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第14話「六月の夜と、伯爵の言葉」
第14話「六月の夜と、伯爵の言葉」
六月になった。
北の夏は短い。ダリウスがそう言っていた。実際、五月の終わりに一度雨が続いて、六月に入ってからようやく本格的に暖かくなった。城の周りの木々が緑を深めて、集落の畑が育ち始めた。薬師の新しい候補者から返事が来た。今度は前向きな内容だった。
忙しさの種類は変わらなかった。次を作るための忙しさ。でも少し前と違うのは、問題が起きる前に手を打てることが増えた、ということだった。領地の流れがわかってきたからだと思う。
朝の報告の時間が、少し長くなっていた。
*
薬師の件が動いたのは、六月の最初の週だった。
候補者のセバスという男性から手紙が来た。三十代、王都で薬師として働いていたが、地方での仕事を希望しているという。条件の確認と、一度視察に来たいという申し出だった。
朝の報告でダリウスに伝えた。
「来てもらいましょう。住居の準備が必要です」
「城内に部屋があるが、独立した住居の方がいいか」
「薬師なら集落に近い方が動きやすいと思います。集落の端に空き家が一軒あったので、修繕できれば」
「グレンに確認させる」
「ありがとうございます。セバスさんへの返事は私が書きます」
「頼む」
ダリウスは少し間を置いた。
「王都行きは七月の半ばを予定している。セバスが視察に来るなら、その前後に合わせられるか」
「調整してみます」
「お前の父親への連絡も、早めに出しておけ」
「はい」
私はノートに書きながら、少し考えた。七月。まだ一ヶ月ある。それまでにやることは多い。
*
午後、集落への巡回から戻ると、訓練場の前でヴィクターが一人で剣を振っていた。
他の騎士たちは訓練を終えて引き上げた後だった。一人で残って、黙々と振り続けている。
私は通り過ぎようとした。
「奥様」
ヴィクターが声をかけてきた。
私は立ち止まった。
「何ですか」
ヴィクターは剣を下ろして、こちらへ来た。少し迷った顔をしていた。
「少し、話してもいいですか」
「内容によります」
「俺のことではなくて」
私は少し考えた。
「短くお願いします」
ヴィクターは頷いた。
「伯爵のことを、聞いてもいいですか」
私は少し驚いた。
「ダリウス様の、何を」
「どういう方なのか。来る前は、怖い人だと聞いていたので。でも実際に来てみたら、違う気がして」
「違う、とはどういう意味ですか」
「部下の話を、ちゃんと聞く人です。決して頭ごなしにしない。この前俺が揉め事を起こしたとき、怒られると思っていたら、グレン副団長から理由を説明されて、それだけで終わった」
私は黙って聞いた。
「奥様のことを、よく見ている方だとも思います」
「それは、関係ないことです」
「……そうですね。すみません」
ヴィクターは少し間を置いた。
「王都とは、違うところだと思いました。俺が思っていたより、いろいろと」
私は少し考えた。
「それは、良かったと思います」
「奥様は、俺のことを恨んでいますか」
少し間があった。
「いいえ」
「本当に」
「本当に。終わったことです」
ヴィクターはしばらく黙っていた。それから小さく頷いた。
「……ありがとうございます」
「仕事を続けてください」
私はその場を離れた。
怒りはなかった。憐れみもなかった。ただ、本当に終わっていることを、改めて確認した。
*
夕方の報告の後、ダリウスが立ち上がりながら言った。
「今日、レインズと話していたな」
「見ていましたか」
「訓練場の前を通った」
「少し話しました」
「何を」
「ダリウス様はどういう方か、と聞かれました」
ダリウスは少し間を置いた。
「何と答えた」
「黙って聞きました。レインズ騎士が自分で答えを出していたので」
「どういう答えだった」
「部下の話をちゃんと聞く方だと言っていました」
ダリウスは何も言わなかった。
「私もそう思います」
「……そうか」
短い答えだったが、耳が少し赤かった。この人が照れるのを見たのは、初めてだった。
*
夜、ミレイが部屋に来た。
「奥様、少しいいですか」
「どうぞ」
ミレイは少し言いにくそうにしながら入ってきた。
「伯爵様から、お願いがあると言伝を頼まれました」
「ダリウス様から?」
「はい。今夜、少し時間があるか、と」
私は少し驚いた。ミレイを通して伝えてくるのは初めてだった。
「わかりました。今から行きます」
*
窓際の小部屋に行くと、ダリウスは椅子に座って窓の外を見ていた。
六月の夜は明るかった。北の夏は日が長い。まだ空の端に光が残っていた。
「呼びましたか」
「ああ」
私も椅子に座った。テーブルの上に、珍しく酒が二杯あった。
「飲めるか」
「少しなら」
杯を取った。果実の酒で、甘かった。
ダリウスは自分の杯を持ったまま、少し黙っていた。
「何かありましたか」
「いや」
「では」
「……話したかった」
私は少し驚いた。報告でもなく、確認でもなく、話したかった、という理由だった。
「何を話しますか」
「何でも」
それは困る、と少し思ったが、声には出さなかった。
「ダリウス様が先に話してください。私は聞きます」
ダリウスは少し間を置いた。
「前の妻のことを、話したことはなかったな」
私は黙って頷いた。
「好きで結婚したわけではなかった。家同士の話で、断れなかった。彼女も同じだったと思う」
「辛かったんですね」
「彼女が辛そうだった。辺境が合わなくて、冬が来るたびに顔色が悪くなった。俺には何もできなかった」
「ダリウス様のせいではないです」
「そうだとしても、何もできなかったことは変わらない」
私は少し考えた。
「今、ここで話してくださっているのは、なぜですか」
ダリウスは窓の外を見たまま言った。
「お前には、話せると思った」
「なぜ」
「聞いてくれると思ったから」
私はしばらく黙っていた。
「話してくれてよかったです」
「……そうか」
「はい」
ダリウスはこちらを見た。
「ルイーゼ」
「はい」
「お前は、ここが好きか」
私は少し考えた。
「好きです」
「辺境が、か」
「辺境も。ここで会った人たちも。それから」
少し間を置いた。
「ここで一緒にいる人も」
ダリウスは動かなかった。
長い沈黙があった。窓の外の光が、少しずつ消えていった。
「……俺も」
小さな声だった。でも、聞こえた。
「俺も、そうだ」
私はそれを静かに受け取った。
急がなくていい、と思っていた。でも、この言葉は、ゆっくり受け取りたかった。
「わかりました」
「それだけか」
「それだけです」
ダリウスはまた少し呆気に取られたような顔をした。それから、今度ははっきりと、笑った。
六月の夜が、静かに更けていった。
第14話 了
六月になった。
北の夏は短い。ダリウスがそう言っていた。実際、五月の終わりに一度雨が続いて、六月に入ってからようやく本格的に暖かくなった。城の周りの木々が緑を深めて、集落の畑が育ち始めた。薬師の新しい候補者から返事が来た。今度は前向きな内容だった。
忙しさの種類は変わらなかった。次を作るための忙しさ。でも少し前と違うのは、問題が起きる前に手を打てることが増えた、ということだった。領地の流れがわかってきたからだと思う。
朝の報告の時間が、少し長くなっていた。
*
薬師の件が動いたのは、六月の最初の週だった。
候補者のセバスという男性から手紙が来た。三十代、王都で薬師として働いていたが、地方での仕事を希望しているという。条件の確認と、一度視察に来たいという申し出だった。
朝の報告でダリウスに伝えた。
「来てもらいましょう。住居の準備が必要です」
「城内に部屋があるが、独立した住居の方がいいか」
「薬師なら集落に近い方が動きやすいと思います。集落の端に空き家が一軒あったので、修繕できれば」
「グレンに確認させる」
「ありがとうございます。セバスさんへの返事は私が書きます」
「頼む」
ダリウスは少し間を置いた。
「王都行きは七月の半ばを予定している。セバスが視察に来るなら、その前後に合わせられるか」
「調整してみます」
「お前の父親への連絡も、早めに出しておけ」
「はい」
私はノートに書きながら、少し考えた。七月。まだ一ヶ月ある。それまでにやることは多い。
*
午後、集落への巡回から戻ると、訓練場の前でヴィクターが一人で剣を振っていた。
他の騎士たちは訓練を終えて引き上げた後だった。一人で残って、黙々と振り続けている。
私は通り過ぎようとした。
「奥様」
ヴィクターが声をかけてきた。
私は立ち止まった。
「何ですか」
ヴィクターは剣を下ろして、こちらへ来た。少し迷った顔をしていた。
「少し、話してもいいですか」
「内容によります」
「俺のことではなくて」
私は少し考えた。
「短くお願いします」
ヴィクターは頷いた。
「伯爵のことを、聞いてもいいですか」
私は少し驚いた。
「ダリウス様の、何を」
「どういう方なのか。来る前は、怖い人だと聞いていたので。でも実際に来てみたら、違う気がして」
「違う、とはどういう意味ですか」
「部下の話を、ちゃんと聞く人です。決して頭ごなしにしない。この前俺が揉め事を起こしたとき、怒られると思っていたら、グレン副団長から理由を説明されて、それだけで終わった」
私は黙って聞いた。
「奥様のことを、よく見ている方だとも思います」
「それは、関係ないことです」
「……そうですね。すみません」
ヴィクターは少し間を置いた。
「王都とは、違うところだと思いました。俺が思っていたより、いろいろと」
私は少し考えた。
「それは、良かったと思います」
「奥様は、俺のことを恨んでいますか」
少し間があった。
「いいえ」
「本当に」
「本当に。終わったことです」
ヴィクターはしばらく黙っていた。それから小さく頷いた。
「……ありがとうございます」
「仕事を続けてください」
私はその場を離れた。
怒りはなかった。憐れみもなかった。ただ、本当に終わっていることを、改めて確認した。
*
夕方の報告の後、ダリウスが立ち上がりながら言った。
「今日、レインズと話していたな」
「見ていましたか」
「訓練場の前を通った」
「少し話しました」
「何を」
「ダリウス様はどういう方か、と聞かれました」
ダリウスは少し間を置いた。
「何と答えた」
「黙って聞きました。レインズ騎士が自分で答えを出していたので」
「どういう答えだった」
「部下の話をちゃんと聞く方だと言っていました」
ダリウスは何も言わなかった。
「私もそう思います」
「……そうか」
短い答えだったが、耳が少し赤かった。この人が照れるのを見たのは、初めてだった。
*
夜、ミレイが部屋に来た。
「奥様、少しいいですか」
「どうぞ」
ミレイは少し言いにくそうにしながら入ってきた。
「伯爵様から、お願いがあると言伝を頼まれました」
「ダリウス様から?」
「はい。今夜、少し時間があるか、と」
私は少し驚いた。ミレイを通して伝えてくるのは初めてだった。
「わかりました。今から行きます」
*
窓際の小部屋に行くと、ダリウスは椅子に座って窓の外を見ていた。
六月の夜は明るかった。北の夏は日が長い。まだ空の端に光が残っていた。
「呼びましたか」
「ああ」
私も椅子に座った。テーブルの上に、珍しく酒が二杯あった。
「飲めるか」
「少しなら」
杯を取った。果実の酒で、甘かった。
ダリウスは自分の杯を持ったまま、少し黙っていた。
「何かありましたか」
「いや」
「では」
「……話したかった」
私は少し驚いた。報告でもなく、確認でもなく、話したかった、という理由だった。
「何を話しますか」
「何でも」
それは困る、と少し思ったが、声には出さなかった。
「ダリウス様が先に話してください。私は聞きます」
ダリウスは少し間を置いた。
「前の妻のことを、話したことはなかったな」
私は黙って頷いた。
「好きで結婚したわけではなかった。家同士の話で、断れなかった。彼女も同じだったと思う」
「辛かったんですね」
「彼女が辛そうだった。辺境が合わなくて、冬が来るたびに顔色が悪くなった。俺には何もできなかった」
「ダリウス様のせいではないです」
「そうだとしても、何もできなかったことは変わらない」
私は少し考えた。
「今、ここで話してくださっているのは、なぜですか」
ダリウスは窓の外を見たまま言った。
「お前には、話せると思った」
「なぜ」
「聞いてくれると思ったから」
私はしばらく黙っていた。
「話してくれてよかったです」
「……そうか」
「はい」
ダリウスはこちらを見た。
「ルイーゼ」
「はい」
「お前は、ここが好きか」
私は少し考えた。
「好きです」
「辺境が、か」
「辺境も。ここで会った人たちも。それから」
少し間を置いた。
「ここで一緒にいる人も」
ダリウスは動かなかった。
長い沈黙があった。窓の外の光が、少しずつ消えていった。
「……俺も」
小さな声だった。でも、聞こえた。
「俺も、そうだ」
私はそれを静かに受け取った。
急がなくていい、と思っていた。でも、この言葉は、ゆっくり受け取りたかった。
「わかりました」
「それだけか」
「それだけです」
ダリウスはまた少し呆気に取られたような顔をした。それから、今度ははっきりと、笑った。
六月の夜が、静かに更けていった。
第14話 了
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