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消えた友人
壱
しおりを挟む「…………」
現在時刻、二十一時二十七分四十五秒。
そんな、良い子はとっくにおやすみの時間に、僕はたった一人で我が校の校門前に立っていた。
……そう。一人で。
ちょっとおおお!
あんにゃろ! 自分から九時集合とか言っときながら思いっきり遅刻してんじゃないかバカヤロー!!
こんな気味悪すぎる場所に一人とか勘弁してぇぇ!
「ううう……っ」
涙目になりながら、心の中で悲鳴を上げていると。
「よお。はえーなー。ちゃんと飯食ってきたかー?」
……………、ブチッ
「よお。じゃないですよおおおお!! 三十分も遅刻してくるとか社会人としてどうなんですか! どんだけ僕が怖かったかわかってるんですか!?」
「おーおー、そんなカッカッすんなって。俺は九時“頃”って言ったんだ。正確に九時なんて言ってねぇだろ?」
「そ、それはそうですけどおっ!」
なんという屁理屈。
しかし、尚もヘラヘラと笑う時政に、すっかり毒気を抜かれてしまった。
……もういいや。どうせ口ではこの人に敵わないんだろうし。
「ケータイ準備して、と。んじゃ、ちゃっちゃと行きますか」
「ゔ……ほ、ほんとに行くんですか……?」
「なんだよ。こえーのか?」
「そりゃ怖いですよ。夜の学校なんてきもだめしの定番だし……」
自慢じゃないが、僕は小学生の頃、お泊まり会定番のきもだめしで真っ先に泣いた。それはもう盛大に泣いた。
さすがにこの歳で泣くなんて事はないだろうが、怖がりなのは健在だ。
「だぁーいじょうぶだって。――何があっても、俺が守ってやる」
「……っ」
ゾワリと、何かが腰から駆け上がっていった。
なんて、声を出すんだ。
そんな、恋人を呼ぶみたいな、低く、甘い声。
(……ずるい)
今が暗闇で良かった。
だって、きっと、……ひどい顔、してる。
「……早く行って終わらせましょう」
「くくっ、はいはい。仰せのままに」
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