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高校生

第52話 亜美と六花のその後……亜美編

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 六花の一件から翌日。
 今度は亜美が奇妙な行動をとっていた。
 俺は学校に登校するなり、美月から「今日の亜美はヤバい」ということを聞いた。
 何がヤバいのか、聞いてみると、

 「亜美ちゃん、学校に来るなり、男子を睨みつけまくってるらしい」

 一体、亜美に何があったということなのだろうか。
 そして、放課後。
 亜美は案の定、その行為が仇となり、生徒指導の先生に呼び出された。
 亜美が俺1人しかいない教室に戻ってくると同時に何があったのか聞いた。

 「亜美、今日のお前はどうしたんだよ」

 「どうしたって何が?」

 「なんか、男子を睨みつけまくってるって聞いたけど、なんで睨みつけてるんだ?」

 「はぁあああああ?!」

 何?!今の大声は!びっくりしたよ!
 
 「私、全然睨みつけてないんですけどっ!」

 「でも、クラスの男子は全員睨みつけられたって言って、すごく落ち込んでたぞ?」

 男子が全員落ち込んでるというわけではないが、ほとんどの男子は落ち込んでいる。
 なぜかというと、亜美も結構、男子の中では人気があり、その女の子に睨みつけられたとなると、嫌われたんじゃないかと思うからだ。
 
 「えぇっ?!なんで落ち込んでるの?!」

 亜美は不思議そうな顔をして驚いていた。

 「逆に聞くけど、なんでそんなことをしたんだよ」

 すると、亜美は俯きながら小さい声で言った。

 「だって……モテまくりたかったんだもん……」

 モテまくりたい?
 あんなに睨みつけまくって、どうモテようとしたのだろうか、不思議なんだが。

 「ほら…男子って、上目遣いされると、なんかキュンキュンするんでしょ?だから、それをしてモテようと思ったの……」

 「なるほど……睨みつけてたわけじゃなくて、上目遣いだったのか!」

 俺はそう思ったけど、上目遣いでキュンキュンするやつなんているのだろうか……いや、俺は想像だけでしたぞ!思わず、キュン死にしそうだったわ…
 だけど、亜美のはどう見ても上目遣いではなく、睨みつけているだけである。
 それに……

 「なんでモテまくりたかったんだ?」

 亜美ならもうモテまくっているというのに。
 それを気づいていないのだろうか。
 すると、亜美は少し黙ったあと、顔を赤くして言った。

 「モテまくりになれば…隼人を振り向かせることができると思った……から」

 表情こそ俯いていたため分からなかったが、俺はその言葉を聞いて胸が締め付けられるように苦しくなった。
 なんて一途なんだろうか。
 こんないい子を俺は振ったというのか…って、あれ?
 俺は亜美との交際は解消したものの、嫌いになったわけじゃないし、今でも好きだ。
 ただ、俺は「六花のことも好きだから、その気持ちが整理できるまではどちらとも付き合わない」って、まえに言ったと思う。
 こいつ、俺が言ったこと理解してないな。

 「亜美、俺はお前のことが好きだ」

 「じゃ、じゃあ!……」

 「でも、それはまえに伝えただろ?だから俺の整理がつくまでは待っててくれないか?」

 「……どれくらい待てばいいの?」

 「それは分からない。でも、その間にお前に好きな人ができたら、そいつと付き合ってくれ。そのときは俺はお前を諦める」

 そう言い終わると同時に亜美は俺との間の距離を詰め、抱き着いてきた。
 そして、亜美は最後にこう言った。

 「絶対に待ってるから……絶対に私を選んでね」

 亜美は俺から離れると、鞄を手に持ち、教室から出て行った。
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