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別れと旅の目的
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「セラ、大丈夫か?」
「はい。」
当たり前だが、元気は無い。
そういう自分も元気はないのだが。
「申し訳ありません、本来なら自分が若を気にかける立場だというのに。」
「大丈夫だ。……母上にとってはセラも娘のような存在だったんだろうな。」
母上はセラの剣術の師匠ということだったが、恐らくそれ以上に別の何かがあったのだろう。
そんな会話をしていると目の前に先程の暗殺部隊の人間が3人程現れた。
「……若、お逃げください。」
武器を構えるセラ。
「駄目だ、君は今後のためにも絶対に必要な存在だ。一人にするわけには行かない。それに……。」
母上のことを思い出す。
最後の涙と笑顔。
「もう二度とあんな思いはしたくないからな!」
こちらも武器を構える。
「……申し訳ありません。私も思慮が足りませんでした。」
そうしているうちに3人はこちらを囲むように展開していた。
しかしその瞬間目の前の一人が突如として倒れた。
その背中には矢が刺さっている。
「若!ご無事ですか!?」
暗闇の奥から聞き覚えのある声が聞こえる。
「セインか!」
暗闇の奥から姿形を変えたセインが現れる。
そうこうしているうちに他の二人もまたたく間に倒れていた。
「貴様!何故生きている!」
セラは武器を構え俺の前に出る。
いくら見た目を変えていても口調や、声は変えられない、というか俺が今名前呼んだからなのだが。
「待て!セインは味方だ。詳しくは後で話すが今は信用していい。」
横目にこちらを見るセラ。
しばらく考え込むと剣をしまった。
「……分かりました。若が、そういうのであれば。」
気が付くとあたりにはセインと同じような黒い革製の鎧と短弓、そして剣を携えている者達がいた。
「若が申された通り、避難民の中から戦えるものを集め、独自の隠密隊を編成いたしました。もう既に周辺にも展開しております。」
実は兵役解除した者や先に避難していた避難民の中から戦える者を厳選し、編成するように指示していたのだ。
「セイン!今すぐ母上の元へ急げ!」
セインは何かに気がついたように辺りを見回す。
「畏まりました!全員付いてこい!」
セインはセインが連れてきた手勢と共に俺達が逃げてきた方へと走っていった。
「俺達も行こう!」
「はい!」
「母上!」
目の前には無数の敵の死体。
ざっと数えて30近くはある。
そしてその真ん中には母上が膝を着き、倒れていた。
「まだ意識はあります。」
「ありがとう、セイン。」
母上のもとへと駆け寄る。
流石は帝国最強の姫である。
生命力も凄まじい。
駆けつけたセイン達によって手当てはされていた。
が、素人目に見てももう長くないことは分かる。
「あら、さっき最後の別れみたいにしたのにな……。」
「フレン様……。」
セラは涙を流し、母上の手を握っている。
「……母上。」
「アル、ごめんね本当はもっとずっと一緒に居てあげたかったんだけど……。」
母上の目からも涙がこぼれ落ちる。
「心配することはありません。母上のお陰で私は元気にやっていけているのです。今生きているのも母上のお陰です。」
「いや、私がもっとアルを可愛がりたいなってだけなんだけど……。」
予想外……いやあるそちらの方がある意味納得が行く。
「フレン様は相変わらずですね。」
セラは泣きながら笑う。
「セラもごめんね。本当ならアルとの結婚式の時に色んなサプライズとか考えてたんだけど……。」
とんでもないことを言い出す。
やはり本気でセラとくっ付けようとしていたらしい。
「申し訳ありません、あの時、本来なら私がお守りすべきなのに守られてしまいました。」
「ふふ……セラは真面目ね。そんなこと気にしなくて良いのに。」
セラの頬を撫でる母上。
その挙動はとても弱々しいものだった。
「セイン……やはり生きていたのね……聞きたいことは山ほどあるのだけれど……今は信用していいのね?」
どうやら俺の策を母上は見破っていたらしい。
流石は母上である。
「はい。我が忠誠はアルフレッド様にのみあります。」
笑みを浮かべる母上。
「なら……私からお願いするわ……絶対にアルを守って。」
「命に変えましても。」
深々と頭を下げるセイン。
セインも小さい頃から俺に仕えてくれており、その繋がりで母上にお世話になっていたのでここにいる3人は、ある意味母上の子供のようなものだったのかもしれない。
「3人共……仲良く……元気で……ね……。」
握っていた手から力が抜けるのが分かる。
「母上!」
「フレン様!」
いくら声を呼び掛けても返事はない。
安らかに目を閉じている。
セインは母上の脈を計る。
そしてこちらを見て首を横に振る。
(少し、難易度高すぎましたかね?)
そこで女神の声が聞こえてくる。
(少しどころじゃない。やりすぎだ。お前に対して殺意すら芽生えてきたぞ。)
これは本音である。
もし目の前にいたら殴っていたかもしれない。
(大丈夫です。大丈夫です。そういえば言い忘れていましたが、この世界でのゲームクリア条件を言ってませんでしたね?)
(ゲームクリア?こんな世界をゲーム感覚で楽しめるか!ふざけるな!)
そんな怒りを裏腹に女神は続ける。
(まあ、今は分かりやすいようにゲームクリアといいましたけど、この世界で私が貴方にやり遂げて欲しいことは楽しく生きることです。前世での未練を忘れ、この世界では未練のない人生を生きてほしいということです。)
いってる意味がよくわからない。
目の前で親が死ぬ世界で未練のない世界など無理に決まっている。
(つまりですね、人を生き返らせる道具がこの世界にはあります。)
(……なんだと?)
とてつもないことを聞いた。
(帝国に伝わる神具のひとつにその道具があります。帝国の人間はおとぎ話の類いだと思ってますけれど効果は確実です。)
「セラ、帝国に伝わる神具について詳しいか?」
セラは母上の手を握りながら涙を流していたが、即座に持ち直し、答える。
「はい。フレン様から色々お聞きしております。」
「なら、人を生き返らせる神具については?」
キョトンとした顔になる。
「もちろん存じていますが、あれはおとぎ話だったかと。」
「いや、あれはお伽噺なんかではない。王国には神具について色々伝わっていてな。効果も確かな物をみている。母上を生き返らせられるかもしれない。生き返る望みが少しでもあるのならそれにすがるとしようじゃないか?それに帝国への復讐にもなるしな?」
笑みがこぼれてしまう。
こんなに難しいことはないだろう。
こちらの手勢は少なく、そんな状態で帝国に弓を引くと言うのだから。
「そうですね。フレン様の未練を未練のまま終わらせないためにも生き返る可能性が1%でもあるのならそれにすがりのもいいですね。そして帝国へも復讐しましょう。私は一生貴方に着いていきますよアルフレッド様。」
セラは立ち上がりこちらに笑顔を向ける。
セラがそう言ってくれるのならとても嬉しい。
しかしひとつ気になったことがあった。
「母上の未練を未練のまま終わらせないってことは結婚式云々のやつも……か?」
そう聞くと一気に顔を赤くする。
「そ、それではなく!もっと可愛がりたかったって言ってた方です!ま、まぁ、そちらも、フレン様が言うなら、ゆくゆくは、なんて、思ったりしますけど?」
最後の方だけなんといってるのかよく聞こえなかった。
と言うことにしておこう。
「え、ごめん最後の方何て言った?よく聞こえなかったんだけど?」
「な、何でもありません!」
隣のセインからは早くくっ付けとでも言わんばかりの視線が注がれてくるが気にしないでおこう。
「はい。」
当たり前だが、元気は無い。
そういう自分も元気はないのだが。
「申し訳ありません、本来なら自分が若を気にかける立場だというのに。」
「大丈夫だ。……母上にとってはセラも娘のような存在だったんだろうな。」
母上はセラの剣術の師匠ということだったが、恐らくそれ以上に別の何かがあったのだろう。
そんな会話をしていると目の前に先程の暗殺部隊の人間が3人程現れた。
「……若、お逃げください。」
武器を構えるセラ。
「駄目だ、君は今後のためにも絶対に必要な存在だ。一人にするわけには行かない。それに……。」
母上のことを思い出す。
最後の涙と笑顔。
「もう二度とあんな思いはしたくないからな!」
こちらも武器を構える。
「……申し訳ありません。私も思慮が足りませんでした。」
そうしているうちに3人はこちらを囲むように展開していた。
しかしその瞬間目の前の一人が突如として倒れた。
その背中には矢が刺さっている。
「若!ご無事ですか!?」
暗闇の奥から聞き覚えのある声が聞こえる。
「セインか!」
暗闇の奥から姿形を変えたセインが現れる。
そうこうしているうちに他の二人もまたたく間に倒れていた。
「貴様!何故生きている!」
セラは武器を構え俺の前に出る。
いくら見た目を変えていても口調や、声は変えられない、というか俺が今名前呼んだからなのだが。
「待て!セインは味方だ。詳しくは後で話すが今は信用していい。」
横目にこちらを見るセラ。
しばらく考え込むと剣をしまった。
「……分かりました。若が、そういうのであれば。」
気が付くとあたりにはセインと同じような黒い革製の鎧と短弓、そして剣を携えている者達がいた。
「若が申された通り、避難民の中から戦えるものを集め、独自の隠密隊を編成いたしました。もう既に周辺にも展開しております。」
実は兵役解除した者や先に避難していた避難民の中から戦える者を厳選し、編成するように指示していたのだ。
「セイン!今すぐ母上の元へ急げ!」
セインは何かに気がついたように辺りを見回す。
「畏まりました!全員付いてこい!」
セインはセインが連れてきた手勢と共に俺達が逃げてきた方へと走っていった。
「俺達も行こう!」
「はい!」
「母上!」
目の前には無数の敵の死体。
ざっと数えて30近くはある。
そしてその真ん中には母上が膝を着き、倒れていた。
「まだ意識はあります。」
「ありがとう、セイン。」
母上のもとへと駆け寄る。
流石は帝国最強の姫である。
生命力も凄まじい。
駆けつけたセイン達によって手当てはされていた。
が、素人目に見てももう長くないことは分かる。
「あら、さっき最後の別れみたいにしたのにな……。」
「フレン様……。」
セラは涙を流し、母上の手を握っている。
「……母上。」
「アル、ごめんね本当はもっとずっと一緒に居てあげたかったんだけど……。」
母上の目からも涙がこぼれ落ちる。
「心配することはありません。母上のお陰で私は元気にやっていけているのです。今生きているのも母上のお陰です。」
「いや、私がもっとアルを可愛がりたいなってだけなんだけど……。」
予想外……いやあるそちらの方がある意味納得が行く。
「フレン様は相変わらずですね。」
セラは泣きながら笑う。
「セラもごめんね。本当ならアルとの結婚式の時に色んなサプライズとか考えてたんだけど……。」
とんでもないことを言い出す。
やはり本気でセラとくっ付けようとしていたらしい。
「申し訳ありません、あの時、本来なら私がお守りすべきなのに守られてしまいました。」
「ふふ……セラは真面目ね。そんなこと気にしなくて良いのに。」
セラの頬を撫でる母上。
その挙動はとても弱々しいものだった。
「セイン……やはり生きていたのね……聞きたいことは山ほどあるのだけれど……今は信用していいのね?」
どうやら俺の策を母上は見破っていたらしい。
流石は母上である。
「はい。我が忠誠はアルフレッド様にのみあります。」
笑みを浮かべる母上。
「なら……私からお願いするわ……絶対にアルを守って。」
「命に変えましても。」
深々と頭を下げるセイン。
セインも小さい頃から俺に仕えてくれており、その繋がりで母上にお世話になっていたのでここにいる3人は、ある意味母上の子供のようなものだったのかもしれない。
「3人共……仲良く……元気で……ね……。」
握っていた手から力が抜けるのが分かる。
「母上!」
「フレン様!」
いくら声を呼び掛けても返事はない。
安らかに目を閉じている。
セインは母上の脈を計る。
そしてこちらを見て首を横に振る。
(少し、難易度高すぎましたかね?)
そこで女神の声が聞こえてくる。
(少しどころじゃない。やりすぎだ。お前に対して殺意すら芽生えてきたぞ。)
これは本音である。
もし目の前にいたら殴っていたかもしれない。
(大丈夫です。大丈夫です。そういえば言い忘れていましたが、この世界でのゲームクリア条件を言ってませんでしたね?)
(ゲームクリア?こんな世界をゲーム感覚で楽しめるか!ふざけるな!)
そんな怒りを裏腹に女神は続ける。
(まあ、今は分かりやすいようにゲームクリアといいましたけど、この世界で私が貴方にやり遂げて欲しいことは楽しく生きることです。前世での未練を忘れ、この世界では未練のない人生を生きてほしいということです。)
いってる意味がよくわからない。
目の前で親が死ぬ世界で未練のない世界など無理に決まっている。
(つまりですね、人を生き返らせる道具がこの世界にはあります。)
(……なんだと?)
とてつもないことを聞いた。
(帝国に伝わる神具のひとつにその道具があります。帝国の人間はおとぎ話の類いだと思ってますけれど効果は確実です。)
「セラ、帝国に伝わる神具について詳しいか?」
セラは母上の手を握りながら涙を流していたが、即座に持ち直し、答える。
「はい。フレン様から色々お聞きしております。」
「なら、人を生き返らせる神具については?」
キョトンとした顔になる。
「もちろん存じていますが、あれはおとぎ話だったかと。」
「いや、あれはお伽噺なんかではない。王国には神具について色々伝わっていてな。効果も確かな物をみている。母上を生き返らせられるかもしれない。生き返る望みが少しでもあるのならそれにすがるとしようじゃないか?それに帝国への復讐にもなるしな?」
笑みがこぼれてしまう。
こんなに難しいことはないだろう。
こちらの手勢は少なく、そんな状態で帝国に弓を引くと言うのだから。
「そうですね。フレン様の未練を未練のまま終わらせないためにも生き返る可能性が1%でもあるのならそれにすがりのもいいですね。そして帝国へも復讐しましょう。私は一生貴方に着いていきますよアルフレッド様。」
セラは立ち上がりこちらに笑顔を向ける。
セラがそう言ってくれるのならとても嬉しい。
しかしひとつ気になったことがあった。
「母上の未練を未練のまま終わらせないってことは結婚式云々のやつも……か?」
そう聞くと一気に顔を赤くする。
「そ、それではなく!もっと可愛がりたかったって言ってた方です!ま、まぁ、そちらも、フレン様が言うなら、ゆくゆくは、なんて、思ったりしますけど?」
最後の方だけなんといってるのかよく聞こえなかった。
と言うことにしておこう。
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