「」

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「?」

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 私は生物ではない。一般に怪異、妖怪、幽霊、都市伝説などと呼ばれる存在だ。この世界に来てから日が浅いからか、まだ奴らに名前をつけられてはいない。だけど、少しずつ目撃情報も上がってしまっているらしい。私が見つかり、奴らから屈辱まみれの名前を与えられるのも時間の問題だろう。まあいい。その時になったら名前をつけようとした奴らを始末すれば済む話だ。
 そう考えながら私は今日もバールとくまのぬいぐるみを手にして奴らを屠る。それだけが私の楽しみだ。ああ、また奴らが怯えている顔を見ることが出来る。奴らの頭蓋骨を叩き割るあの感触を味わうことが出来る。奴らの血が飛び散る様を見ることが出来る。奴らにとっては悪夢のような光景だろうが、私には関係ない。それが私にとっては至福の時だ。奴らは恐怖心故にこの私に近づこうとはしない。逃げていくばかりだ。おかげで私が奴らを追わなければならないのだ。はあ、つまらない。今は楽しいからいいが、飽きが回ってくればただのつまらないものになってしまうだろう。それでも私は自分の存在を保つために、奴らに名前をつけられないために、そして何より自分の楽しさのために奴らを屠り続けなければいけない。私は奴らへの憎しみで今こうして姿を現しているのだから。ああ、つまらない。奴らの方から私に向かってきてくれれば手間も省けていいことずくめなのに、どうしてこの世界はそう上手く行かないんだろう。
 そんなことを考え、「臭い」を探りながら屠るべき「人間」を辿っている。私は、少し外を出歩きながら近くの家を探る。私はその気になれば姿を消すことも出来る。ああ、ここだ。私は幸せそうな一家を見つけ、浴室に潜む。
 そうして1時間ほど経った時、奴らの内の一人が浴室にのこのこと入ってきた。まだ年端もゆかない子供だった。だが、そんなこと私には関係ない。私がこんな姿になってしまったのは全てお前たちが悪いのだ。私は姿を現し、一瞬の躊躇もなく奴の頭を右手に持ったバールで思い切り殴りつける。一瞬驚いたような表情になり、しかしそれはすぐに苦痛の表情に変わる。頭蓋骨が砕ける感触が手に伝わる。ああ、最高だ。血と脳漿が飛び散り、浴室の壁と床を赤く染める。ああ、美しい。さらに殴れば脳みそが飛び出てくる。ああ、あれを食べてしまいたい。そうしている内に悲鳴を聞きつけたのか、奴の家族がやって来る。皆私を見た瞬間、怯えているような表情に変わる。皆殺しだ。そこから私は踊るようにバールを振るい、ひと振りごとに奴らの頭蓋骨を砕き、返り血に塗れたドレスで狂ったように笑う。さらに、死体の頭を何度も気が済むまで殴る。何度も、何度も。いつもだ。
 そのあと、私は当然後片付けなどするはずもなく、見る陰もなく顔を潰された死体が見つかるままにしておく。ああ、一つ忘れていた。左手に持ったくまのぬいぐるみを死体のそばに置いておく。滑稽な姿勢になるように。これが奴らへの仕返しだ。私がこうなったのは奴らのせいなのだから。ふと思いつき、もう一度振り返って辛うじて原形をとどめている死体の顔を覗き込んで見る。ああ、笑っているじゃないか。幸せそうだ。奴らの幸せそうな顔を見て私は無性に腹が立ち、顔面に思い切りバールを振り下ろす。そして、今度こそ私はその場を立ち去る。
 今の私の楽しみはバールを振るい、奴らの頭蓋骨を叩き割り、返り血を浴びて笑う。それだけだ。そう、それだけ…
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