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第14話「貴族院の、茶番」
第14話「貴族院の、茶番」
貴族院の審問が行われたのは、訴状提出から三週間後のことだった。
場所は貴族院の小審問室。広くはないが、格式のある部屋だ。長いテーブルを挟んで、こちら側にわたくしとアルド、向こう側にロセール男爵とハーゲン。上座に調査官が三名。
フィッシャー卿は調査官の一人として、中央に座っていた。
審問が始まる前、シオンがわたくしの耳元で静かに言った。
「根回しは、三週間前に完了しております」
「ありがとう」
わたくしは前を向いたまま、小さく答えた。
*
審問は午前十時に始まった。
ハーゲンが最初に口を開いた。
「我々の主張は明確です。覚書の第七条――返済不能の場合に更生院での労働を義務付ける条項は、貴族の身分を持つ者の自由を不当に制限するものであり、公序良俗に反します。貴族院はこれを無効と宣言し、ガイウス・ロセール殿の即時解放を命じるべきです」
調査官の一人、マルセル卿が口を開いた。
「ヴァンクール家側の見解は」
「はい」
アルドが立ち上がった。
「まず事実関係を整理させてください。件の覚書は婚姻締結日に公証人の立会いのもとで締結された、法的に有効な契約です。第七条は債務者が返済不能の場合の代替手段を定めたものであり、これは通常の金銭消費貸借契約においても一般的な条項です」
「しかし」ハーゲンが割り込んだ。「貴族に対して労働を強制することは――」
「強制ではございません」
アルドは静かに遮った。
「ガイウス殿には三つの選択肢がございました。一括返済、裁判、そして更生院入所。ガイウス殿が自らの意思で更生院入所を選択されました。書面もございます」
シオンが書類をテーブルに置いた。ガイウスの署名入りの入所同意書だ。
ハーゲンの顔が、わずかに曇った。
「その同意書は、実質的に強制されたものでは――」
「ハーゲン先生」
フィッシャー卿が穏やかに口を開いた。
「同意書には公証人の認証はございますか」
「はい」シオンが答えた。「入所同意書もウォルフ公証役場のマルクス・ウォルフ氏の認証を得ております」
フィッシャー卿が頷いた。
「つまり、ガイウス殿は公証人の立会いのもとで、自らの意思で入所に同意した、ということですね」
「御意に」
ハーゲンは黙った。
もう一人の調査官、ドラン卿が口を開いた。
「第七条の公序良俗違反については、いかがですか」
「お答えします」アルドは続けた。「公序良俗違反とは、社会通念上許容できない内容の契約を指します。本条項は債務者に労働による返済という合理的な手段を提供するものであり、これは王国の法律が認める正当な返済方法です。更生院自体、王国から正式に委託を受けた施設です」
アルドが書類を一枚提出した。
「こちらは王国財務省からの委託状です。ヴァンクール更生院が王国の正式な認可施設であることが明記されております」
審問室が静かになった。
マルセル卿とドラン卿が、書類を確認している。フィッシャー卿は静かに手を組んでいた。
ロセール男爵が、ハーゲンに何かを囁いた。ハーゲンが頷き、立ち上がった。
「一点、追加の主張がございます。ヴァンクール家が不当な圧力をガイウス殿にかけた、という点です。具体的には、シオンという執事が城門付近でガイウス殿を脅迫した」
脅迫。
わたくしは表情を変えなかった。
「証拠はございますか」
アルドが静かに問い返した。
「目撃者が――」
「目撃者の証言書をご提出ください」
「今は手元に――」
「証拠のない主張は、主張とは申しません」
アルドは穏やかに、しかし明確に言った。
「ヴァンクール家側からは、当日の城門の記録をご提出できます。シオン殿がガイウス殿と会話したことは事実ですが、脅迫の事実はございません。記録をご確認ください」
シオンがまた書類を置いた。城門の通行記録だ。
ハーゲンが書類を見た。男爵が俯いた。
しばらくの沈黙の後、フィッシャー卿が口を開いた。
「では、双方の主張は出揃ったということでよろしいですか」
ハーゲンが頷いた。アルドも頷いた。
「審議いたします。しばらくお待ちください」
三名の調査官が別室に移動した。
*
待合室でわたくしはアルドと並んで座った。
向かいにはロセール男爵とハーゲンがいる。男爵はわたくしを見なかった。ハーゲンは書類を見直していたが、その手が少し力なかった。
「アルド先生、いかがですか」
わたくしは小声で聞いた。
「問題ないかと」アルドも小声で答えた。「証拠が揃いすぎているくらいです」
「でしょうね」
シオンが静かにわたくしの傍らに立っていた。
待つこと三十分。
調査官が戻ってきた。
フィッシャー卿が結論を読み上げた。
「審議の結果、ロセール家の訴えは棄却いたします。理由は以下の通り。第一に、覚書は公証人の立会いのもとで締結された有効な契約である。第二に、更生院への入所はガイウス・ロセール殿の自由意思による同意に基づくものである。第三に、ヴァンクール家による不当な圧力の証拠は認められない。以上をもって、ロセール家の主張をすべて棄却する」
男爵が、力なく俯いた。
ハーゲンが書類を静かに片付けた。
わたくしはアルドに小さく頷いた。
「ありがとうございました」
「いえ、準備が完璧でしたので」
アルドが苦笑した。
*
審問が終わり、貴族院の廊下を歩いていると、後ろから声がかかった。
「レイラ殿」
振り返ると、ロセール男爵が立っていた。ハーゲンの姿はない。一人だ。
「……負けた」
男爵は静かに言った。
「ええ」
「もう、手はない」
「ございませんわね」
男爵はしばらく黙っていた。廊下の窓から、冬の光が差し込んでいた。
「レイラ殿、一つだけ聞いていいか」
「どうぞ」
「ガイウスは……本当に変われると思うか」
わたくしは少し驚いた。
男爵の目に、怒りはなかった。ただ、疲れた父親の目があった。
「わかりません」
わたくしは正直に答えた。
「でも」
わたくしは続けた。
「変わろうとしている気配は、あります」
男爵が小さく息をついた。
「……そうか」
「更生院は、人を壊す場所ではありません」
何度目かの、同じ言葉だった。しかし今日は少し、意味が違う気がした。
「ガイウスさんが自分の足で立てるようになることを、わたくしも願っております」
男爵は何も言わなかった。
ただ、深く頭を下げた。
わたくしはそれを受けて、一礼した。
廊下の先で、シオンが静かに待っていた。わたくしが歩み寄ると、無言で外套を差し出した。
「ありがとう」
「お疲れ様でございました」
今日のシオンは、珍しくそれだけ言った。いつもより、少しだけ柔らかい声で。
わたくしたちは貴族院を出た。
冬の空は高く、青く澄んでいた。
ロセール家との戦いが、静かに終わった。
貴族院の審問が行われたのは、訴状提出から三週間後のことだった。
場所は貴族院の小審問室。広くはないが、格式のある部屋だ。長いテーブルを挟んで、こちら側にわたくしとアルド、向こう側にロセール男爵とハーゲン。上座に調査官が三名。
フィッシャー卿は調査官の一人として、中央に座っていた。
審問が始まる前、シオンがわたくしの耳元で静かに言った。
「根回しは、三週間前に完了しております」
「ありがとう」
わたくしは前を向いたまま、小さく答えた。
*
審問は午前十時に始まった。
ハーゲンが最初に口を開いた。
「我々の主張は明確です。覚書の第七条――返済不能の場合に更生院での労働を義務付ける条項は、貴族の身分を持つ者の自由を不当に制限するものであり、公序良俗に反します。貴族院はこれを無効と宣言し、ガイウス・ロセール殿の即時解放を命じるべきです」
調査官の一人、マルセル卿が口を開いた。
「ヴァンクール家側の見解は」
「はい」
アルドが立ち上がった。
「まず事実関係を整理させてください。件の覚書は婚姻締結日に公証人の立会いのもとで締結された、法的に有効な契約です。第七条は債務者が返済不能の場合の代替手段を定めたものであり、これは通常の金銭消費貸借契約においても一般的な条項です」
「しかし」ハーゲンが割り込んだ。「貴族に対して労働を強制することは――」
「強制ではございません」
アルドは静かに遮った。
「ガイウス殿には三つの選択肢がございました。一括返済、裁判、そして更生院入所。ガイウス殿が自らの意思で更生院入所を選択されました。書面もございます」
シオンが書類をテーブルに置いた。ガイウスの署名入りの入所同意書だ。
ハーゲンの顔が、わずかに曇った。
「その同意書は、実質的に強制されたものでは――」
「ハーゲン先生」
フィッシャー卿が穏やかに口を開いた。
「同意書には公証人の認証はございますか」
「はい」シオンが答えた。「入所同意書もウォルフ公証役場のマルクス・ウォルフ氏の認証を得ております」
フィッシャー卿が頷いた。
「つまり、ガイウス殿は公証人の立会いのもとで、自らの意思で入所に同意した、ということですね」
「御意に」
ハーゲンは黙った。
もう一人の調査官、ドラン卿が口を開いた。
「第七条の公序良俗違反については、いかがですか」
「お答えします」アルドは続けた。「公序良俗違反とは、社会通念上許容できない内容の契約を指します。本条項は債務者に労働による返済という合理的な手段を提供するものであり、これは王国の法律が認める正当な返済方法です。更生院自体、王国から正式に委託を受けた施設です」
アルドが書類を一枚提出した。
「こちらは王国財務省からの委託状です。ヴァンクール更生院が王国の正式な認可施設であることが明記されております」
審問室が静かになった。
マルセル卿とドラン卿が、書類を確認している。フィッシャー卿は静かに手を組んでいた。
ロセール男爵が、ハーゲンに何かを囁いた。ハーゲンが頷き、立ち上がった。
「一点、追加の主張がございます。ヴァンクール家が不当な圧力をガイウス殿にかけた、という点です。具体的には、シオンという執事が城門付近でガイウス殿を脅迫した」
脅迫。
わたくしは表情を変えなかった。
「証拠はございますか」
アルドが静かに問い返した。
「目撃者が――」
「目撃者の証言書をご提出ください」
「今は手元に――」
「証拠のない主張は、主張とは申しません」
アルドは穏やかに、しかし明確に言った。
「ヴァンクール家側からは、当日の城門の記録をご提出できます。シオン殿がガイウス殿と会話したことは事実ですが、脅迫の事実はございません。記録をご確認ください」
シオンがまた書類を置いた。城門の通行記録だ。
ハーゲンが書類を見た。男爵が俯いた。
しばらくの沈黙の後、フィッシャー卿が口を開いた。
「では、双方の主張は出揃ったということでよろしいですか」
ハーゲンが頷いた。アルドも頷いた。
「審議いたします。しばらくお待ちください」
三名の調査官が別室に移動した。
*
待合室でわたくしはアルドと並んで座った。
向かいにはロセール男爵とハーゲンがいる。男爵はわたくしを見なかった。ハーゲンは書類を見直していたが、その手が少し力なかった。
「アルド先生、いかがですか」
わたくしは小声で聞いた。
「問題ないかと」アルドも小声で答えた。「証拠が揃いすぎているくらいです」
「でしょうね」
シオンが静かにわたくしの傍らに立っていた。
待つこと三十分。
調査官が戻ってきた。
フィッシャー卿が結論を読み上げた。
「審議の結果、ロセール家の訴えは棄却いたします。理由は以下の通り。第一に、覚書は公証人の立会いのもとで締結された有効な契約である。第二に、更生院への入所はガイウス・ロセール殿の自由意思による同意に基づくものである。第三に、ヴァンクール家による不当な圧力の証拠は認められない。以上をもって、ロセール家の主張をすべて棄却する」
男爵が、力なく俯いた。
ハーゲンが書類を静かに片付けた。
わたくしはアルドに小さく頷いた。
「ありがとうございました」
「いえ、準備が完璧でしたので」
アルドが苦笑した。
*
審問が終わり、貴族院の廊下を歩いていると、後ろから声がかかった。
「レイラ殿」
振り返ると、ロセール男爵が立っていた。ハーゲンの姿はない。一人だ。
「……負けた」
男爵は静かに言った。
「ええ」
「もう、手はない」
「ございませんわね」
男爵はしばらく黙っていた。廊下の窓から、冬の光が差し込んでいた。
「レイラ殿、一つだけ聞いていいか」
「どうぞ」
「ガイウスは……本当に変われると思うか」
わたくしは少し驚いた。
男爵の目に、怒りはなかった。ただ、疲れた父親の目があった。
「わかりません」
わたくしは正直に答えた。
「でも」
わたくしは続けた。
「変わろうとしている気配は、あります」
男爵が小さく息をついた。
「……そうか」
「更生院は、人を壊す場所ではありません」
何度目かの、同じ言葉だった。しかし今日は少し、意味が違う気がした。
「ガイウスさんが自分の足で立てるようになることを、わたくしも願っております」
男爵は何も言わなかった。
ただ、深く頭を下げた。
わたくしはそれを受けて、一礼した。
廊下の先で、シオンが静かに待っていた。わたくしが歩み寄ると、無言で外套を差し出した。
「ありがとう」
「お疲れ様でございました」
今日のシオンは、珍しくそれだけ言った。いつもより、少しだけ柔らかい声で。
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