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空輸任務編
第43章 進化の兆し 後編
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研究所内の模擬戦場では、ジグロとアブソリュート・ガードナー、ゲンジとエプシロンがそれぞれ対峙した。
「この部屋は機兵やモンスターの力をテストするために作った特別製じゃ。簡単に壊れることはないから、存分に暴れて良いぞ。」
モニター越しに観察するドグマハートの音声が室内に響き渡り、火蓋が切って落とされた。
「なかなかパワーがありそうじゃあないカ!さっそく力比べと行こうか!」
ジグロは全身の筋肉を隆起させ、拳に魔力を纏わせると、猛然とガードナーに突進した。
「真っ向勝負か。心意気やよし。」
対するガードナーも、盾状になった巨大な手甲を構えて拳を固め、正面から迎え撃った。
互いの拳が飛び交い、筋肉の鎧と鋼の装甲を激しく打ち鳴らし合った。
「ハッハァー!」
「ぬぅ!」
重量級戦士が真正面からぶつかり合う乱打戦は、互角の様相を呈していた。
一方、ゲンジとエプシロンは、互いに相手から目を切らず隙をうかがいながら、双方機敏に動き回っていた。ゲンジは両手に魔力を通わせたナイフを手にし、エプシロンは柄の部分からエネルギー状の刃を発生させた光の剣を構えていた。
「(いつか仕留めそこなった野良のハンターが手にしていた剣と似た性質の武器だが、帯びているエネルギーの強さが段違いだな。うかつには飛び込めんな。)」
ゲンジはかつて見たメタルの『エナジーセイバー』を引き合いに出して、エプシロンの武装の威力を値踏みしていた。
エプシロンもまた、これ見よがしに高出力の剣を前にかざしながら、全てを見透かすかのような冷徹な眼差しをゲンジに向けていた。
「(気に入らん目つきだ。この距離から仕留めさせてもらうか。)」
ゲンジはナイフに一段と強い魔力を通わせた。
エプシロンの視線が、一層深くゲンジを射抜いた。
その時、鈍い打撃音が響きわたった。
ガードナーの拳がジグロの頬を深々と捉え、顔面を跳ね上げられたジグロの巨体が吹き飛ばされていた。
「ゲハァッ!」
苦悶の声を漏らしながら大きく後退り、たたらを踏んだ。
ゆっくりと身を起こした彼の口からは、血が滴っていたが、なおも口角を持ち上げ余裕の表情を見せている。
「このオレを肉弾戦で押し切るとは、大したモノだ。だが、こいつはどうかな?」
ジグロは全身の筋肉をさらに膨張させると、今までとは比較にならない量の魔力をその身に纏わせ、さらに増幅させて行った。彼の周りの空気が鳴動し、嵐のように吹き荒れる。
そして、ジグロは両手を前にかざし、そこにエネルギーを集中させていく。
ガードナーはその様子を観察して、即座に解析した。
「何という高エネルギー反応!恐らくは奴の切り札が来る。あの構え、砲撃か。こちらも相応の手段で受け止めなければなるまい。」
ガードナーの外装の随所に配置されている、丸い結晶のような装置が輝き、そこから球体状のエネルギー塊が無数に放出されると、宙に浮いたままガードナーの周りを囲んだ。さらに、それら球体を結ぶ面に強力なエネルギーの場が発生し、堅固なバリアを形成した。
一方のジグロも、はち切れんばかりに増幅した魔力を、両手から一気に放出した。
「消し飛べ!『ファイナルインパクト』!」
ガードナーの体を丸呑みにするほどの、巨大な破壊の波動が撃ち出された。
轟音が鳴り響き、簡単には壊れないとドグマハートが豪語していた模擬戦場の壁はいともたやすく貫かれ、大穴が口を開けた。
しかし、ジグロの破壊の波動を正面から受け止めたガードナーは、無傷でその姿を現した。
「『アブソリュートディフェンサー』!いかなる砲撃でも、この鉄壁の防御を崩すことは出来ない。」
ガードナーの周りを囲むバリアが、攻撃エネルギーを完全に遮断していたのだった。
「オレの『ファイナルインパクト』を無傷で防ぎ切るとは、信じられんな。」
無傷のガードナーを目の当たりにしたジグロは戦慄を覚えるが、なおもその瞳に宿る闘志が消えることはなく、再び距離を詰めてガードナーと両手を合わせると、再び互いに一歩も譲らぬ力比べを繰り広げた。
そんな彼らの様子を見守りつつ、両手のナイフに魔力を込め続けていたゲンジが目を見開き、大きく刃を振り抜いた。
「『ディメンションクラック』!」
ナイフを振り抜いた軌道が、赤黒く光る筋状の斬撃波となり、目の前のエプシロンに襲いかかった。
しかし、エプシロンはなおも目を離さずに真っ直ぐにゲンジと、迫り来る斬撃を見据えながら、高速で解析を行っていた。
「(ただの魔力の刃ではないな。周囲に空間の歪みが生じている。『空間の断裂』と判断する。物理特性を無視して対象を切断可能、直撃すればダメージは免れないが・・・)」
手にした剣に一層多くのエネルギーを注ぐと、目にも止まらぬ太刀筋で光の刃を振るい、迫り来る斬撃を跳ね飛ばしてしまった。
跳ね飛ばされた斬撃は、模擬戦場の堅牢な壁をまるで豆腐のようにたやすく切り裂き、深々と爪痕を刻んだ。
「バカな!いかに高出力の剣を持つとは言え、空間の断裂を弾き飛ばすなど。技の特性を一瞬で見抜いた上に、空間に干渉するほどの力と速さで攻撃を繰り出したというのか⁉︎」
ゲンジは冷や汗を流していたが、そんな彼をさらに驚愕させる光景が、立て続けに繰り広げられた。
「なかなか便利そうな技だな。『エナジーサーベル』の出力を調整、エネルギー場と空間の干渉が最大になる軌道シミュレートを完了。こうか⁉︎」
エプシロンが無造作に振るった刃から放たれた赤黒い太刀筋は、まごうことなき空間の断裂であった。
「バカな⁉︎1度見ただけで『ディメンションクラック』を真似るなど⁉︎・・・『テレポーテーション』!」
突如として眼前に現れた致死の刃を、ゲンジは空間転移の能力を咄嗟に発動してかろうじて回避した。
エプシロンが放った空間の断裂は、ゲンジのそれと同様、模擬戦場の堅牢な壁に軽々と深い傷跡を刻みつける。どうにか難を逃れたゲンジは、それを目で確認しながら、息を切らし、己の心臓が激しく脈打つ音を耳の奥に感じていた。
「・・・やってくれたな、人形風情が!」
それでもなお、己を奮い立たせ、底知れぬ学習能力の片鱗を見せつけた目の前の標的を、睨め上げた。
さらにその時、模擬戦場の扉を開けて声高に叫ぶ声が。両の手に燃え盛る炎を宿し、曲線的なシルエットで立ちポーズを決める道化の仮面。
エクトプラズマー、ウェルダンがその姿を現していた。
「なかなか酔狂なことをしていますねぇ、この私を差し置いて。無骨な戦場に、燃え盛る美しい花を添えて差し上げましょう!ホーッホホホホホ!」
「フン、自意識過剰な奴め。」
ゲンジとウェルダンが並び立ち、ブツブツと独りごちながら何かを確かめるように剣で空を切るエプシロンに、立ち向かって行った。
そんな一同の様子を眺めながら、ドグマハートはほくそ笑んでいた。
「良いぞ、お主ら特別強化機兵が経験を積めば、恐れるものなど何もない。これからはどんどん前線に出しつつ、エクトプラズマー共との訓練も課してやろう。お主らの『進化』の先に、このワシの悲願が身を結ぶのじゃ!」
鋼の生命に兆す未知の可能性と、生身の魂に根ざす意地をぶつけ合いながら、メタルたちの知らない所で、敵もまた『進化』の道を着実に歩み進んでいた。
「この部屋は機兵やモンスターの力をテストするために作った特別製じゃ。簡単に壊れることはないから、存分に暴れて良いぞ。」
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「なかなかパワーがありそうじゃあないカ!さっそく力比べと行こうか!」
ジグロは全身の筋肉を隆起させ、拳に魔力を纏わせると、猛然とガードナーに突進した。
「真っ向勝負か。心意気やよし。」
対するガードナーも、盾状になった巨大な手甲を構えて拳を固め、正面から迎え撃った。
互いの拳が飛び交い、筋肉の鎧と鋼の装甲を激しく打ち鳴らし合った。
「ハッハァー!」
「ぬぅ!」
重量級戦士が真正面からぶつかり合う乱打戦は、互角の様相を呈していた。
一方、ゲンジとエプシロンは、互いに相手から目を切らず隙をうかがいながら、双方機敏に動き回っていた。ゲンジは両手に魔力を通わせたナイフを手にし、エプシロンは柄の部分からエネルギー状の刃を発生させた光の剣を構えていた。
「(いつか仕留めそこなった野良のハンターが手にしていた剣と似た性質の武器だが、帯びているエネルギーの強さが段違いだな。うかつには飛び込めんな。)」
ゲンジはかつて見たメタルの『エナジーセイバー』を引き合いに出して、エプシロンの武装の威力を値踏みしていた。
エプシロンもまた、これ見よがしに高出力の剣を前にかざしながら、全てを見透かすかのような冷徹な眼差しをゲンジに向けていた。
「(気に入らん目つきだ。この距離から仕留めさせてもらうか。)」
ゲンジはナイフに一段と強い魔力を通わせた。
エプシロンの視線が、一層深くゲンジを射抜いた。
その時、鈍い打撃音が響きわたった。
ガードナーの拳がジグロの頬を深々と捉え、顔面を跳ね上げられたジグロの巨体が吹き飛ばされていた。
「ゲハァッ!」
苦悶の声を漏らしながら大きく後退り、たたらを踏んだ。
ゆっくりと身を起こした彼の口からは、血が滴っていたが、なおも口角を持ち上げ余裕の表情を見せている。
「このオレを肉弾戦で押し切るとは、大したモノだ。だが、こいつはどうかな?」
ジグロは全身の筋肉をさらに膨張させると、今までとは比較にならない量の魔力をその身に纏わせ、さらに増幅させて行った。彼の周りの空気が鳴動し、嵐のように吹き荒れる。
そして、ジグロは両手を前にかざし、そこにエネルギーを集中させていく。
ガードナーはその様子を観察して、即座に解析した。
「何という高エネルギー反応!恐らくは奴の切り札が来る。あの構え、砲撃か。こちらも相応の手段で受け止めなければなるまい。」
ガードナーの外装の随所に配置されている、丸い結晶のような装置が輝き、そこから球体状のエネルギー塊が無数に放出されると、宙に浮いたままガードナーの周りを囲んだ。さらに、それら球体を結ぶ面に強力なエネルギーの場が発生し、堅固なバリアを形成した。
一方のジグロも、はち切れんばかりに増幅した魔力を、両手から一気に放出した。
「消し飛べ!『ファイナルインパクト』!」
ガードナーの体を丸呑みにするほどの、巨大な破壊の波動が撃ち出された。
轟音が鳴り響き、簡単には壊れないとドグマハートが豪語していた模擬戦場の壁はいともたやすく貫かれ、大穴が口を開けた。
しかし、ジグロの破壊の波動を正面から受け止めたガードナーは、無傷でその姿を現した。
「『アブソリュートディフェンサー』!いかなる砲撃でも、この鉄壁の防御を崩すことは出来ない。」
ガードナーの周りを囲むバリアが、攻撃エネルギーを完全に遮断していたのだった。
「オレの『ファイナルインパクト』を無傷で防ぎ切るとは、信じられんな。」
無傷のガードナーを目の当たりにしたジグロは戦慄を覚えるが、なおもその瞳に宿る闘志が消えることはなく、再び距離を詰めてガードナーと両手を合わせると、再び互いに一歩も譲らぬ力比べを繰り広げた。
そんな彼らの様子を見守りつつ、両手のナイフに魔力を込め続けていたゲンジが目を見開き、大きく刃を振り抜いた。
「『ディメンションクラック』!」
ナイフを振り抜いた軌道が、赤黒く光る筋状の斬撃波となり、目の前のエプシロンに襲いかかった。
しかし、エプシロンはなおも目を離さずに真っ直ぐにゲンジと、迫り来る斬撃を見据えながら、高速で解析を行っていた。
「(ただの魔力の刃ではないな。周囲に空間の歪みが生じている。『空間の断裂』と判断する。物理特性を無視して対象を切断可能、直撃すればダメージは免れないが・・・)」
手にした剣に一層多くのエネルギーを注ぐと、目にも止まらぬ太刀筋で光の刃を振るい、迫り来る斬撃を跳ね飛ばしてしまった。
跳ね飛ばされた斬撃は、模擬戦場の堅牢な壁をまるで豆腐のようにたやすく切り裂き、深々と爪痕を刻んだ。
「バカな!いかに高出力の剣を持つとは言え、空間の断裂を弾き飛ばすなど。技の特性を一瞬で見抜いた上に、空間に干渉するほどの力と速さで攻撃を繰り出したというのか⁉︎」
ゲンジは冷や汗を流していたが、そんな彼をさらに驚愕させる光景が、立て続けに繰り広げられた。
「なかなか便利そうな技だな。『エナジーサーベル』の出力を調整、エネルギー場と空間の干渉が最大になる軌道シミュレートを完了。こうか⁉︎」
エプシロンが無造作に振るった刃から放たれた赤黒い太刀筋は、まごうことなき空間の断裂であった。
「バカな⁉︎1度見ただけで『ディメンションクラック』を真似るなど⁉︎・・・『テレポーテーション』!」
突如として眼前に現れた致死の刃を、ゲンジは空間転移の能力を咄嗟に発動してかろうじて回避した。
エプシロンが放った空間の断裂は、ゲンジのそれと同様、模擬戦場の堅牢な壁に軽々と深い傷跡を刻みつける。どうにか難を逃れたゲンジは、それを目で確認しながら、息を切らし、己の心臓が激しく脈打つ音を耳の奥に感じていた。
「・・・やってくれたな、人形風情が!」
それでもなお、己を奮い立たせ、底知れぬ学習能力の片鱗を見せつけた目の前の標的を、睨め上げた。
さらにその時、模擬戦場の扉を開けて声高に叫ぶ声が。両の手に燃え盛る炎を宿し、曲線的なシルエットで立ちポーズを決める道化の仮面。
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