月に誓った、千年の恋 ―時を超えて、ただ君へ―

月華 澪

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🌙第一章「光の巫女と騎士」

第十一話 「隠れ里の決意」

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リシアが導いた隠れ里は、険しい山々に守られた自然の要塞だった。
木々に囲まれた小さな泉、石造りの家々、そして――人々の穏やかな眼差し。

レオンはその地で剣を置き、鍛冶場で働くことになった。
エリスは薬草の知識を活かし、里の療養所を手伝う日々。
だが、平穏の中にあっても、二人の胸の奥には決して拭えぬ「覚悟」が灯っていた。

リシアはそんな彼らを見守りつつ、誰にも語っていない秘密を胸に抱えていた。

「エリス、あなた……また“神託”を受けたのね?」

夜、焚き火の前。リシアがそっと問いかける。

「……ええ。ここに来てから、夢の中で、月の巫女が私に語りかけてきたの」

「なんて?」

「“この世に再び闇が満ちるとき、真の巫女と真の剣が、光を繋げ”……と」

リシアは目を伏せた。

「じゃあやはり、私たち……また、あの場所へ戻らなきゃいけないの?」

「そう。王宮に捕らわれた神殿の巫女たちも、解放しなければ」

そのとき、外で見張りをしていた少年が駆け込んできた。

「レオン様! 王都の兵が北に動き出したとの知らせが……!」

静寂が破られた。

レオンは剣を取る。エリスはローブの裾を整える。
リシアは、奥の祭壇室へと足を踏み入れた。そこには――
封印された《月の書》と《契りの杯》が、静かに光を放っていた。

「エリス。これを持って行って」
リシアが差し出したのは、銀に輝く月のペンダント。

「これは……?」

「あなたの本当の力を解き放つ鍵。私たち巫女の血の記憶が込められている」

「リシア……」

「この先、何があっても恐れずに。あなたの旅は、ここから始まる。……でも、今はまだ準備が必要よ」

三人は抱き合い、静かに誓いを交わした。
夜空には、満ちゆく月が、静かに輝いていた――。
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