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消えた友人
参
しおりを挟むうそだ。そんな。でも。
「じゃあ、教頭先生が犯人……?」
「まだ断定はできねぇよ。学校に忍び込むくらいなんだから、ピッキングくらいできる奴かも知れねぇだろ」
ピッキング……ドラマとかで見る、ピンで鍵開けたりするやつか。
「ヒント二、失踪した生徒達は確かにその犯人に襲われたんだろう。じゃあ、何故犯人は生徒達が侵入してくる日を知ってたんだろうな?」
「……え、」
そっか。いつもいつもいるわけじゃないもんね。
「…………わかりません」
「誰かがそいつに教えていたからだ」
「えっ! じゃあ犯人は二人!?」
そんなの、捕まえられっこないじゃないか!
思わず身を乗り出す。
「だから、もう少し考えろ。犯人かどうかはわかんねぇが、協力者ではある。じゃあその目的は?」
「うええ……? そんなのわかりませんよお……」
夜の学校に忍び込む意味もわからないのに、わざわざそれを助けるようなやつの考えなんて、わかるわけがない。
「まあ確かに、これは俺も調べるまでは解んなかったからな。じゃあ別のヒント。実は夜中に男の不審者が出る、て噂の前にもう一つ噂が合ったんだ。わかるか?」
噂の前の、噂?
「……いえ」
「“夜の学校に子供が忍び込んでいる”」
「へ? でもそれって……」
男の噂を聞いて忍び込んだ生徒のことじゃ?
だが、それでは男の噂の前にあるのはおかしい。
「そう。ここで俺達は勘違いをしたんだ。怪しい子供は生徒なんかじゃない。また別もんだ」
思わずあんぐりと口を開けて頭を抱えてしまった。
それじゃあ不審者は二人いる事になるじゃないか!
「うう……頭がこんがらがってきた」
「……ふ、ゆっくり考えろ」
くしゃ、と優しく髪を撫でられる。
……また子供扱いか。
いや、まあ、こんなしがみついて歩いているだなんて子供同然だけれど。
――あれ? そういえばこれ、何処に向かってるんだ?
先程から時政は、僕に語りかけながらも迷いなく足を進めている。
……もしかして、犯人の居場所がわかってる?
チラリと時政を伺って見ると、表情は見えないがやはり迷いはないように思えた。
(やっぱり、この人には未来が見えているのかも知れない)
……なんて、馬鹿げているけれど。
「じゃあ次のヒント。仮に教頭がその怪しい男としよう。なら目的は?」
「……え、」
教頭先生の目的……
そもそもあの優しい教頭先生がそんな奇妙な事を、ましてや佐竹達を襲ったなんて信じられない。
「……わかりません。だってあの教頭先生ですよ? 目的なんて……」
「こうは考えられねぇか? その子供の噂を聞いた熱血な教頭先生は、生徒と勘違いし、捕まえようとする。しかし捕まらない。次の日も捜す。が、捕まらない。……そして、それを繰り返している内に不審な男として噂が上がってしまった。――――そうですよね? 教頭先生?」
「っ!?」
ガラッ!
時政が、いつの間にか目前に迫っていた家庭科室のドアを力一杯引いた。
そこには――――
「…………教頭、先生……」
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