わたしは

momo

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第一章

わたしは…呆然

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杉村くんの突然の告白に固まったわたしは、

「いいのかな?」

という問いに、

『う、うん。』

っと頷くのが精一杯だった。


こうしてわたしを変えた彼と、つーくんと、池上くんとの度重なる三度の失恋を乗り越えて、念願の初彼氏が出来ました。

めでたしめでたし。


で終われないのがわたしなのか…。


帰りの会が終わると、杉山くんが近づいてきて、

「これっ、俺の番号。一応。」

っとテレながら電話番号が書いてあるノートの端切れを手渡してくれた。

「う、うん。じゃあ、わたしの番号…。」

っと、持っていたメモに急いで書いて手渡した。


恥ずかしさに堪えきれず、足早に帰宅する。

かおりと遊ぶ約束をしていたので、かおりのお部屋で女子トーク開始。

前回の池上くん問題からの杉村くんの突然の告白の件、議題は山積していた。

取り敢えず…

「初彼氏おめでとーーーー!!! 」

『あ、ありがと。』

「でっ、でっ、杉村くんって、どんなひとぉ?」

『やさしくて爽やかなひとかな。』

「へぇーいいじゃーん!!」

『でも…あんまししゃべったことないしさ。なんかあの岸川にゴリ押しされて…。』

「でもカッコいいんでしょ♪いいじゃーん♪
    んでんで!」

『電話番号渡された。』

「うおっほ!!かけちゃえかけちゃえ!!」

『いや…でもぉ。』

「せっかく付き合ったんだし電話番号もらったんでしょ?いいじゃーん♪」

『そっか…いいのかな。』

「そうだよー相手のこと知らなきゃ始まらないしね♪」

『わかった。…かけてみるっ!』

そう言って、わたしはかおりのお家の子機を借りて、

プルルルルル    プルルルルル

ガチッ

デタデターー!口パクでかおりにリアクションする。

「もしもし、杉村でございます。どちら様ですか?」

早口の女性…初老かな…の声がした。

どうしよどうしよ…っと口パクで、かおりに助けを求めるが、ガンバレガンバレとしか伝わってこない。


『も、もしもし。あの、同じクラスの○○ですが、○○くんはいらっしゃいますか?』

「……少々お待ち下さい。」

ぶっ気やら棒にそう答えると保留音楽が流れる

トウールルルルルルールルルー

ワーワーどうしよー。
相変わらずかおりは応援ポーズをかましている。

あ、ありがと。

ピッ、

「もしもし。代わりました。」

アーーー彼が出たよー!!えっと…えっと…特に用もない、どうしよっ…。

『いきなり、電話しちゃってごめんね。』

「あ、うん。」

『いつならお電話いいのか聞きたくて…。』

「そっか、またこちらから家電にかけるね。」

『あ、ごめんね。はーい。』

ツーツーツー


ほえーーー!!緊張したよーーーー!!

電話を切った後もかおりと恋バナで盛り上がって女子会は終了した。




ほんとに今思い返すと、家電の恐怖って相手の家族が電話に出ることなんだよね。
そこで第一関門っていうか、ちゃんと振る舞えるかで相手のご家族への自分の印象が変わってしまうのです。

いやー、時は流れて、スマホで直接相手に気軽に連絡できるなんて便利な世の中になったなってしみじみ思います。






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