歴史オタクの軍略無双〜外れスキルと国を追放された俺はスキルと歴史知識を駆使して復讐する〜

中村幸男

文字の大きさ
130 / 155

最後の攻撃

しおりを挟む
「進め! 総攻撃の合図だ!」
 
 夜明けと共に大きな太鼓の音が鳴り響く。
 それを合図にザルノール軍が総攻撃を仕掛けた。
 
「城門を打ち破れ! 城壁を登れ! ファレスを蹂躙するのだ!」
 
 ガイアが陣頭指揮を取り、総攻撃を開始する。
 しかし。
 
「おかしい……何故だ。何故反撃が来ない……」

 敵の様子に、さすがのガイアも疑問を覚える。
 だが、他の将兵は別であった。

「敵は怖気付いたぞ! 城門を突破せよ!」
 
 破城槌が運び込まれ、城門を攻撃し始める。
 調子に乗り始める将兵達を見て、そして不気味なまでの反撃の無さに、ガイアは戸惑う。
 
「ま、待て……いくら何でもこれは……」
「城壁にはしごをかけよ! 城門を打ち破れ!」
「手柄を立てるは今ぞ!」
「進め!」
 
 もはや、ガイアの言葉を聞く者は居なかった。
 人望の無さ、指揮能力の無さ、持ち得るのは家格だけ。
 そんなガイアの言葉に耳を傾ける者は居らず、皆我先にと、カレン・ノージリアの首を取り、武功を稼ごうと躍起になっていた。
 
「伝令! 他城門も敵の抵抗はありません! そして同じように攻勢をかけています!」
「……逃げたのか? いや、そもそも逃げ道があるのか分からん……罠と見るのが妥当だが……止まれ! 一旦止まるのだ!」
「城門が破れるぞ!」
 
 ガイアの声は虚しく散り、破城槌によって城門が破られる。
 
「突っ込め!」
「進め! 残るは城のみ! 武功をあげろ!」
「く……何故だ……何故……誰も言う事を聞かぬ……」
 
 
 
「ついに来ましたね」
 
 地下、隠し通路内にてフィアナは合図を待つ。
 
「皆、よくここまで私の指揮についてきてくれました。心から感謝を。佐切様ならばここまで追い込まれる事もなく勝利していたでしょう。申し訳ないです」
「何を言う。ここまで五千程しか兵を減らしていない。その功績は、紛れも無くフィアナ殿の物」
「ジョバンニ殿の言う通り! 我々ファレス騎士団こそ、ここファレスを守る精鋭騎士だが、大して活躍出来ていない。本来ならば率先して武功を挙げなくてはならぬのにな! この後の最後の攻撃で活躍してみせよう!」
「私達魔族も、最後の活躍を見せる時ですね。……下僕も、存分に活躍させます」
「皆さん……」
「……フィアナ」
 
 すると、フィアナの肩にサナンが手を置く。
 
「お前の指揮能力を疑う奴は一人も居ない。佐切だったらとか、気にするやつも居ない。お前はこの苦境をもって、佐切と並ぶ軍師になったんだ。俺が補償するよ」
「サナンさん……」
 
 すると、皆の頭の中に声が響く。
 
(待たせたな。準備完了だ。そして、今こそ好機。予定通り、策を実行してくれ)

 その佐切の声で、フィアナを意を決する。

「……佐切様の合図です! 総員行動開始! これより、最後の攻撃を仕掛けます! 狙うは敵総大将の首のみ! 全軍! 進め!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います

ゆさま
ファンタジー
ベテランオッサン冒険者が、美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされてしまった。生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれて……。 懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?

自由でいたい無気力男のダンジョン生活

無職無能の自由人
ファンタジー
無気力なおっさんが適当に過ごして楽をする話です。 すごく暇な時にどうぞ。

【状態異常耐性】を手に入れたがパーティーを追い出されたEランク冒険者、危険度SSアルラウネ(美少女)と出会う。そして幸せになる。

シトラス=ライス
ファンタジー
 万年Eランクで弓使いの冒険者【クルス】には目標があった。  十数年かけてため込んだ魔力を使って課題魔法を獲得し、冒険者ランクを上げたかったのだ。 そんな大事な魔力を、心優しいクルスは仲間の危機を救うべく"状態異常耐性"として使ってしまう。  おかげで辛くも勝利を収めたが、リーダーの魔法剣士はあろうことか、命の恩人である彼を、嫉妬が原因でパーティーから追放してしまう。  夢も、魔力も、そしてパーティーで唯一慕ってくれていた“魔法使いの後輩の少女”とも引き離され、何もかもをも失ったクルス。 彼は失意を酩酊でごまかし、死を覚悟して禁断の樹海へ足を踏み入れる。そしてそこで彼を待ち受けていたのは、 「獲物、来ましたね……?」  下半身はグロテスクな植物だが、上半身は女神のように美しい危険度SSの魔物:【アルラウネ】  アルラウネとの出会いと、手にした"状態異常耐性"の力が、Eランク冒険者クルスを新しい人生へ導いて行く。  *前作DSS(*パーティーを追い出されたDランク冒険者、声を失ったSSランク魔法使い(美少女)を拾う。そして癒される)と設定を共有する作品です。単体でも十分楽しめますが、前作をご覧いただくとより一層お楽しみいただけます。 また三章より、前作キャラクターが多数登場いたします!

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

幼馴染パーティーから追放された冒険者~所持していたユニークスキルは限界突破でした~レベル1から始まる成り上がりストーリー

すもも太郎
ファンタジー
 この世界は個人ごとにレベルの上限が決まっていて、それが本人の資質として死ぬまで変えられません。(伝説の勇者でレベル65)  主人公テイジンは能力を封印されて生まれた。それはレベルキャップ1という特大のハンデだったが、それ故に幼馴染パーティーとの冒険によって莫大な経験値を積み上げる事が出来ていた。(ギャップボーナス最大化状態)  しかし、レベルは1から一切上がらないまま、免許の更新期限が過ぎてギルドを首になり絶望する。  命を投げ出す決意で訪れた死と再生の洞窟でテイジンの封印が解け、ユニークスキル”限界突破”を手にする。その後、自分の力を知らず知らずに発揮していき、周囲を驚かせながらも一人旅をつづけようとするが‥‥ ※1話1500文字くらいで書いております

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~

みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった! 無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。 追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。

処理中です...