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─オーバーン王国領森林地帯
少女は森の中を彷徨っていた。どこへ進んでも草と木ばかり。自分はさっきまでこんな場所にはいなかったはずだ。では一体どこにいたのか?それが思い出せない。覚えているのはただ一つ。タロウ・アマナという名前だけだった。
「おいパンセ!しっかりしろ!!」
ふと、子供のような高い声が聞こえてくる。近くに人がいるのだろうか?今は藁にも縋り、渡りに来た船を無理矢理にでも乗りたいほど困っているのだ。アマナは声のする方へと進む。
茂みを掻き分けた先に居たのは、二人の小人。等身こそ小学生程だが乳児の如く矮小で、背中から蜻蛉《トンボ》の様な羽を生やしているではないか。
「只人《サピエント》っ!?」
小人はアマナを見て驚き、叫ぶ。
「く、来るな!オイラ達は美味くないぞ!それにこいつはベノムスライムの毒に冒されてるんだ、食ったらお前も腹を壊すぞ!!」
と言いながら、横たわるもう一人の小人を庇うように仁王立ちしている。
「食べないよ。……その子、具合が悪いの?」
小人に近づいたアマナは彼と視線の高さを合わせるように屈む。
それと同時に、ぐーぎゅるるると妖精の腹が鳴る。
「お腹、空いてるの?」
アマナは小人に向かって手を差し出す。すると、アマナの掌の上に円形の菓子が現れたではないか。
「さ、只人からの施しなんて……」
小人はそれを拒もうとするも、菓子から放たれる香ばしくも甘い匂いと、神々しい輝きに抗えず手を伸ばして受け取るや、小さな口でかぶりつく。
「う……美味いッ!!」
菓子を口にし、瞬く間にそれを平らげ、小人はまたも叫ぶ。
「な、何だこの食い物!今までに味わった事の無い味と食感だ!!それどころか全身に力が漲るし傷も癒えていく……そうだ!」
横たわった方の小人を一瞥した後、アマナと視線を合わせる。
「なあ姉ちゃん、さっきのやつ、もう一回出せるかい?」
「うん……やってみる!」
と、アマナは両目を閉じ掌に力を込める。すると、またも円形の菓子が出現した。
「ありがとよ! おいパンセ、これを食うんだ。助かるかもしれないぞ?」
小人はパンセと呼んだ、もう一人の小人の口に無理矢理菓子を詰める。
「ん……ムグ…ゴクン……甘くて美味しい!!」
つい今し方まで青ざめていた小人の顔が、一瞬にして健康そのものの薄桃色がかった肌艶を取り戻したではないか。
「やったぜ!パンセ!オイラがわかるか!?」
「あれ?ポンセ?あたし、毒で死にかけてたのよね?」
女の小人パンセは、男の小人ポンセに問う。
「この人の持ってる菓子のお陰だよ!」
ポンセが指さす方向にバンセが顔を向けると、アマナのきょとんとした顔があった。
「ひぃっ!只人!!?」
「あたしはパンセでこっちは弟のポンセ。小精《ピクシー》族よ」
「姉ちゃんは只人だろ?変わった服着てるけどどこから来たんだ?」
灰色ハーフコートの下に紺色のブレザーとプリーツスカートという出で立ちのアマナにポンセが問う。
「私の名前はアマナ……タロウ・アマナ……ごめんなさい、それしか覚えていないの」
「記憶が無いの?魔物にでも襲われたのかしら?」
「でも、傷も汚れも殆ど無いぜ?それに魔物に襲われたにしては身なりがキレイすぎる」
パンセとポンセはアマナの周囲をゆっくり飛びながら。
「その…サピエントっていうのは?」
「この国……いえ、この世で最も人口が多い種族よ。角も羽も牙も無い“只の人”をそう呼ぶわ」
「けど、武器なんかの道具を発明したり戦術を考えるのが得意で知恵が回るんだ。実質的に世界を支配してるのが只人って種族さ」
と、二人はを説明する。
「あなたたちは私をみて怖がってたけど、嫌われてるの?只人って」
「只人は、私たちピクシーやエルフ、鬼《オーガー》、竜人《ドラグナー》みたいに人型で会話の出来る種族を纏めて“亜人”と呼んで見下したり、捕まえて奴隷や見せ物にする輩が多いから。でも、アマナはそうじゃないもんね」
「オイラとパンセの、命の恩人だもんな。なあ姉ちゃん、オイラ達の村に来なよ。長老様なら姉ちゃんの事も何か解るかもしれねえ」
「長老様は二千歳を超えるエルフだから、その不思議なお菓子を出せる魔法?の事も知ってるんじゃないかしら」
パンセ・ポンセはアマナの手を取り、彼女を村へと案内する。
少女は森の中を彷徨っていた。どこへ進んでも草と木ばかり。自分はさっきまでこんな場所にはいなかったはずだ。では一体どこにいたのか?それが思い出せない。覚えているのはただ一つ。タロウ・アマナという名前だけだった。
「おいパンセ!しっかりしろ!!」
ふと、子供のような高い声が聞こえてくる。近くに人がいるのだろうか?今は藁にも縋り、渡りに来た船を無理矢理にでも乗りたいほど困っているのだ。アマナは声のする方へと進む。
茂みを掻き分けた先に居たのは、二人の小人。等身こそ小学生程だが乳児の如く矮小で、背中から蜻蛉《トンボ》の様な羽を生やしているではないか。
「只人《サピエント》っ!?」
小人はアマナを見て驚き、叫ぶ。
「く、来るな!オイラ達は美味くないぞ!それにこいつはベノムスライムの毒に冒されてるんだ、食ったらお前も腹を壊すぞ!!」
と言いながら、横たわるもう一人の小人を庇うように仁王立ちしている。
「食べないよ。……その子、具合が悪いの?」
小人に近づいたアマナは彼と視線の高さを合わせるように屈む。
それと同時に、ぐーぎゅるるると妖精の腹が鳴る。
「お腹、空いてるの?」
アマナは小人に向かって手を差し出す。すると、アマナの掌の上に円形の菓子が現れたではないか。
「さ、只人からの施しなんて……」
小人はそれを拒もうとするも、菓子から放たれる香ばしくも甘い匂いと、神々しい輝きに抗えず手を伸ばして受け取るや、小さな口でかぶりつく。
「う……美味いッ!!」
菓子を口にし、瞬く間にそれを平らげ、小人はまたも叫ぶ。
「な、何だこの食い物!今までに味わった事の無い味と食感だ!!それどころか全身に力が漲るし傷も癒えていく……そうだ!」
横たわった方の小人を一瞥した後、アマナと視線を合わせる。
「なあ姉ちゃん、さっきのやつ、もう一回出せるかい?」
「うん……やってみる!」
と、アマナは両目を閉じ掌に力を込める。すると、またも円形の菓子が出現した。
「ありがとよ! おいパンセ、これを食うんだ。助かるかもしれないぞ?」
小人はパンセと呼んだ、もう一人の小人の口に無理矢理菓子を詰める。
「ん……ムグ…ゴクン……甘くて美味しい!!」
つい今し方まで青ざめていた小人の顔が、一瞬にして健康そのものの薄桃色がかった肌艶を取り戻したではないか。
「やったぜ!パンセ!オイラがわかるか!?」
「あれ?ポンセ?あたし、毒で死にかけてたのよね?」
女の小人パンセは、男の小人ポンセに問う。
「この人の持ってる菓子のお陰だよ!」
ポンセが指さす方向にバンセが顔を向けると、アマナのきょとんとした顔があった。
「ひぃっ!只人!!?」
「あたしはパンセでこっちは弟のポンセ。小精《ピクシー》族よ」
「姉ちゃんは只人だろ?変わった服着てるけどどこから来たんだ?」
灰色ハーフコートの下に紺色のブレザーとプリーツスカートという出で立ちのアマナにポンセが問う。
「私の名前はアマナ……タロウ・アマナ……ごめんなさい、それしか覚えていないの」
「記憶が無いの?魔物にでも襲われたのかしら?」
「でも、傷も汚れも殆ど無いぜ?それに魔物に襲われたにしては身なりがキレイすぎる」
パンセとポンセはアマナの周囲をゆっくり飛びながら。
「その…サピエントっていうのは?」
「この国……いえ、この世で最も人口が多い種族よ。角も羽も牙も無い“只の人”をそう呼ぶわ」
「けど、武器なんかの道具を発明したり戦術を考えるのが得意で知恵が回るんだ。実質的に世界を支配してるのが只人って種族さ」
と、二人はを説明する。
「あなたたちは私をみて怖がってたけど、嫌われてるの?只人って」
「只人は、私たちピクシーやエルフ、鬼《オーガー》、竜人《ドラグナー》みたいに人型で会話の出来る種族を纏めて“亜人”と呼んで見下したり、捕まえて奴隷や見せ物にする輩が多いから。でも、アマナはそうじゃないもんね」
「オイラとパンセの、命の恩人だもんな。なあ姉ちゃん、オイラ達の村に来なよ。長老様なら姉ちゃんの事も何か解るかもしれねえ」
「長老様は二千歳を超えるエルフだから、その不思議なお菓子を出せる魔法?の事も知ってるんじゃないかしら」
パンセ・ポンセはアマナの手を取り、彼女を村へと案内する。
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