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基盤の解体(ファウンデーション・リセット)
第3話:【保育園の先生】―慈愛の聖母を汚す、秘密の個人面談―【完結編:隷属の保育指針、聖母の真実】
第3話:【保育園の先生】―慈愛の聖母を汚す、秘密の個人面談―
【完結編:隷属の保育指針、聖母の真実】
夕闇に完全に包まれた相談室。
高層ビルの窓の外では、退勤を急ぐ会社員たちの列が蟻のように動いている。その喧騒を他所に、室内にはただ、重く湿った呼吸の音と、甘く退廃的な残り香だけが充満していた。
僕は、汗に濡れて力なく机に伏している彼女の背中に、冷徹な視線を投げかける。
「……先生。これで、あなたが横流しした八百万という損失の『利息』分は、ひとまず査定し終えましたよ」
「……っ……ぁ……」
彼女は答える気力もなく、乱れたポニーテールの先を震わせている。
聖母と謳われた面影はどこにもない。そこにあるのは、自らの罪を快楽という名の暴力で上書きされ、思考を奪われた抜け殻のような女の姿だった。
「さて、本題(ビジネス)の話をしましょうか。……あなたが今後もこの園で『理想の先生』を続けたいのなら、商社に対して二つの条件を飲んでもらいます」
僕は彼女の顎を掴み、無理やりこちらを向かせた。涙で汚れた瞳が、僕の無機質な視線に射抜かれる。
「一つ、横領した八百万は、今後十年にわたってあなたの給与から秘密裏に差し引く。完済するまで、あなたに自由はありません。……そして二つ目」
僕は彼女の耳元で、甘く、逃げ場のない毒を注ぎ込んだ。
「この保育園を、我が社が計画している『官民一体の次世代教育プロジェクト』の実験場としてもらいます。……親たちの個人情報、家庭環境、そして将来有望な子供たちの行動パターン。これらをすべて、僕のデスクに直接流しなさい。……あなたの『教育者としての信頼』が、商社の新たなビッグデータ戦略の鍵になる」
「……そんな、こと……。親御さんたちを裏切るなんて……」
「裏切り? 言葉が過ぎますね。これは社会貢献ですよ。……それとも、今すぐギャンブル狂の横領犯として、その親御さんたちの前に引きずり出されたいのですか?」
彼女の瞳から、最後の抵抗の光が消えた。
彼女にとっての「子供たちとの聖域」は、今この瞬間、商社という怪物のための「情報採取場」へと作り替えられた。そして彼女自身が、その最前線で働く「最も純潔な顔をしたスパイ」となったのだ。
「……わかり、ました。……ご主人様の、仰る通りに……」
「いい返事だ。……ただし、忘れないでください。データの提供はあくまで『会社』への奉仕だ。僕個人への『誠意』の査定は、また別のアプローチで示し続けてもらう」
僕は床に落ちていた彼女のエプロンを拾い上げ、優しく彼女の肩にかけた。
「さあ、服を着て。外ではスタッフが待っていますよ。……鏡を見て、いつもの『優しい先生』に戻るんだ。……僕という飼い主だけが知っている、その汚れた身体のまま、明日も子供たちに愛を説く。……ゾクゾクしませんか?」
彼女は震える手でボタンを留め、鏡に向かって無理やり微笑みを作った。
その微笑みは、以前よりもどこか妖艶で、壊れた人形のような美しさを湛えていた。
「……お疲れ様でした。次回の『個人監査』は、来週の夜。……僕のマンションで、ホストとしての最高のおもてなしを期待していますよ、先生」
僕は彼女の頭を、愛犬を褒めるように優しく撫で、颯爽と相談室を後にした。
背後で、彼女が深く、深く頭を下げる気配がした。
商社の利益と、僕個人の歪んだ支配欲。その両方が、この小さな保育園を完全に飲み込んだ瞬間だった。
【完結編:隷属の保育指針、聖母の真実】
夕闇に完全に包まれた相談室。
高層ビルの窓の外では、退勤を急ぐ会社員たちの列が蟻のように動いている。その喧騒を他所に、室内にはただ、重く湿った呼吸の音と、甘く退廃的な残り香だけが充満していた。
僕は、汗に濡れて力なく机に伏している彼女の背中に、冷徹な視線を投げかける。
「……先生。これで、あなたが横流しした八百万という損失の『利息』分は、ひとまず査定し終えましたよ」
「……っ……ぁ……」
彼女は答える気力もなく、乱れたポニーテールの先を震わせている。
聖母と謳われた面影はどこにもない。そこにあるのは、自らの罪を快楽という名の暴力で上書きされ、思考を奪われた抜け殻のような女の姿だった。
「さて、本題(ビジネス)の話をしましょうか。……あなたが今後もこの園で『理想の先生』を続けたいのなら、商社に対して二つの条件を飲んでもらいます」
僕は彼女の顎を掴み、無理やりこちらを向かせた。涙で汚れた瞳が、僕の無機質な視線に射抜かれる。
「一つ、横領した八百万は、今後十年にわたってあなたの給与から秘密裏に差し引く。完済するまで、あなたに自由はありません。……そして二つ目」
僕は彼女の耳元で、甘く、逃げ場のない毒を注ぎ込んだ。
「この保育園を、我が社が計画している『官民一体の次世代教育プロジェクト』の実験場としてもらいます。……親たちの個人情報、家庭環境、そして将来有望な子供たちの行動パターン。これらをすべて、僕のデスクに直接流しなさい。……あなたの『教育者としての信頼』が、商社の新たなビッグデータ戦略の鍵になる」
「……そんな、こと……。親御さんたちを裏切るなんて……」
「裏切り? 言葉が過ぎますね。これは社会貢献ですよ。……それとも、今すぐギャンブル狂の横領犯として、その親御さんたちの前に引きずり出されたいのですか?」
彼女の瞳から、最後の抵抗の光が消えた。
彼女にとっての「子供たちとの聖域」は、今この瞬間、商社という怪物のための「情報採取場」へと作り替えられた。そして彼女自身が、その最前線で働く「最も純潔な顔をしたスパイ」となったのだ。
「……わかり、ました。……ご主人様の、仰る通りに……」
「いい返事だ。……ただし、忘れないでください。データの提供はあくまで『会社』への奉仕だ。僕個人への『誠意』の査定は、また別のアプローチで示し続けてもらう」
僕は床に落ちていた彼女のエプロンを拾い上げ、優しく彼女の肩にかけた。
「さあ、服を着て。外ではスタッフが待っていますよ。……鏡を見て、いつもの『優しい先生』に戻るんだ。……僕という飼い主だけが知っている、その汚れた身体のまま、明日も子供たちに愛を説く。……ゾクゾクしませんか?」
彼女は震える手でボタンを留め、鏡に向かって無理やり微笑みを作った。
その微笑みは、以前よりもどこか妖艶で、壊れた人形のような美しさを湛えていた。
「……お疲れ様でした。次回の『個人監査』は、来週の夜。……僕のマンションで、ホストとしての最高のおもてなしを期待していますよ、先生」
僕は彼女の頭を、愛犬を褒めるように優しく撫で、颯爽と相談室を後にした。
背後で、彼女が深く、深く頭を下げる気配がした。
商社の利益と、僕個人の歪んだ支配欲。その両方が、この小さな保育園を完全に飲み込んだ瞬間だった。
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