまず知らない。なので、まえ、父方の祖父母の家に行ったときにおばあちゃんがおやじに、

 「けけけ」

 と、言っていた。俺は一瞬、歴史で習ったK.K.K(クー.クラックス.クラン)かと思った。……が、なぜアメリカの白人至上主義の秘密結社なんだ?おばあちゃん白人じゃないし、どこからどう見ても日本人だよ!……なら、なんなんだ?
 俺はそのあとおやじに聞いたところ、

 「ああー笑…「けけけ」というのは「貝を買って来い」っていう鹿児島弁だよ笑」

 えええ?!その「けけけ」でよく伝わったな!てか、なんで「けけけ」が「貝を買って来い」なんだ?まさか、こーいうことか?アルファベットにして「Kai wo Katte Koi」、それから頭文字を取って「KKK(けけけ)」。テレビでよくアルファベットの頭文字で表現しているどこぞのミュージシャンかよ!
 まあ、とりあえず戻るが今の鹿児島の若者は鹿児島弁を使わないのだ。
 俺たちはホテルを出ると大阪市街地に行った。
 テレビでよく見るグリコのやつなどを見て、腹が減ったので近くの店に寄った。

 「やっぱ、大阪といえばたこ焼きでしょ!」

 俺がたこ焼きを推すと、奈々が反対してきた。

 「いえいえ、違いますわ。大阪といえばお好み焼きです。これは常識ですわ」

 常識なの?!話してもらちがあきそうにないので、それぞれ食べたいものを頼んだ。
 俺と六花と瑠璃はたこ焼きを頼み、

 「本場はやっぱ違うな!」

 「そうだね!美味しい!」

 「おいしいです」

 と言って食べ、美月はお好み焼き、奈々はというと…

 「ホント美味しいですわ!」

 焼きそばを食べていた…。いや、なんでだよ!あんなにお好み焼き推してたやつがなんで焼きそば食ってんだよ!
 それぞれ食べ終わると、店を出て再び、市内を周った。

 「ねぇねぇ、大阪の名物名所ってどーいうところなの?」

 六花が聞いてきた。

 「たしかに……美月知らねーか?」

 「んー、ゲーセン?」

 「なんで大阪まで来てゲーセンなんだよ」

 美月の思考回路ぶっ壊れてんのか?なので他の三人に聞いた。

 「どこに行く?」

 「ゲーセンでいいんじゃなーい?」

 「ゲーセンでいいですわ」

 「ゲーセンでいいです」

 「……」

 そんなにゲーセンに行きたいのかよ!
 それから数分後……
 俺たちはゲーセンで夕方の五時までずっと遊びまくったのだった。なんでゲーセンなんだあ!まあ……楽しかったけど。
 ホテルに戻り、夕食、入浴を済ませるとそれぞれ泊まる部屋に行ってしまった。
 俺は美月と同じ部屋で二人部屋だ。

 「それじゃ、今から女子の部屋に行こうよ!」

 「無理だよ!」

 こいつ何考えているんだ?そもそも女子が泊まる階には見張りの先生がいるから行けねーだろ。
 なので俺はこいつが行かないよう、ゲームをすることを提案した。まあ、ソシャゲなんだが。

 「お前、このコラボガチャでなんか当てたか?」

 そうすると、美月は自慢げな態度で、

 「おう!コラボキャラ全コンプしたぞ!」

 と言った。

 「まじかよ?!」

 全コンプって……ただでさえ、排出率がめっちゃ低いのに。こいつ絶対課金したな。

 「……お前……いくら課金したんだ?」

 俺は恨みを込めて問うと、陽気な声で……

 「五万かな?あははははっ」

 ……よし!殺そう☆
 俺は美月を殴ってやった。

 「な、なんでだよ!」

 「うるせえ!俺が苦労して、無課金で頑張ってるのに!この課金やろぉー!」

 このあと、俺と美月は協力プレイなどをして、夜中までやり続けたのだった。
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