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一学期【中間試験】編
見送りの付き添い 後編
しおりを挟む「まったくもう!お兄ったら純恋さんが美人だからって鼻の下伸ばしちゃってさ!ほんと腹立つ!!」
桔梗ちゃんの家を後に翠ちゃんの家に向かっている最中なのだが、我が妹ときたらさっきからご立腹の様子だ。そんな妹華と不思議に思う俺をオロオロと困惑したように視線を右往左往させる翠ちゃん。大事な友達を困らせてどうするんだ、とため息をつき、妹華に声をかけることにした。
「そんなに純恋さんに嫉妬しなくてもいいだろ。俺はお前の方が将来、美人さんになると思ってるぞ」
わしゃわしゃと頭を撫でながらそう笑いかける。その言葉に、予想していなかったのか、妹華は顔を赤くさせる。が、それは一瞬で、次の瞬間には頭に乗せていた手を思い切り叩かれた。
…悲しい。
「い、いきなり頭撫でないでよ!髪型が乱れたらどうしてくれんの!?」
げしっと脛を蹴った後、スマホを鏡代わりにして乱れてないかをチェックしながら、乱れた部分を丁寧に直し始めた。この妹、兄への容赦がない。めちゃくちゃ痛い。しかし少しこの痛みに慣れてきたのには自分の適応力に感謝したい。
「お!いつもの妹華に戻ったみたいだな。うんうん、お前はこうでなきゃな!」
「はァ!? いつものってなによ!いつものって!私は清楚で可憐だってんの!」
反論してくるが、どう考えても妹華と真逆のタイプだ。ちょっとこの妹は自分の事をちゃんと理解していないみたいだ。
「やれやれ、愚かでおバカな我が妹に、お兄ちゃんが教えてやろう。 お前は清楚でも可憐でもなく、寧ろ、暴力的だ」
ポンポンと肩を叩いて教えてやると、手を抓られた。めちゃくちゃ痛い。ねじ切れるんじゃねえかレベルで痛い件について。そんな仲睦まじい?とは思えはない兄妹のやり取りに翠ちゃんは未だオロオロとしている。流石にこのまま放置もなんなので(まぁ、面白いから放置したいが)大人である俺は妹華にされるがまま状態で翠ちゃんに声をかける。
「ははは、困った妹でごめんね。学校とかで翠ちゃん達に迷惑かけてない?」
「あ、はい! 寧ろ、いつも…妹華ちゃんには助けられてるから…」
目を合わせるのが恥ずかしいらしい翠ちゃんは視線を下に向けながら真っ赤な顔で答える。
「へー。この愚妹が助けにねぇ。珍しいこともあるも…いてっ!?いたただだ!? お、おま!いきなり噛むんじゃねえよ!」
バカにされたのと無視されたのがムカついたらしい妹華が、先程まで抓っていた俺の手を甘噛みなんてあほらしい程に強く噛んできたことに叫ぶ。しかし、そんな行動に出やがった愚妹様は頬をふくらませて顔を背ける。
お怒りになりたいのはこちらなんだが!?
俺は噛まれて歯型の付いた手を擦りながらションボリする。相変わらず俺にだけは暴力的な妹だ。
「あ、そろそろ家近くなのでこの辺で大丈夫です! きょ…今日はありがとうございました…」
「そう? 夜は危ないし、家の前まで送るけど…」
一旦、お怒りの愚妹を放置し、翠ちゃんに尋ねる。しかし、首を左右に振り、ぺこりと頭を下げた後、
「心遣いありがとうございます。け…けど、大丈夫です。 それじゃ、失礼しますね…お兄さん。あと…またね、妹華ちゃん」
身を翻して駆けて行った。その背に俺と妹華は手を振り、
「さて、帰るか」
「--ふん」
俺達も帰路に着くのだった。
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