わたしは

momo

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第一章

わたしは…赦し

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わたしは恋をしては気まずくなる人間を増やし、浮かれては突き落とされる青春を送り、自分というものをますます見失っていた。

目の前のときめき、目の前の恋、目の前の男子、目の前の好奇心…そんなものに捕らわれ流されるままに生きていた。
本人は必死にその瞬間瞬間に自分で数ある選択肢の中からそれを選んできたはずなのに、何一つ自信など持てなかった。

後悔してないことなど、何一つなかった。
わたしは、わたしがキライだった。

だからこそ…そんな、わたしをスキと言い必要としてくれる存在によって、心の穴を埋めようと足掻いていた。



うみちゃんとの修羅場から一ヶ月、わたしは池上くんもうみちゃんも柴野くんもいるSクラスでひたすら勉強に集中しようとしていた。

授業が終わったらかおりと合流しおしゃべりしたりして…。

そんなある日、うみちゃんに、公園に呼び出された。

「もういいよ。」


『へっ、??』

正直今回はなんのことで呼び出されているのかわからなかった。

「もういい。…柴野くん、あんたにあげるよ。」


『えっ、だって、またあんなにラブラブになったんじゃ…。』

「そうしてみたけど…、一度あんなことがあったし、あんたのこと目で追ってるくせに気にしてないフリしてるアイツ見てるの疲れちゃった。  もう、別れるから好きにしていいよ。」


そう言って、わたしを抱き締めたのだった。

『う、うみちゃん。…』

半分柴野くんのことはどうでもよくなっていたけど、うみちゃんの優しさがうれしくて、

『ありがとううみちゃん。大好きだよ。』

っと、抱き締め返したのだった。



その夜、一ヶ月ぶりくらいに柴野くんから電話がかかってきた。

「改めて…俺と付き合ってください。」

『…はい。』

「うみから言われちゃったよ。」

『なんて?』

「○っちゃんのこと泣かせたら今度こそゆるさないってさ。 よろしく、頼むって。もはや、兄貴にしか見えなかったよ。」

『うみちゃん…』

ポタポタ…そんなこと、思ってくれたんだ。
わたし、ひどいことして傷つけたのに。

もう柴野くんはさておき、うみちゃんに感動して涙が止まらなかった。

「これからは俺が君を守るから。泣かせないからね!」

彼はそう意気込んでその日は電話を切った。


こうしてわたしにとって、名実共に初めてまともに付き合ったのはこの柴野くん。
うみちゃんの元カレだった。

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