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第3話「騎士団へ参ります」
第3話「騎士団へ参ります」
三日後、騎士団から再び使いが来た。
今度は書状ではなく、エドガー騎士が直接宿まで足を運んできた。応接室に通すと、彼はいつもより少し緊張した面持ちで向かいに座った。
「本日は、捜査の進捗をお伝えしに参りました」
「ありがとうございます。どうぞ」
私は紅茶を二人分用意して、椅子に腰を下ろした。
「カーシュ家の口座記録を金融機関に照会いたしました。ヴェルト様がご提出くださった帳簿の記録と、ほぼ完全に一致しております」
ほぼ完全に。
私は静かに頷いた。
「ほぼ、というのは」
「数件、帳簿に記録のない出金が確認されました。金額は小さいものですが——」
「ああ」
私は少し考えてから、答えた。
「結婚一年目の春ごろのものでしょうか。その時期だけ、私が体調を崩して記録が数日途切れています。そこを狙ったのかもしれません」
エドガー騎士が、書き留める手を一瞬止めた。
「……体調を崩された時期を、狙って」
「確認したわけではありません。ただ、そういうことだろうと思っています」
部屋に沈黙が落ちた。
エドガー騎士は何か言いかけて、やめた。騎士として感情を挟む場面ではない、と判断したのだろう。私はそれを、少し好ましく思った。
「捜査の結果、立件に向けた手続きを進める方針が固まりました」
彼は改めて、真っ直ぐに私を見た。
「つきましては、ヴェルト様に一つお願いがございます」
「なんでしょう」
「カーシュ家への家宅捜索に先立ち、ヴェルト様からご主人への——公式な申し立て書への署名をいただきたいのです」
申し立て書。
私は少し間を置いた。
「署名をすれば、後戻りはできませんね」
「はい」
エドガー騎士は真剣な目のまま、頷いた。
「ヴェルト様のご意志を、改めて確認させてください」
私はその夜、一人で考えた。
といっても、迷っていたわけではない。答えは最初から決まっていた。ただ、こういうことは一晩置いてから動く方がいい。感情ではなく、手順として。それが私のやり方だった。
宿の窓から王都の夜景を眺めながら、ロットのことを思った。怒りはもうなかった。悲しみも、ほとんど残っていなかった。あるのはただ、静かな確信だけだった。
あの人は、悪いことをした。
それだけだ。
感情の問題ではなく、事実の問題として。私の資産を、私の署名を、私の三年間を——無断で使った。それに対して、然るべき責任を取ってもらうだけのことだ。
翌朝、私はエドガー騎士に返事を書いた。
署名いたします、と。
騎士団庁舎の一室で、申し立て書に署名をした。
羽ペンを走らせながら、手が震えるかと思っていた。でも指先は静かなままだった。インクが乾くのを待って、書類をエドガー騎士に渡した。
「確かに受理いたしました」
彼は丁寧に書類を封筒に収めてから、顔を上げた。
「ヴェルト様、一つ申し上げてもよいでしょうか」
「どうぞ」
「……よく、ここまで一人で動かれました」
突然の言葉に、私は少し目を瞬かせた。
エドガー騎士は、騎士らしく表情を崩さないまま、でも声だけが少し柔らかかった。
「帳簿の精度も、ご提出までの手順も、まるで最初から準備されていたかのようでした。三年間、ずっと記録を続けてこられたのでしょう」
「……そうですね」
「頭が下がります」
私は少し困って、微笑んだ。
「記録するのが好きなだけです」
「それだけではないと思いますが」
エドガー騎士は、それ以上は言わなかった。
私も、それ以上は答えなかった。
家宅捜索の日程は、二日後と告げられた。
私は宿に戻りながら、ようやく実家への手紙を書くことにした。先延ばしにしていたのは、うまく言葉が見つからなかったからだ。
どう書けばいい。
夫に裏切られました。三年間、資産を横領されていました。今、騎士団が動いています。
事実を並べれば、それだけのことだ。でも父と母がどんな顔でその手紙を読むか、想像するだけで胸が痛かった。
あなたの結婚には反対だった、と父は一度も言わなかった。ロットのことを快く思っていなかったのに、私が決めたことだからと黙って送り出してくれた。
母は結婚式の朝、私の手を握って「幸せになるのよ」と言った。
その言葉が、今も耳の奥に残っている。
私は便箋を広げて、ペンを取った。
お父様、お母様へ。ご心配をおかけしますが、私は元気です——
そこまで書いて、少し止まった。
元気、かどうかは、正直わからなかった。でも嘘ではない、とも思った。少なくとも今の私は、自分の足で立って、自分の判断で動いている。それは確かだった。
私は続きを書いた。
手紙を書き終えて、封をして、宿の使いに頼んで出してもらった。
それから窓の外を見ると、夕暮れが始まろうとしていた。
明後日、家宅捜索が入る。
ロットはまだ、何も知らないだろう。あの帳簿を見た後、何かを感じ取っているかもしれないが——まさか騎士団が動いているとは、思っていないはずだ。
「一銭も渡さない」
呟いてみた。
ロットの声で、あの言葉が頭の中で再生された。得意げで、軽くて、少しも迷いのない声。
私は静かに息を吐いた。
あなたがそう言わなければ、私はもう少し迷っていたかもしれない。
奇妙な話だけれど、それは本当のことだった。
あの一言が、私の背中を押した。
迷いを、すっかり消してくれた。
その夜、夢を見た。
子供のころの夢だった。
広い庭で転んで膝を擦りむいて、泣きそうになっていたら、黒髪の少年がそっと隣にしゃがんだ。
「泣くな。みっともない」
口は悪いのに、差し出してくれたハンカチは白くて清潔だった。
シード。
あのころから、あの人はそういう人だった。
目が覚めると、部屋は暗かった。
私は天井を見つめながら、小さく息をついた。
もうすぐ、会うことになるだろうか。騎士団が動けば、王都中に話が広まるのは時間の問題だ。シードの耳に入れば——彼はきっと、飛んでくる。
でも今はまだ、自分でやり遂げる。
シードに会うのは、全部終わってからでいい。自分の足で立ち切ってから、それから初めて、あの人の前に立ちたかった。
私は目を閉じた。
明後日まで、もう少しだ。
三日後、騎士団から再び使いが来た。
今度は書状ではなく、エドガー騎士が直接宿まで足を運んできた。応接室に通すと、彼はいつもより少し緊張した面持ちで向かいに座った。
「本日は、捜査の進捗をお伝えしに参りました」
「ありがとうございます。どうぞ」
私は紅茶を二人分用意して、椅子に腰を下ろした。
「カーシュ家の口座記録を金融機関に照会いたしました。ヴェルト様がご提出くださった帳簿の記録と、ほぼ完全に一致しております」
ほぼ完全に。
私は静かに頷いた。
「ほぼ、というのは」
「数件、帳簿に記録のない出金が確認されました。金額は小さいものですが——」
「ああ」
私は少し考えてから、答えた。
「結婚一年目の春ごろのものでしょうか。その時期だけ、私が体調を崩して記録が数日途切れています。そこを狙ったのかもしれません」
エドガー騎士が、書き留める手を一瞬止めた。
「……体調を崩された時期を、狙って」
「確認したわけではありません。ただ、そういうことだろうと思っています」
部屋に沈黙が落ちた。
エドガー騎士は何か言いかけて、やめた。騎士として感情を挟む場面ではない、と判断したのだろう。私はそれを、少し好ましく思った。
「捜査の結果、立件に向けた手続きを進める方針が固まりました」
彼は改めて、真っ直ぐに私を見た。
「つきましては、ヴェルト様に一つお願いがございます」
「なんでしょう」
「カーシュ家への家宅捜索に先立ち、ヴェルト様からご主人への——公式な申し立て書への署名をいただきたいのです」
申し立て書。
私は少し間を置いた。
「署名をすれば、後戻りはできませんね」
「はい」
エドガー騎士は真剣な目のまま、頷いた。
「ヴェルト様のご意志を、改めて確認させてください」
私はその夜、一人で考えた。
といっても、迷っていたわけではない。答えは最初から決まっていた。ただ、こういうことは一晩置いてから動く方がいい。感情ではなく、手順として。それが私のやり方だった。
宿の窓から王都の夜景を眺めながら、ロットのことを思った。怒りはもうなかった。悲しみも、ほとんど残っていなかった。あるのはただ、静かな確信だけだった。
あの人は、悪いことをした。
それだけだ。
感情の問題ではなく、事実の問題として。私の資産を、私の署名を、私の三年間を——無断で使った。それに対して、然るべき責任を取ってもらうだけのことだ。
翌朝、私はエドガー騎士に返事を書いた。
署名いたします、と。
騎士団庁舎の一室で、申し立て書に署名をした。
羽ペンを走らせながら、手が震えるかと思っていた。でも指先は静かなままだった。インクが乾くのを待って、書類をエドガー騎士に渡した。
「確かに受理いたしました」
彼は丁寧に書類を封筒に収めてから、顔を上げた。
「ヴェルト様、一つ申し上げてもよいでしょうか」
「どうぞ」
「……よく、ここまで一人で動かれました」
突然の言葉に、私は少し目を瞬かせた。
エドガー騎士は、騎士らしく表情を崩さないまま、でも声だけが少し柔らかかった。
「帳簿の精度も、ご提出までの手順も、まるで最初から準備されていたかのようでした。三年間、ずっと記録を続けてこられたのでしょう」
「……そうですね」
「頭が下がります」
私は少し困って、微笑んだ。
「記録するのが好きなだけです」
「それだけではないと思いますが」
エドガー騎士は、それ以上は言わなかった。
私も、それ以上は答えなかった。
家宅捜索の日程は、二日後と告げられた。
私は宿に戻りながら、ようやく実家への手紙を書くことにした。先延ばしにしていたのは、うまく言葉が見つからなかったからだ。
どう書けばいい。
夫に裏切られました。三年間、資産を横領されていました。今、騎士団が動いています。
事実を並べれば、それだけのことだ。でも父と母がどんな顔でその手紙を読むか、想像するだけで胸が痛かった。
あなたの結婚には反対だった、と父は一度も言わなかった。ロットのことを快く思っていなかったのに、私が決めたことだからと黙って送り出してくれた。
母は結婚式の朝、私の手を握って「幸せになるのよ」と言った。
その言葉が、今も耳の奥に残っている。
私は便箋を広げて、ペンを取った。
お父様、お母様へ。ご心配をおかけしますが、私は元気です——
そこまで書いて、少し止まった。
元気、かどうかは、正直わからなかった。でも嘘ではない、とも思った。少なくとも今の私は、自分の足で立って、自分の判断で動いている。それは確かだった。
私は続きを書いた。
手紙を書き終えて、封をして、宿の使いに頼んで出してもらった。
それから窓の外を見ると、夕暮れが始まろうとしていた。
明後日、家宅捜索が入る。
ロットはまだ、何も知らないだろう。あの帳簿を見た後、何かを感じ取っているかもしれないが——まさか騎士団が動いているとは、思っていないはずだ。
「一銭も渡さない」
呟いてみた。
ロットの声で、あの言葉が頭の中で再生された。得意げで、軽くて、少しも迷いのない声。
私は静かに息を吐いた。
あなたがそう言わなければ、私はもう少し迷っていたかもしれない。
奇妙な話だけれど、それは本当のことだった。
あの一言が、私の背中を押した。
迷いを、すっかり消してくれた。
その夜、夢を見た。
子供のころの夢だった。
広い庭で転んで膝を擦りむいて、泣きそうになっていたら、黒髪の少年がそっと隣にしゃがんだ。
「泣くな。みっともない」
口は悪いのに、差し出してくれたハンカチは白くて清潔だった。
シード。
あのころから、あの人はそういう人だった。
目が覚めると、部屋は暗かった。
私は天井を見つめながら、小さく息をついた。
もうすぐ、会うことになるだろうか。騎士団が動けば、王都中に話が広まるのは時間の問題だ。シードの耳に入れば——彼はきっと、飛んでくる。
でも今はまだ、自分でやり遂げる。
シードに会うのは、全部終わってからでいい。自分の足で立ち切ってから、それから初めて、あの人の前に立ちたかった。
私は目を閉じた。
明後日まで、もう少しだ。
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