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「ソウンディック様が申し訳ないな、お嬢さん。」
「いえ、その、そういったお話は、時間をかけてお互いを知ってからの事だと思っていただけで、その、光栄ですが…。」
「普通ならそうだろうな。突然決まる結婚なんて、今時は王命くらいなもんだ。」
ほら謝れ。と、ソウンディックはアルベルトに小突かれている。
「すまない。だが、そんなに時間は残されてないと思うんだ。レティ、先ほど、私が『精霊に厭われし者』だと、リュクスが深遠の力を手に入れる者だと言った話をしたのを覚えてるね?」
「はい。その、リュクス様が私だと…。」
「そう。君がリュクスだ、それは間違いない。問題は、私が深遠の力を手にした事だ。深遠の力は全てを飲み込む力、物も感情も空間も世界さえも。」
感情や物に負の影響を及ぼすのは、闇の精霊の加護によく似ている。
けれども、ソウンディックによれば本質が違うらしい。
「深遠の力は沼のような感じかな。底がなく、どんなものも関係なく飲み込んで広がっていく。唯一の例外はリュクスだ。リュクスの持っていた光の力は深遠の力と対を成していて、側に居るだけでこれを抑える事が出来る。」
この力も光の精霊の加護とは違って、明かりを灯したり心を暖めるのではなく、全てを明らかに照らし出し、昇華させてしまうほどの光らしい。
「リュクスは最後の力で、自分が居なくなった後でも深遠が広がらないようにしてくれていた。次のリュクスが見つかるまで、深遠の力が大きくなる私の成人の年まではと。」
「ソウンディックの成人まではあと一年だ。それまでにリュクスが見付けられず、深遠の力が強まればソウンディックは自我を飲み込まれ、世界も跡形もなく引き込まれて消えちまう。それを阻止するためにも、俺たちはリュクスを探していた。」
皆の視線がレティに集まる。
「そんな大変な力、私には何もありません。」
首を横に振る。
精霊の加護さえ持って生まれなかった。
内乱から逃げる時、アルトリアでの生活でも、加護があればどんなに義兄の助けになっただろう。
風の精霊の加護を持った兄は、気にしなくて良いと言ってくれていたが、何度自分の無力さを嘆いた事か。
「リュクスに関してはソウンディック様の、というか、深遠の本能を信じるしかないからな。いかがでしょう、ソウンディック様?」
「レティがリュクスだ。間違う事などありえない。」
ソウンディックはレティの手をとると、恭しくその甲に唇を落とした。
恥ずかしくて身動ぐが嫌じゃない。
艶やな黒髪が目の前で揺れるのを、もっと見ていたくなる。
「レティシア。お互いをよく知るためにも、私と一緒に居てくれないか?」
まっすぐに見つめられた好意的な瞳を、反らす事は出来なかった。
「いえ、その、そういったお話は、時間をかけてお互いを知ってからの事だと思っていただけで、その、光栄ですが…。」
「普通ならそうだろうな。突然決まる結婚なんて、今時は王命くらいなもんだ。」
ほら謝れ。と、ソウンディックはアルベルトに小突かれている。
「すまない。だが、そんなに時間は残されてないと思うんだ。レティ、先ほど、私が『精霊に厭われし者』だと、リュクスが深遠の力を手に入れる者だと言った話をしたのを覚えてるね?」
「はい。その、リュクス様が私だと…。」
「そう。君がリュクスだ、それは間違いない。問題は、私が深遠の力を手にした事だ。深遠の力は全てを飲み込む力、物も感情も空間も世界さえも。」
感情や物に負の影響を及ぼすのは、闇の精霊の加護によく似ている。
けれども、ソウンディックによれば本質が違うらしい。
「深遠の力は沼のような感じかな。底がなく、どんなものも関係なく飲み込んで広がっていく。唯一の例外はリュクスだ。リュクスの持っていた光の力は深遠の力と対を成していて、側に居るだけでこれを抑える事が出来る。」
この力も光の精霊の加護とは違って、明かりを灯したり心を暖めるのではなく、全てを明らかに照らし出し、昇華させてしまうほどの光らしい。
「リュクスは最後の力で、自分が居なくなった後でも深遠が広がらないようにしてくれていた。次のリュクスが見つかるまで、深遠の力が大きくなる私の成人の年まではと。」
「ソウンディックの成人まではあと一年だ。それまでにリュクスが見付けられず、深遠の力が強まればソウンディックは自我を飲み込まれ、世界も跡形もなく引き込まれて消えちまう。それを阻止するためにも、俺たちはリュクスを探していた。」
皆の視線がレティに集まる。
「そんな大変な力、私には何もありません。」
首を横に振る。
精霊の加護さえ持って生まれなかった。
内乱から逃げる時、アルトリアでの生活でも、加護があればどんなに義兄の助けになっただろう。
風の精霊の加護を持った兄は、気にしなくて良いと言ってくれていたが、何度自分の無力さを嘆いた事か。
「リュクスに関してはソウンディック様の、というか、深遠の本能を信じるしかないからな。いかがでしょう、ソウンディック様?」
「レティがリュクスだ。間違う事などありえない。」
ソウンディックはレティの手をとると、恭しくその甲に唇を落とした。
恥ずかしくて身動ぐが嫌じゃない。
艶やな黒髪が目の前で揺れるのを、もっと見ていたくなる。
「レティシア。お互いをよく知るためにも、私と一緒に居てくれないか?」
まっすぐに見つめられた好意的な瞳を、反らす事は出来なかった。
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