わたしは

momo

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第一章

わたしは…女の子らしさって

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それは突然のことだった。
いつものように、またクラスの女子が男子にちょっかいかけられてた。
「○っちゃん、たすけてー」

はいはーいっとばかりに、間に入ってその男子の肩をつかもうとした瞬間

バコっ、

左ほほに痛みが走る。
カッとなったわたしはお返しに平手打ちを食らわす。

バシッ

わたしがやり返せば、たいがいの男子はしっぽを巻いて先生のもとへ逃げ失せる。

フンッっと踵を返すと

「まてぇーっ!」

ドカっ、

後頭部を強打した。さすがにグラついた、

「○っちゃん、もうやめて」

へっ、いや、今殴られたのはわたしで、
助けを求めたのはあんたでしょー

慌てて相手にかけよって大丈夫ぅっと猫なで声で話しかけている。
もう、やってらんない。

蛇口のところで殴られた左ほほを冷やしてると、背後に気配を感じ、振り返る。

「ふぅーっ、まだー終わってない!俺は負けてないいー!」

泣きながら顔を真っ赤にしてこっちに向かってくる。
目はマジだ。

グイっと胸ぐらを掴んできた。

涙目なのに
強い信念を感じた。
その姿に心を奪われてしまった。

かっ、カッコいい…
こんなにわたしに向かってきたやつは初めてだ。
わたしより強い。

気を抜いてたところにもう一発ほほに食らった。

ようやく事態に気がついた先生が止めに入った。
まぁ、また、わたしが叱られたんだけど…。


その日からソイツから目が離せなくなっていた。
気がつくと目で追っていた。
色白でちょっと天然パーマかかった短髪で、
今で言う坂口健太郎みたいな塩顔男子だ。

当時は跳び箱モンスターボックス世界保持者の池谷に似てると思った。
強い男が好きだ。

自分のなかでどんどんソイツのことが好きになっていくのがわかった。

ふとソイツと男子が話してる声が聞こえた、

「おい、お前はどんな子が好きなんだ?」

「俺は、大人しい女の子らしい子が好きだ。」


ピシャーンゴロゴロドッカーン

目の前に、雷鳴が
頭の中に衝撃が走った。

お、おとなしい…女の子らしい子が好き。

わたしとは正反対の女の子らしい子が好き。

わたしは…。


その日からわたしは「大人しく女の子らしい子」になった。
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