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「情報屋に頼れないとなると、やっぱり地道に聞き込みしかないかなあ…。」
「そうですね…。もしくは、相応の金額を稼いで改めて依頼するしか…。」
とは言っても、現状を考えて一ヶ月で路銀と生活費に加えて十五万も稼ぐことなど難しい。実質的に不可能だった。
「正式な高ランクの魔物討伐依頼があれば話は別なんですが…。ここら辺では期待は出来ないでしょうし。」
「そもそも、私達だけでそんな強い魔物を倒せるかって話なんだけど。」
命あっての物種だ。わざわざハイリスクを取る必要もない。
「まあでも、依頼所に戻って張り紙を見てみようか。もしかしたら何かあるかもしれないし。」
「ええ、そうですね。」
そうして私達は再び依頼所に足を運んだ、のだが…。
「…何だろう、この空気…。」
建物に入った途端、ピリリとした感覚が肌を突く。何処か殺気立ってるというか、警戒しているような。
「あの、すみません。何だか変な雰囲気ですけど、何かあったんですか?」
思い切って私は受付にいる男性に声をかけた。
「ああ、先程の。いえ、実は…魔物の大群が、こちらに向かってきているとの情報がありましてね。しかもただのスタンピードではない。何やら…統率された軍隊のような動きを見せているとのことです。」
それを聞いた瞬間、私とセインは息を呑んだ。魔物の統率化…それはつまり、何者かによって率いられているということ。そして、真っ先に考えられるその正体は…。
「…悪魔が、関わっている可能性があります。」
「そ、そんな…!だって…協定が結ばれてから数百年、一度も破られることは無かったじゃないですか!?」
その昔、人間と悪魔の間で結ばれた和平協定三ヶ条。政治的干渉の禁止、戦略的侵攻の禁止、そして貿易の自由。そのうちの一つ、侵攻の禁止が破られたとでもいうのか。
そもそも、魔物というのは動物レベルの知能は持ちつつ、悪魔には絶対服従の性質を持っている。それはそうだ、彼等の祖先は悪魔によって生み出されたのだから。それ故に魔物は同族や悪魔を襲わないが、人間や家畜は襲う。そして生殖行為を繰り返し、今となっては根絶するのが不可能とまで言われている。それ程までに増えすぎたのだ。
つまり、魔物の餌は人間や普通の動物以外有り得ない。その大群が此処に向かってきていると言う。もしこのまま侵攻を許せば、生存は…絶望的。
「今、民間人を避難させている最中です。この調子ですと数日後には正面衝突となります。自衛隊を中心に、民間の志願者も戦闘に参加してもらいます。…あなた方は、どうしますか?」
…依頼所には、少なからず戦える人間が集まる。私達もある程度は動けると判断しての言葉だった。
「セイン…私…。」
隣を見上げると、彼と目が合う。澄んだ青色の瞳は、私が何を思ってるかよく分かってるとでも言いたげに、一瞬細められ、そして向かいの男性へと視線が移された。
「…分かりました。それでは、俺達も志願します。」
「そうですか、助かります。それでは、この街の南にある集会所に行ってください。志願者はそこで簡単な質問に答えた後、待機となります。」
男性に簡単にお礼を伝え、私達は集会所へと足を運んだ。
「そうですね…。もしくは、相応の金額を稼いで改めて依頼するしか…。」
とは言っても、現状を考えて一ヶ月で路銀と生活費に加えて十五万も稼ぐことなど難しい。実質的に不可能だった。
「正式な高ランクの魔物討伐依頼があれば話は別なんですが…。ここら辺では期待は出来ないでしょうし。」
「そもそも、私達だけでそんな強い魔物を倒せるかって話なんだけど。」
命あっての物種だ。わざわざハイリスクを取る必要もない。
「まあでも、依頼所に戻って張り紙を見てみようか。もしかしたら何かあるかもしれないし。」
「ええ、そうですね。」
そうして私達は再び依頼所に足を運んだ、のだが…。
「…何だろう、この空気…。」
建物に入った途端、ピリリとした感覚が肌を突く。何処か殺気立ってるというか、警戒しているような。
「あの、すみません。何だか変な雰囲気ですけど、何かあったんですか?」
思い切って私は受付にいる男性に声をかけた。
「ああ、先程の。いえ、実は…魔物の大群が、こちらに向かってきているとの情報がありましてね。しかもただのスタンピードではない。何やら…統率された軍隊のような動きを見せているとのことです。」
それを聞いた瞬間、私とセインは息を呑んだ。魔物の統率化…それはつまり、何者かによって率いられているということ。そして、真っ先に考えられるその正体は…。
「…悪魔が、関わっている可能性があります。」
「そ、そんな…!だって…協定が結ばれてから数百年、一度も破られることは無かったじゃないですか!?」
その昔、人間と悪魔の間で結ばれた和平協定三ヶ条。政治的干渉の禁止、戦略的侵攻の禁止、そして貿易の自由。そのうちの一つ、侵攻の禁止が破られたとでもいうのか。
そもそも、魔物というのは動物レベルの知能は持ちつつ、悪魔には絶対服従の性質を持っている。それはそうだ、彼等の祖先は悪魔によって生み出されたのだから。それ故に魔物は同族や悪魔を襲わないが、人間や家畜は襲う。そして生殖行為を繰り返し、今となっては根絶するのが不可能とまで言われている。それ程までに増えすぎたのだ。
つまり、魔物の餌は人間や普通の動物以外有り得ない。その大群が此処に向かってきていると言う。もしこのまま侵攻を許せば、生存は…絶望的。
「今、民間人を避難させている最中です。この調子ですと数日後には正面衝突となります。自衛隊を中心に、民間の志願者も戦闘に参加してもらいます。…あなた方は、どうしますか?」
…依頼所には、少なからず戦える人間が集まる。私達もある程度は動けると判断しての言葉だった。
「セイン…私…。」
隣を見上げると、彼と目が合う。澄んだ青色の瞳は、私が何を思ってるかよく分かってるとでも言いたげに、一瞬細められ、そして向かいの男性へと視線が移された。
「…分かりました。それでは、俺達も志願します。」
「そうですか、助かります。それでは、この街の南にある集会所に行ってください。志願者はそこで簡単な質問に答えた後、待機となります。」
男性に簡単にお礼を伝え、私達は集会所へと足を運んだ。
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