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🌙第一章「光の巫女と騎士」
第十五話 「月に誓う、最後の夜」
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神殿の最奥――魂の間。
月光が天井の裂け目から差し込み、銀の柱と祈りの祭壇を淡く照らしていた。
「ここが……最後の場所だな」
レオンが呟く。
「うん……ここで、終わらせなきゃいけない」
エリスの声は震えていた。
偽りの神託を打ち破るには、巫女の命を捧げる“真なる祈り”が必要だった。
その役目を、エリスは自ら選んでいた。
「リシアが月の書を開いてくれる。
私はその光と一体になって……偽りの神託を断つわ」
「それは……もう、戻ってこられないってことか」
レオンの拳が強く握られた。
「でも、あなたは生きて。未来を守って。
あなたの剣が、いつか誰かを救う日が来るから」
「ふざけるな」
レオンが叫ぶように言った。
「一緒に生きようって、あの時誓ったじゃないか!
やっと手を繋げたのに、今さらおまえだけ――」
「ごめんね。でも、私は……あなたを守りたかったの」
エリスは涙をこらえ、微笑んだ。
「あなたに生きてほしい。
レオン、これが私の願い。魂の最後の祈り」
レオンは黙って彼女を抱きしめた。
その体温を、鼓動を、全身で覚えておこうとするように。
「……ずっと愛してる。
来世があるなら、また……絶対に見つける」
「私も。きっと、見つける。
だから――さようならは言わない」
月が満ちた。
エリスの胸元のペンダントが、ひときわ強く光り出した。
「光よ、私の魂を導いて――!」
エリスの祈りとともに、眩い光が神殿を包んだ。
その中で、レオンの腕の中から、彼女のぬくもりがすっと消えた。
「……エリス……ッ!」
残されたのは、銀のペンダントと、あたたかな月の光だけだった。
――それから。
神託は破られ、偽りの支配は終わった。
王宮は新たな秩序へと向かい、
レオンは剣を置き、北の地へ戻った。
リシアとカイルは、新しい神殿を築くため、共に旅立った。
世界は変わっていく。けれど――
エリスとレオンの誓いは、月の下に永遠に残された。
🌙第一章「光の巫女と騎士」――完
――そして時は流れ、魂は再び出逢う。
第二章「看護婦と特攻隊員」
昭和十九年。
戦火の中、彼女は再び彼にめぐり逢う――。
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だから――さようならは言わない」
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