​『異世界交錯:獣と神秘の檻に堕ちて』

まさき

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エルフと獣人×転生者

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異世界の夜は、現代日本とは比べものにならないほど深い。
窓の外には、二つの月が冷ややかな光を放ち、魔法によって防音された宿の一室は、静寂を通り越して耳が痛くなるほどの重圧に包まれていた。
だが、その静寂は、すぐに二人の捕食者たちが放つ、熱を帯びた吐息によって塗り潰される。

「ねえ、……いつまでそんなに強張っているの? 転生してこの世界に来たとき、あなたは何にでもなれると言ったでしょう? なら、今夜は私たちの『玩具』になればいいのよ」

耳元で、鈴の音を転がしたような、けれど背筋を凍らせるほど艶やかな声が響いた。
銀糸のような長い髪が僕の肩にこぼれ落ちる。エルフだ。
透き通るような白い肌は、月光を浴びて陶器のように滑らかに見えるが、僕の右腕に絡みつくその指先は、驚くほど強欲で、逃げ道を塞ぐように関節一つひとつに力を込めている。
エルフ特有のひんやりとした肌が、僕の体温を奪うどころか、逆に内側の熱をじわじわと引き出し、神経を逆撫でしていく。

「……離せとは言わないけど、ちょっと近すぎないか?」

僕の精一杯の抵抗は、反対側から聞こえた野性的な低音によって霧散した。

「おい……俺を忘れてもらっちゃ困るぜ、主(あるじ)。お前の左側は、最初から俺の牙が届く距離にあるんだからな」

獣人の逞しい腕が、僕の左肩を背後から抱き込み、ぐいと自分の方へと引き寄せた。
獣人特有の、鼻をつくような野性味溢れる体臭。それは不快なものではなく、むしろ雄としての圧倒的な生命力を誇示する、抗いがたい香気だ。
獣人の太い指先が、僕の首筋をなぞる。彼の爪は短く切り揃えられているが、それでも肌をなぞるたびに、獲物の命脈を正確に捉える捕食者の重みが伝わってきた。

「ふふ、あなたも随分と気が立っているわね。……でも、無理もないわ。今日の彼は、あの女騎士の前で、あんなに無防備な顔を見せていたのだから」

エルフの指が、僕の喉仏を愛しむように、そして締め上げるように優しく這い回る。
その瞳は、昼間の賢明な冒険者のそれではない。獲物を前にした、底知れぬ独占欲と加虐心に濡れた、濁った翡翠の色をしていた。

「ああ、そうだ。あの時の主の顔……、俺たちには見せたこともねえような、穏やかな笑いだった。……気に食わねえ。その笑顔も、その声も、その熱い体も……全部、俺たちが泥々に書き換えてやる」

獣人が僕の耳裏に鼻先を押し当て、深く息を吸い込む。
ゾクリ、と背筋に電流が走った。
現代知識という「チート」を持ってこの世界に来た僕だったが、この二人の『異常なまでの執着』という現実の前では、どんな魔法も、どんな知識も、何の役にも立たない。

「待って、二人とも……っ、話し合おう。僕はただ、クエストの報告をしてただけで……」

「話し合いなら、もう終わったわ。今、私たちの間で決まったの」

エルフの指が、僕のシャツの第一ボタンに掛かった。
カチリ、とボタンが外れる小さな音が、この部屋では爆辞のように響く。

「今夜、あなたの心も体も、指先一本に至るまで……、私たちが徹底的に『分かち合う』ってね」

獣人の大きな掌が、僕の腰を強引に引き寄せ、自らの硬い腿の上に座らせた。
逃げ場はない。
目の前には冷徹なまでに美しいエルフの魔性、背後には本能に忠実な獣人の剛力。
二人の異なる熱が、僕の皮膚を通して混ざり合い、僕という存在を侵食し始める。

「……さあ、最高の夜を始めましょうか? 転生者さん」

エルフの唇が、僕の唇を強引に奪った。
冷たい感触の奥から、熱い舌が侵入してくる。
同時に、獣人の熱い舌が、僕の首筋にある敏感な一点を激しく舐り上げた。

視界が白く霞み、頭の中の導火線に火がつく。
僕の異世界生活。今夜ばかりは、二人の愛という名の猛火に、骨の髄まで焼き尽くされることを悟った――。



「……っ、ふ、あ……っ!」

エルフに唇を塞がれ、無理やり口内を蹂躙される衝撃に、僕の思考は一瞬で白濁した。
エルフの舌は、その端正な容貌からは想像もつかないほど大胆で、執拗だ。僕の舌を絡め取り、上顎の過敏な場所をなぞり、口腔内の粘膜という粘膜を自らの味に染め上げようとしている。
鼻に抜けるのは、エルフ特有の森の香気と、彼自身の魔力が混じり合った、脳を麻痺させるような甘い匂い。

同時に、背後からは獣人の荒々しい咆哮に近い吐息が、僕のうなじを焼き尽くさんばかりに吹き付けられた。

「おい、エルフ……。独り占めすんじゃねえよ。こいつの喉の鳴る音、俺にもっと聞かせろ」

獣人の大きな掌が、僕のシャツの残りのボタンを無造作に引き千切った。
パチン、パチンと、プラスチックの弾ける乾いた音が部屋に響く。
露わになった僕の胸元に、獣人は待っていたと言わんばかりに顔を埋めた。
獣人のざらりとした、そして驚くほど熱い舌が、僕の鎖骨の窪みを深く舐り上げる。
猫科の獣のように、舌の表面にある突起が僕の柔肌を微かに傷つけ、それが「痛み」を通り越して「烈火のような刺激」となって脳髄を直撃した。

「あ、が……っ、やめ……っ、……っ!」

「やめろ、なんて。口では言いながら、心臓はこんなに跳ねているわよ?」

唇を離したエルフが、僕の胸元に指先を添える。
彼の爪が、僕の乳首の周囲を円を描くように執拗になぞり、時折、鋭く弾いた。
エルフの指先からは、微弱な魔力が常に流れ込んでいる。それは僕の神経系を強制的に興奮状態に置き、わずかな接触さえも「致死量の快楽」へと変換させてしまう禁忌の術だ。

「ひ、あぁっ! ……っ、それ、は、変だ……っ!」

「変じゃないわ。これが、あなたの体が本当に欲しがっているものよ。……転生して、チートなんて便利な力を持ったせいで、あなたは自分の『肉体』が持つ本当の声を聞き逃していたのね」

エルフは嘲笑うように目を細めると、今度は僕の耳たぶを深く口に含んだ。
尖った耳が僕の頬を撫で、エルフの冷ややかな吐息が耳孔へと吹き込まれる。
一方で、獣人の手はすでに僕のベルトへと届いていた。
金属のバックルが外れる重い音が響き、僕の唯一の防波堤だったズボンが、無慈悲に膝元まで引きずり降ろされる。

「お前のここ……。さっきから、期待してピクピク動いてるぜ?」

獣人が、僕の太腿の間に自らの逞しい腕を割り込ませた。
獣人特有の、隆起した筋肉の感触。そして、その指が僕の最もデリケートな場所を、布越しではなく直接捉えた瞬間、僕は腰を跳ねさせ、絶叫を上げた。

「……あ、あああああああぁぁぁっ!!」

「いい声だ。もっと鳴け。……お前が人間であることを忘れるまで、俺たちがたっぷりと『教育』してやる」

獣人の指が、先走った蜜を潤滑剤にして、僕の先端を執拗にしごき上げる。
荒々しく、けれど急所を外さない熟練の愛撫。
一方で、エルフは僕の反対側の手首を掴み、その指先一本一本を自らの口に含んで、まるで宝石でも愛でるかのように舐り上げた。

「拒まなくていいの。……あなたはただ、二つの異なる熱に挟まれて、溶けていけばいい。……そう、私たちがあなたを、もう二度と元に戻れないほどに壊してあげるから」

右側からは、エルフの魔力を帯びた、神経を逆撫でするような緻密な攻め。
左側からは、獣人の本能に基づいた、肉体そのものを蹂躙するような暴力的な熱量。
二つの正反対のベクトルが、僕という一つの体を戦場にして、激しく火花を散らす。

僕はもう、自分がかつていた日本の風景も、この世界で成し遂げた冒険も、何一つ思い出せなくなっていた。
ただ、目の前で妖しく微笑むエルフの翡翠の瞳と、背後で飢えた獣のように喉を鳴らす獣人の金色の瞳。
その二つの深淵に、僕は魂ごと引き摺り込まれていく――。

「……さあ、ここからが本番よ。準備はいいかしら、僕(あるじ)?」



「……ああ、なんて淫らな顔。転生者としての矜持は、もうどこかへ捨ててしまったのかしら?」

エルフが僕の頬を両手で包み込み、無理やり視線を固定させる。彼の瞳は、もはや静謐な冒険者のものではなく、欲望の沼に沈んだ魔性の輝きを放っていた。
エルフが指先に魔力を込めると、僕の肌に触れている場所から、火を噴くような熱が体内に逆流してくる。それは神経の一本一本を無理やり引き伸ばし、快楽に対して無防備な状態へと書き換えていく禁忌の法。

「ひ……あ、あぁっ…………っ!」

「いいわ、もっとその熱い吐息を私に注いで。……でも、まだ足りない。あなたの『中』が、どれほど私たちを求めているか……確かめさせてもらうわよ」

エルフの細い指が、僕の脚の付け根へと滑り落ちる。
一方で、背後から僕を抱きすくめる獣人の腕は、さらにその力を増していた。獣人の逞しい胸筋が僕の背中を圧迫し、彼の激しい鼓動が脊髄を通して僕の心臓へと直接伝播してくる。

「……おい、エルフ。主のここは、もう準備ができてるみたいだぜ」

獣人が僕の腰を高く持ち上げ、四つん這いに近い姿勢へと強制的に変えさせる。
露わになった僕の最奥。そこに、獣人の熱い鼻息が吹きかけられた。
「やめ…………っ、そこは……っ!」
「やめるわけねえだろ。お前のこの震え……、俺の『牙』を待ってるんじゃねえのか?」

獣人のざらりとした舌が、僕の入り口を深く、執拗に舐り上げた。
獣特有の、粘膜に絡みつくような熱量。その刺激に、僕は腰を跳ねさせ、シーツを指が白くなるほどに握りしめる。
獣人の舌が内壁を抉るように蠢くたび、クチュリ、と卑猥な音が静寂を支配する。

「……あ、あが……っ、あああああぁぁっ!!」

「ふふ、そんなに大きな声を出して。……でも不公平よね?」

エルフが僕の正面に回り込み、自らの膝を僕の股間に割り込ませた。
彼は僕の胸元を愛撫しながら、空いたもう片方の手を、獣人が蹂躙している場所へと添える。
エルフのひんやりとした指先と、獣人の焼けるような舌。
二つの相反する感触が、僕の狭い入り口で混ざり合い、押し合い、僕の中へと侵入を試みる。

「……っ、ふ、あぁっ! 同時に、なんて……無理だ、壊れ、ちゃう……っ!」

「壊れないわ。私が魔法で、あなたの限界を広げてあげているもの。……ほら、もっと力を抜いて。私たちの熱を受け入れなさい」

エルフの指が、獣人の舌と入れ替わるように、僕の最奥へと深々と沈み込んだ。
魔法で磨き上げられたかのような滑らかな指先が、容赦なく内側の過敏なスポットを擦り上げる。
「ひぐっ……あ……っ!」
脳髄が沸騰するような快感。
エルフの指は、まるで僕の体の構造をすべて知り尽くしているかのように、避けてほしい場所、触れてほしい場所を的確に蹂ンプしていく。

「……そろそろ、我慢も限界でしょう?」

エルフが艶然と微笑み、僕を振り返る。
獣人は、もはや言葉を返す余裕もないほどに、黄金の瞳を獣の情動に染め上げていた。
彼は僕の腰を両手でガチリと掴むと、その爪を肉に食い込ませて固定する。
獣人の巨大な「剛」が、僕の入り口を執拗に突き、抉り、強引に道を広げていく。

「……主。俺の色で、お前の中を全部塗り潰してやる……っ!」

獣人の咆哮とともに、逃げ場のない衝撃が僕の深淵を貫いた。
「っ、がああああああぁぁぁっ!!」
内壁を無理やり押し広げ、蹂躙し、内臓まで押し上げるような圧倒的な重量感。
だが、その苦痛さえも、エルフが僕の首筋に注ぎ込む魔力によって、瞬時にして烈火のような快楽へと変換される。

視界は完全に白濁し、僕はただ、自分を繋ぎ止めている二人の強大な存在に、魂ごと沈んでいった。
一突きごとに、僕の中の「人間としての理性」が剥がれ落ち、代わりに二人の捕食者の「熱」が、僕という空の器を満たしていく。

「そう……、その調子よ。もっと奥まで、私たちの愛を受け止めなさい……」

三人の汗と、吐息と、溢れ出した蜜が混じり合い、夜の帳はさらに深く、濃密に降りていく――。




「……あ、あぁ……っ! あ、が……っ、あああああぁぁぁっ!!」

僕の絶叫は、もはや意味のある言葉を成していなかった。
背後から僕を貫く獣人の衝撃は、回を追うごとにその重みを増し、容赦なく僕の内壁を蹂躙していく。獣人特有の硬い筋肉が僕の臀部を叩くたびに、ドスッ、という鈍い音が寝室に響き、僕の腹の底までその振動が突き抜けた。

獣人の「剛」が僕の最奥を抉るたび、強制的に肺の空気が押し出され、視界がチカチカと明滅する。
だが、その暴力的なまでの熱量こそが、今の僕にとっては唯一の救いだった。

「……っ、ふ、あ……。おい、エルフ……。主の中、さっきよりもっと熱くなってやがるぞ……っ! 俺を飲み込もうとして、必死に締め付けてきやがる……!」

獣人が僕の腰を掴む手に力を込めると、その鋭い爪が僕の肌に食い込んだ。痛み。けれど、その痛みさえもエルフの魔法によって極上のスパイスへと変えられてしまう。

「ふふ、当然よ。私の魔力が、彼の神経を完全に『開放』してあげたのだから。……ほら、僕。そんなに獣人の熱が心地いいの? なら、私の方ももっと可愛がってあげないとね」

エルフが僕の正面から、自らの滑らかな肌を僕の胸板に押し当てた。
冷涼だったはずのエルフの肌は、今や僕の体温を吸い取って、火照ったように熱を帯びている。エルフは僕の顔を両手で挟み込み、無理やり自分の方へと向けさせると、涙で濡れた僕の瞳を優しく、けれど執拗に舐めとった。

「あ…………っ。もう、だめ……壊れ、ちゃう……脳が、溶ける……っ!」

「いいのよ、溶けてしまえば。……転生してまで守りたかった自分なんて、この快楽の海に捨ててしまいなさい。今、あなたを感じているのは、私たち二人だけ。あなたの世界は、この四畳半のベッドの上だけで完結しているのよ」

エルフの細い指が、僕の喉仏を愛撫するように這い上がり、そのまま僕の口内へと侵入した。
エルフの指が僕の舌を弄り、口腔内の粘膜を刺激する。
後ろからは獣人の暴力的な突き上げ、前からはエルフの緻密で魔法的な挑発。
上下、前後、内外――僕のあらゆる感覚器官は、今や二人の捕食者によって完全に支配されていた。

「ひ……あ、あぁっ! ……っ、そこ、っ、そこは、だめぇ……っ!!」

僕が最も敏感な一点。
獣人の「剛」がそこを正確に、逃さず捉えた瞬間、僕の背中が弓なりに反り上がった。
「だめ?……いや、ここが一番いいんだろ? お前の体がそう言ってるぜ」

獣人が腰の動きを早めると、グチュ、グチャ……と、肉と肉がぶつかり、混ざり合う、卑猥な音がさらに激しさを増していく。
溢れ出した僕の蜜と、獣人の熱い吐息、そしてエルフから放たれる翡翠色の魔力の残光。
それらが一つに溶け合い、部屋の空気は、吸い込むだけで意識を失いそうなほど濃密な「情欲」に満たされていた。

「……ああ、最高よ。あなたのすべてが、私たちの色に染まっていくわ」

エルフが僕の耳朶を甘噛みし、最後の仕上げと言わんばかりに強大な魔力を流し込む。
それは、絶頂の波をさらに何倍にも増幅させ、終わりのない痙攣へと僕を誘う禁忌の術。
僕の足先から頭のてっぺんまで、すべての神経が限界まで引き絞られた弦のように震え、爆発の瞬間を待つ。

「……出すぞ、主! 俺のすべてを、お前の中にぶち撒けてやる……っ!!」

「私も、あなたの最深部まで、私の魔力を焼き付けてあげる……」

獣人の咆哮と、エルフの艶やかな囁きが重なった。
次の瞬間、僕の意識は真っ白な閃光の中に弾け飛んだ。

「――っ!! あああああああああああああああぁぁぁっ!!!」

僕の最奥に、獣人の熱い命の奔流が叩き込まれる。
同時に、エルフの指先から、脳髄を焼き切るような魔力の奔流が僕の全身を駆け巡った。
内側から膨れ上がるような圧倒的な圧力。
あまりの快感の過負荷に、僕は声を上げることさえ忘れ、ただ天を仰いで、白目を剥きながらガクガクと全身を震わせることしかできなかった。

熱い。熱い。熱い。
二人の異なる熱が、僕の中で混ざり合い、渦を巻き、僕という存在の境界線を完全に消し去っていく。
視界が白濁し、思考が停止し、僕はただ、自分を支配する二人の腕の中に、魂ごと沈下していった――。



「……ふふ、見て。完全に『おちて』しまったわね。私たちの愛が、そんなに深かったのかしら?」

エルフの囁きが、意識の混濁した僕の脳裏に、とろけた蜜のように流れ込んできた。
視界はまだ白く霞み、焦点が合わない。ただ、自分の全身が、自分ではない誰かの熱と匂いに、一滴の隙間もなく塗り潰されていることだけが理解できた。

「ああ……。俺の形が、こいつの奥底にしっかり刻み込まれてやがる。もう離そうとしても、一生解けねえだろうな」

背後から僕を抱きすくめる獣人の腕が、慈しむように、けれど鎖のように僕の胸元を締め上げる。
獣人特有の、野性味溢れる情熱的な体温が背中から伝わり、まだ小刻みに震えている僕の神経を優しく、そして執拗に刺激し続けた。

僕は、指先一つ動かすことさえできなかった。
転生して得たはずの魔力も、現代の知識も、今は遠い銀河の彼方の出来事のように思える。
ただ、エルフの冷涼な指先が僕の頬をなぞり、獣人の熱い鼓動が背中を叩く。この狭いベッドの上の現実だけが、僕という存在を繋ぎ止める唯一の錨(いかり)だった。

「ひ……あ、ぁ……っ、……、……っ」

かすれた声で二人の名を呼ぶと、エルフが愛おしそうに目を細め、僕の唇に自分の指を差し入れた。
「なあに? もっと『おねだり』したいの? ……いいわよ。あなたの体は、もう私の魔力がなければ呼吸さえ苦しくなるほどに作り変えてあげたもの」

エルフの指が口内で僕の舌を愛撫し、同時に首筋に刻まれた紅い痕――獣人の歯形と、エルフの魔力の刻印が、チリチリと熱を帯びる。
それは僕が二人の「所有物」になったという、消えない証。

「……お前はもう、どこにも行けねえんだ。あの女騎士のところも、元の世界とやらもな。お前の居場所は、俺の腕の中と、エルフの指先の上だけだ」

獣人が僕の耳朶をガブリと噛み、自分の匂いをこれでもかと擦り付ける。
獣人の荒々しい愛撫が、再び僕の腰を熱くさせた。絶頂を迎えたはずの体なのに、二人の熱に触れられているだけで、またしても内壁がヒクヒクと甘い疼きを上げ始める。

「……あ、あああぁっ! また、熱く……なっちゃう……っ! だめ、もう、壊れちゃうよ……っ!」

「壊れても、私が何度でも繋ぎ合わせてあげる。……そうして、永遠に終わらない夢を見せてあげるから」

エルフが僕の瞳を覗き込み、妖しく微笑む。その翡翠の瞳には、僕という獲物を閉じ込めるための、底知れぬ深淵が広がっていた。
獣人の巨大な質量が、再び僕の入り口を割り、ゆっくりと、けれど確実な支配を持って僕の最奥へと沈み込んでいく。

「ひ……っ、あぁ、ああああああぁぁっ!!」

再び訪れる、暴力的なまでの快楽。
エルフの緻密な指先が僕の胸元を弄り、獣人の猛々しい突き上げが僕の思考を粉々に砕く。
窓の外では、二つの月が沈み、黎明の光がわずかに差し込み始めていた。
けれど、この部屋の「夜」が終わることはない。

僕はただ、二人の捕食者の狭間で、名前も、過去も、プライドもすべてを溶かしながら、ただひたすらに彼らの熱を貪り続ける。
それは、転生者が辿り着いた、最も淫らで、最も幸福な「地獄」だった。

「……さあ、次の『教育』を始めましょう。夜明けは、まだ始まったばかりなのだから」

エルフの冷ややかな吐息と、獣人の熱い咆哮。
その二つの大きな渦に飲み込まれながら、僕は三度(みたび)、意識の彼方へと堕ちていった――。




窓の外、薄明るい東の空から差し込む黎明の光が、乱れたベッドの上を冷酷なまでに照らし出す。
だが、その光さえも、この部屋に充満する濃厚な情欲の匂いを薄めることはできなかった。
シーツは三人の汗と体液、そして弾け飛んだ魔力の残滓でぐっしょりと濡れそぼり、僕の体はもはや、自分の意志で指一本動かすことさえ叶わない。

「……あら、もう意識が戻ったの? 転生者の生命力というのは、本当に感心するわね」

エルフの、鈴を転がすような、けれど独占欲を孕んだ低い声が耳元を打つ。
彼の白銀の髪が僕の鎖骨にさらさらと降り注ぎ、ひんやりとした感覚が、熱を帯びた僕の肌を心地よく、そして残酷に刺激した。エルフの細い指先が、僕の胸元にある、獣人が付けた紅い噛み痕を執拗になぞる。

「ひ……あ、ぁ…………」

「そんな声で呼ばないで。……また、あなたを壊したくなってしまうじゃない」

エルフは艶然と微笑むと、僕の首筋に顔を埋め、まだ生々しい熱を保っている皮膚を深く吸い上げた。
チリリ、と神経を逆撫でするような痺れ。彼の魔力が、僕の疲弊した体に再び強制的な活力を注ぎ込み、眠っていたはずの感覚を無理やり覚醒させていく。

「おい……エルフ。主を独り占めするな。こいつはまだ、俺の匂いで満たされてる最中なんだ」

背後から僕の腰を抱きしめていた獣人が、不機嫌そうに喉を鳴らした。
獣人の体温は、朝になってもなお、燃え盛る火炉のように高い。彼の隆起した腕の筋肉が僕の腹部を圧迫し、密着した臀部には、再び硬度を増した彼の「野性」がずっしりとした重みを持って押し当てられた。

「…………っ。もう、勘弁してくれ……っ、体中、熱くて……おかしくなりそうなんだ……」

「おかしくなればいい。……お前が俺たちのこと以外、何も考えられなくなるまで、俺の熱を叩き込んでやる」

獣人が僕の耳朶を甘噛みし、そのまま力強い舌で耳裏を舐り上げる。
獣人特有のざらりとした感触が、魔力で敏感になった僕の肌を蹂躙し、再び脳内に快楽の閃光を走らせた。
彼は僕の脚を強引に割り、自らの太い腿を割り込ませると、先ほどまで繋がっていた場所を、再び執拗に突き始めた。

「あ、が……っ、ひ、ぃ! や、だ……また、入って……っ、あぁぁぁっ!!」

「嫌じゃないでしょう? あなたの『中』は、こんなに熱く私と彼を求めて収穫の時を待っている……。ほら、見てごらんなさい」

エルフが僕の顔を強引に下に向けさせる。
朝の光に晒された、僕たちの結合部。
白皙のエルフの指、褐色を帯びた獣人の剛腕、そしてその間に挟まれ、震える僕の柔肌。
三人の異なる肌の色が、混ざり合い、擦れ合い、卑猥な濁音を奏でる光景。
視覚的な凌辱とも言えるその光景に、僕の羞恥心は限界を超え、逆にそれが猛烈な興奮となって腰を跳ねさせた。

「……っ、ふ、あ……! ……っ、二人、いっぺんに……動かないで……っ、あ、ああああああぁぁぁっ!!」

獣人が一突きするたびに、エルフの指が僕の喉を、胸を、内腿を、魔法的な緻密さで弄り抜く。
逃げ場のない二重の蹂躙。
朝の静謐な光の中で、僕の意識は再び、泥のように甘く、重い深淵へと引き摺り込まれていった。

「……いいわ、そのまま。朝日が昇りきるまで、私たちの熱だけであなたを焼き尽くしてあげる」

エルフの囁きと、獣人の激しい呼気。
終わりのない愛撫の輪舞曲(ロンド)が、三人の体を再び一つに溶かし合わせていった――。



「……ふふ、そんなに足元がおぼつかないの? なら、私たちが運んであげるわ」

エルフの細い、けれど魔力を帯びた強靭な腕が僕の脇を支え、そのまま浴室へと連れ出される。
寝室から続く大理石の床はひんやりとしていて、快楽で火照りきった僕の足裏を刺激したが、それも束の間。すぐに獣人の巨大な掌が僕の腰を抱き上げ、宙に浮かされた。

浴室には、魔法で温められた湯気が立ち込め、白く煙っている。
獣人が僕を抱えたまま、広々とした浴槽へと足を踏み入れた。
「……っ、熱い……いや、冷たい……?」
湯船に浸かった瞬間、肌を刺すような温度差に思考が停止する。だが、本当に僕を混乱させたのは、水の中でさらに密着度を増した二人の肉体の感触だった。

「主、力が入りすぎだぜ。……水の魔法でお前の体を少し『緩めて』やるからな」

獣人が僕の背中を浴槽の縁に押し付け、自らの逞しい胸板を僕の正面から密着させる。
水中で浮力を得た僕の体は、抵抗する術もなく彼らのなすがままだ。
エルフが僕の背後に回り込み、僕の首筋から肩にかけて、ぬるりとしたオイルのような魔法液を垂らした。

「これは、肌の感触を何倍にも敏感にする薬よ。……ほら、水が肌を撫でるだけで、あなたはこんなに震えているわ」

エルフの言葉通り、水流が肌を掠めるたびに、全身の産毛が逆立つような鋭い快感が走る。
エルフの細い指が、水中で僕の脚の付け根を割り、再びあの熱い「深淵」へと指を沈めた。
「あ、が……っ、ひ、ぃ……! 水の中、なのに……熱い、っ、中が、燃えてる……っ!」

「燃えているのは、あなたの心も同じでしょう? ……ほら、見て。水面に映る自分の顔を」

エルフが僕の顎を掬い上げ、波立つ水面を見せる。
そこには、悦楽に蕩け、完全に毒されたような表情の「僕」が映っていた。転生者としての知性など微塵も感じられない、ただ愛撫を貪るだけの生き物。

「……嫌か? 俺たちにこうして、中まで洗われるのはよ」

獣人が低い声で囁き、水中で僕の腰をグイと引き寄せた。
彼の巨大な「剛」が、水の抵抗を押し除けて僕の入り口を割り、再び一気に最奥を貫く。
「っ、あああああああぁぁぁっ!!」
水中で響く、肉と肉がぶつかる重厚な音。
水の抵抗があるせいで、一突き一突きが逃げ場のない重圧となって僕の内壁を圧迫する。

エルフは僕の正面から、自らの唇を僕の胸元に押し当て、水を吸い込むように僕の肌を舐り上げた。
獣人の荒々しいピストンに合わせて、水が激しく跳ね、僕たちの視界を遮る。
「ふ……っ、あぁ、ああ……っ! フェ、イ……っ、ヴォル……ッ、溺れる、快感で、死んじゃう……っ!」

「死なせないわ。……あなたが壊れるまで、私たちが何度でも、この水の中で繋ぎ止めてあげる」

エルフの魔力が水中を伝わり、僕の全身を痺れさせる。
獣人の剛力が僕を水底へと沈めるように突き上げ、エルフの指が僕を浮かせるように引き寄せる。
浮遊感と重圧。冷却と灼熱。
相反する刺激の濁流に飲み込まれ、僕は水の中で激しく痙攣しながら、再び絶頂の淵へと突き落とされた。

溢れ出した僕の蜜が、浴槽の透明な湯を白く濁らせ、ゆらゆらと揺れる。
僕はただ、二人の捕食者の腕に縋り付き、水飛沫の中で狂ったように腰を振り続けることしかできなかった――。




浴槽での激しい睦み合いを終え、ようやく水から引き上げられた僕の体は、もはや自分の意志で立つことさえままならなかった。
獣人の剛腕に横抱きにされ、濡れたままの体で寝室へと戻される。大理石の床に滴り落ちる水の音が、静まり返った部屋に執拗に響いた。

「さあ……綺麗に拭いてあげましょうね。私たちの『印』が、よく見えるように」

エルフの、冷徹なまでに澄んだ声が響く。
彼は僕を椅子に座らせると、大きな、けれど驚くほど柔らかなタオルを手に取った。
だが、そのタオルが僕の肌を拭う手つきは、決して慈悲深いものではなかった。
エルフは、僕の肌に残った獣人の噛み痕や、自らが魔法で刻んだ赤い斑点を、まるで美術品を鑑定するように一つひとつ、指先でなぞり、押し潰し、拭き上げていく。

「ひ……あ、ぁ……っ……。自分で、やる、から……っ」

「ダメよ。……あなたはただ、黙って委ねていればいいの」

エルフの細い指が、タオルの上から僕の乳首を執拗に弄った。
湿った布が擦れる刺激は、肌を直接触れられるよりもずっと鋭く、敏感になった先端を情け容赦なく逆撫でする。
魔力によって研ぎ澄まされた僕の神経は、そのわずかな摩擦さえも烈火のような快感へと変換し、僕の腰を無様に震えさせた。

「……おい、エルフ。主の背中、俺の爪痕が綺麗に残ってるぜ」

背後に立った獣人が、低く喉を鳴らした。
彼は僕の濡れた髪をかき上げると、露わになった項(うなじ)から背筋にかけて、熱い吐息を吹きかける。
獣人の熱が肌に触れるたび、先ほどまで水に冷やされていたはずの体が、一気に沸騰するような錯覚に陥る。

「……っ、……。もう、勘弁して……。服を、着させて……っ」

「服? ああ……そうだな。主、今夜はパーティーのレセプションがあるんだろ?」

獣人の言葉に、僕の思考が冷や水を浴びせられたように覚醒する。
そうだ。今日はこの街の有力者が集まる宴がある。転生者として、英雄として、僕はそこに出席しなければならない。

「なら、私たちの『所有物』として、相応しい格好をさせないとね」

エルフが艶然と微笑み、傍らに用意されていた衣装を手に取った。
それは、一見すれば高貴な貴族の礼装に見えたが、その内側には、常人には決して理解できない「仕掛け」が施されていた。

「これ……っ、何、だ……? 魔法の、紋章が……っ」

「私の特製よ。……これを身に着けている間、あなたの感度は常に最高潮に保たれる。……そして、私が遠隔で魔力を流すたび、あなたは人知れず、絶頂の淵を彷徨うことになるわ」

エルフの手によって、絹のシャツが僕の肌を滑る。
だが、その裏地に編み込まれた魔銀の糸が、僕の敏感な場所に触れた瞬間、背筋を貫くような衝撃が走った。
「あ、が……っ、ひ、ぃ……! これ、じゃ……立って、いられない……っ!」

「立っていられなくなったら、俺が支えてやるよ。……主、宴の間じゅう、俺の腕の中で、ずっとイってりゃいいんだ」

獣人が僕の腰に、重厚な革のベルトを締め上げる。
そのベルトには、獣人の魔力を蓄えた小さな宝石が埋め込まれており、僕が動くたびに、下腹部を突き上げるような激しい振動を伝えてくる。

鏡の中に映った僕は、気品溢れる英雄の姿をしていた。
だが、その衣服の内側では、エルフの魔法と獣人の情動が渦を巻き、僕の理性を一刻一秒ごとに削り取っている。
襟元を整えるエルフの指が、僕の喉仏を愛しむように、そして呪うように強く押さえた。

「さあ……行きましょうか。あなたがどれほど私たちの熱に犯されているか、世界中の誰にも気づかれないように……。ただ一人、私たちだけが知っていればいい」

鏡の中の「僕」の瞳は、すでに光を失い、二人の捕食者の色に染まりきっていた。
白日の下で行われる、残酷で甘美な「隷属」の儀式。
僕はただ、衣服の内側に隠された烈火のような快楽を必死に押し殺しながら、二人の腕に抱かれるようにして、さらなる深淵へと足を踏み出していった――。



きらびやかなシャンデリアが放つ光が、大ホールの床を鏡のように照らし出している。
着飾った貴族たち、勇名を馳せる冒険者たち。交わされる乾杯の音と、優雅な音楽の調べ。
その中心で、英雄として称えられる「僕」は、今この瞬間も、衣服の内側で繰り広げられる「地獄」に、正気を保つのさえ限界に達していた。

「……顔色が悪いわよ。そんなに、私の仕掛けた『刺激』が心地いいのかしら?」

隣に寄り添うエルフが、僕の腰を支えるフリをしながら、耳元で氷のように冷徹な囁きを落とした。
彼の細い指先が、僕の背中――衣服越しには決して見えない場所――で、魔法陣の起点となる紋章をそっとなぞる。
その瞬間、内側に仕込まれた魔銀の糸が、烈火のごとき熱を帯びて僕の粘膜を焼き、抉った。

「っ……あ、が……っ、ひ……ぅ……!」

声が出そうになるのを、必死で奥歯を噛み締めて抑え込む。
すぐ目の前では、街の権力者が笑顔で僕に語りかけているのだ。
だが、僕の意識は、下腹部を執拗に突き上げるような魔法的振動と、衣服が擦れるたびに走る鋭い快感に、完全に支配されていた。

「おい、主。……そんなに震えてちゃ、周りに勘ぐられちまうぜ。俺が支えてやるから、もっと寄りかかれ」

反対側から、獣人が逃げ場を塞ぐように僕の肩を抱き寄せた。
彼の分厚い掌が、僕の脇腹から腰にかけてを強引に引き寄せる。
獣人特有の、衣服を突き抜けて伝わってくる暴力的なまでの体温。
彼は周囲には「英雄を支える忠実な従者」を装いながら、その指先で、僕のベルトの内側に隠された宝石――絶頂を誘発する魔石――を、執拗に弄り、回した。

「ひ……っ、あ……っ、……やめ……っ!」

「やめろ、なんて。……ほら、足がガクガクだぜ。俺が離したら、その場に崩れ落ちちまうぞ?」

獣人の低い、地響きのような笑い声が耳元を焼く。
彼は僕の耳たぶを、周囲からは見えない死角で、肉を千切らんばかりの力で強く噛んだ。
痛みと、それ以上に膨れ上がる過度な快感。
衆人環視の中で、僕という存在は、二人の捕食者によって徹底的に解体され、再構築されていく。

エルフが、グラスを傾ける優雅な所作のまま、さらなる魔力を流し込んだ。
「……さあ、ここが一番の見せ場よ。……イきなさい。この賑やかな音楽の中で、誰にも気づかれずに。……一人で、無様に、果てて見せなさい」

一瞬、世界が静止したかのような感覚。
衣服の内側で、魔法の糸が僕の秘部を激しく締め上げ、獣人の魔石が、脳髄を焼き切るような振動を放った。
「あ……っ、ああああああああぁぁぁっ!!!」

喉の奥で悲鳴が爆発したが、それは折良く鳴り響いたファンファーレにかき消された。
視界が真っ白に染まり、膝の力が完全に抜ける。
崩れ落ちそうになる僕の体を、エルフと獣人が左右からガチリと、鋼のような力で繋ぎ止めた。

周囲には、仲睦まじい主従が祝杯を挙げているようにしか見えなかっただろう。
だが、僕の衣服の下では、コントロールを失った絶頂の飛沫が、高価な絹のズボンを内側から重く、熱く濡らしていた。
腰はガクガクと痙攣し、瞳は虚空を彷徨い、口端からは一筋の唾液が零れ落ちる。

「……あら、本当に出してしまったの? こんな場所で……なんて淫らな僕(あるじ)なのかしら」

エルフが、僕の顔を隠すように自分の肩へと預けさせ、その耳元で勝ち誇ったように囁く。
獣人は、僕の腰を掴む手にさらに力を込め、僕の「果てたばかりの場所」に、わざと硬いベルトを押し当ててグリグリと擦り付けた。

「……よし。これで、こいつはもう、俺たちの匂いと快楽なしじゃ一歩も歩けねえ『壊れた人形』だ」

白銀の饗宴。
誰からも英雄と崇められながら、僕はその実、二人の捕食者に支配され、弄ばれるだけの「肉塊」へと堕ちていた。
音楽は続き、人々は笑う。
だが、僕の意識は、衣服の内側に充満する熱い絶頂の残滓と、二人が放つ逃げ場のない執着の中に、永遠に閉じ込められていた――。

  


寝室の重厚な扉が閉まった瞬間、そこはもう、秩序も理性も存在しない聖域――あるいは地獄へと変わった。
「……っ、ふ、あ……やっと、脱げる……っ」
僕は荒い呼吸を繰り返しながら、自らの体を締め付けていた礼装に手をかける。だが、その手はすぐさま背後から伸びた獣人の剛腕によって封じられた。

「待てよ。……勝手に脱ぐんじゃねえ。俺たちが、一枚一枚丁寧に『剥いで』やるからよ」

獣人の低い声が、僕のうなじを焼く。
彼は僕のシャツの襟首を掴むと、そのまま力任せに引き裂いた。
ブチブチとボタンが弾け飛び、高価な絹が紙屑のように散る。
露わになった僕の背中には、先ほどまでの宴でずっと押し付けられていた、魔法の糸とベルトの赤い痕が、淫らな紋章のようにくっきりと浮かび上がっていた。

「……あら。あんなに大勢の前で、こんなに酷い恰好になっていたなんて。本当に、あなたは救いようのない『雌』ね」

エルフが正面から歩み寄り、冷ややかな指先で、僕の胸元に残った汗を拭った。
彼は僕の顎を掬い上げると、無理やり視線を合わせる。
エルフの翡翠の瞳は、いまや暗く、どろりとした情欲の沼に沈んでいた。
彼は僕の口内に再び指を滑り込ませ、絶頂の余韻で震える舌を、力任せに蹂躙した。

「ひ……っ、あ……っ! ……っ、……ッ!!」

「宴の間、ずっと我慢していたんでしょう? ……私たちの魔力に、あんなに翻弄されて。……でも、あれはただの『前座』に過ぎないわ」

エルフの指が離れた瞬間、獣人が僕をベッドへと押し倒した。
沈み込むマットレス。
獣人は、僕のズボンの内側に溜まっていた「絶頂の残滓」を指で掬い上げると、それを僕の目の前に突きつけた。
「見ろよ。……英雄様が、人前でこんなに蜜を垂れ流してやがった。……汚ねえなあ。俺たちが、中まで全部掃除してやらなきゃならねえな?」

獣人の獰猛な笑みが、僕の理性を最後の一片まで粉砕した。
彼は僕の脚を、左右に折れんばかりの力で割り広げる。
そこに、エルフが再び禁忌の魔力を注ぎ込んだ。
今度の魔法は、快感を与えるためだけのものではない。僕の「中」を強制的に、より深く、より広大に、二人のすべてを受け入れるための「器」へと作り変える呪い。

「っ、があああああああぁぁぁっ!!!」

内側から無理やり拡張されるような、異物感と熱狂。
そこへ、獣人の巨大な質量が、一滴の容赦もなく叩き込まれた。
ドスッ、という、腹の底を直接殴られたような衝撃。
内壁は限界まで引き絞られ、獣人の血管の脈動までもが、僕の神経に直接突き刺さる。

「……いい声。さあ、もっと啼きなさい。今夜は、あなたが気絶することさえ許さないわ」

エルフが僕の正面から覆いかぶさり、僕の喉元に鋭い牙を立てた。
エルフの魔力による緻密な責めと、獣人の本能による暴力的な突き上げ。
水場でも、社交場でも味わえなかった、剥き出しの「個」と「個」のぶつかり合い。
三人の汗と、粘膜から溢れ出した蜜が、シーツをどす黒く変色させていく。

「ひ、あ、ぁ……っ! あ、が、ああああぁっ!!」

一突きごとに、僕の脳髄は快楽の泥に塗り潰され、自分が誰であるかも、ここがどこであるかも、すべてが霧の中に消えていく。
ただ、内側を激しく蹂躙する獣人の「熱」と、全身を痺れさせるエルフの「魔」だけが、僕にとっての唯一の真実。

「……一生、こうしていよう。お前をこの部屋に閉じ込めて、俺たちの熱だけで生かしてやる」
獣人の咆哮。
「……そうね。あなたはもう、私たちのいない世界では、一呼吸することさえ苦痛になるのよ」
エルフの呪詛。

二人の捕食者に挟まれ、僕はただ、終わりのない絶頂の連鎖の中で、獣のように腰を振り続けた。
夜はまだ深く、黎明まではあまりに遠い。
だが、たとえ朝が来たとしても、僕を繋ぎ止める二人の腕が解かれることは、永遠にないのであった――。

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