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アジトへの招待 そして出会い
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「へぇ。王都にこんな所があったんですか……いや、あったのか」
「不本意かもしれんが、その口調で頼む。敬語を使われると調子が狂うんでな。この際、年上年下は気にしないで行こう」
佐切は口調を正す。
佐切が案内されたのは、王都の地下、地下水路であった。
「あぁ。王都には上下水道が張り巡らされている。外に見える大きな橋があっただろ? あれが水道橋でな、排水は地下を流れてるんだ」
王都には至る所に大きな橋が架かっていた。
それは、水道橋であるということは、資料からも理解していたが、下水が地下を流れている事は初耳であった。
「知らないのも無理は無いさ。この下水の事を知っているのは王都でも数少ないんでな。まぁ、意図的に隠しているわけでは無いらしい。単純に知名度が低いんだ。勿論近衛騎士団は掌握してるし、下水の出口は警戒されている。そのお陰で魔族騒ぎの時も荒唐無稽な嘘だとは思わなかったんだろうさ」
「へぇ……偶然だったが、良かったな」
サナンの案内で、奥へと進んでいく。
曲がり角を曲がると、扉があった。
「この扉は?」
「ここが俺たちのアジトだ。かつては整備員の休憩所だったらしいが、新設されて放棄されたらしい。俺達がここを見つけたときはめっちゃ狭くてな。放棄された理由も分かる」
「ということは、今は違うんだな?」
サナンは頷く。
「ああ。俺達の手で地道に十数年かけて拡張した。さ、早速入ってくれ。残っているメンツ……と言っても二人しか居ないが、挨拶したいしな」
サナンが扉を開ける。
「おぉ……」
その中は佐切が思っていたよりも広く、かなりくつろげる空間が広がっていた。
木で作られた人形や、木剣、王都の地図が壁に張られており、訓練にも不足しない。
アジトと呼ぶに相応しい様相であった。
そして。
「……あの双子は?」
「ああ……寝てたか。先代頭領が保護した元奴隷でな。さっき言った、残ってる二人だ。あ、因みに今の頭領は俺な?」
「ふむ……」
アジトのソファには、銀髪の双子が寝ていた。
どちらも腰まで届くほどの銀髪で、佐切にはとても美しく見えた。
だが。
「……奴隷の区分は? ……聞くまでもないか」
「……まぁな。 幸いにも先代が救い出した時にはまだ幼く、手は出されなかったみたいだがその屋敷で相当悲惨な物を見てきたようだ」
奴隷にも種類があり、役割に応じてそれぞれ区分が分けられる。
剣闘士奴隷や労働奴隷、そして性奴隷である。
奴隷制の世界なので仕方が無いが、佐切は不快感を覚える。
二人はとても安心している様子で、眠りに落ちていた。
それを見て、佐切も安堵する。
「……やはり、スキルも無いのか」
「あぁ。ここにいる奴らは皆スキルを持ってない。昔は生活系のスキルを持っている奴もちらほらいたが、過去に行われた近衛騎士団の徹底的な弾圧で数を減らして、今はここにいるので全員だ」
佐切はアジトに戻り、寛ぎ始める魔王派の人間を見渡す。
数は双子を含めて二十名であった。
「……先代が立ち上げた頃には規模も大きくて、そこら中にいたんだが、弾圧されてこの通りさ」
「……よく生き残れたな」
「あぁ。先代が頑張ってくれたんだ。このアジトも含めて、残してくれた物もあるしな」
すると、サナンはアジトの奥に行き、何かを持ってくる。
「これだ」
サナンはそう言うと、二振りの刀を抜き放つ。
その二振りの刀は長さが違い、一つは短かった。
「それは……刀?」
「知ってるのか? だったら、先代と同じ出身なのかもな」
「……その先代の名前は?」
サナンは刀をしまい、口を開く。
「宮本武蔵。そう名乗っていたな」
「不本意かもしれんが、その口調で頼む。敬語を使われると調子が狂うんでな。この際、年上年下は気にしないで行こう」
佐切は口調を正す。
佐切が案内されたのは、王都の地下、地下水路であった。
「あぁ。王都には上下水道が張り巡らされている。外に見える大きな橋があっただろ? あれが水道橋でな、排水は地下を流れてるんだ」
王都には至る所に大きな橋が架かっていた。
それは、水道橋であるということは、資料からも理解していたが、下水が地下を流れている事は初耳であった。
「知らないのも無理は無いさ。この下水の事を知っているのは王都でも数少ないんでな。まぁ、意図的に隠しているわけでは無いらしい。単純に知名度が低いんだ。勿論近衛騎士団は掌握してるし、下水の出口は警戒されている。そのお陰で魔族騒ぎの時も荒唐無稽な嘘だとは思わなかったんだろうさ」
「へぇ……偶然だったが、良かったな」
サナンの案内で、奥へと進んでいく。
曲がり角を曲がると、扉があった。
「この扉は?」
「ここが俺たちのアジトだ。かつては整備員の休憩所だったらしいが、新設されて放棄されたらしい。俺達がここを見つけたときはめっちゃ狭くてな。放棄された理由も分かる」
「ということは、今は違うんだな?」
サナンは頷く。
「ああ。俺達の手で地道に十数年かけて拡張した。さ、早速入ってくれ。残っているメンツ……と言っても二人しか居ないが、挨拶したいしな」
サナンが扉を開ける。
「おぉ……」
その中は佐切が思っていたよりも広く、かなりくつろげる空間が広がっていた。
木で作られた人形や、木剣、王都の地図が壁に張られており、訓練にも不足しない。
アジトと呼ぶに相応しい様相であった。
そして。
「……あの双子は?」
「ああ……寝てたか。先代頭領が保護した元奴隷でな。さっき言った、残ってる二人だ。あ、因みに今の頭領は俺な?」
「ふむ……」
アジトのソファには、銀髪の双子が寝ていた。
どちらも腰まで届くほどの銀髪で、佐切にはとても美しく見えた。
だが。
「……奴隷の区分は? ……聞くまでもないか」
「……まぁな。 幸いにも先代が救い出した時にはまだ幼く、手は出されなかったみたいだがその屋敷で相当悲惨な物を見てきたようだ」
奴隷にも種類があり、役割に応じてそれぞれ区分が分けられる。
剣闘士奴隷や労働奴隷、そして性奴隷である。
奴隷制の世界なので仕方が無いが、佐切は不快感を覚える。
二人はとても安心している様子で、眠りに落ちていた。
それを見て、佐切も安堵する。
「……やはり、スキルも無いのか」
「あぁ。ここにいる奴らは皆スキルを持ってない。昔は生活系のスキルを持っている奴もちらほらいたが、過去に行われた近衛騎士団の徹底的な弾圧で数を減らして、今はここにいるので全員だ」
佐切はアジトに戻り、寛ぎ始める魔王派の人間を見渡す。
数は双子を含めて二十名であった。
「……先代が立ち上げた頃には規模も大きくて、そこら中にいたんだが、弾圧されてこの通りさ」
「……よく生き残れたな」
「あぁ。先代が頑張ってくれたんだ。このアジトも含めて、残してくれた物もあるしな」
すると、サナンはアジトの奥に行き、何かを持ってくる。
「これだ」
サナンはそう言うと、二振りの刀を抜き放つ。
その二振りの刀は長さが違い、一つは短かった。
「それは……刀?」
「知ってるのか? だったら、先代と同じ出身なのかもな」
「……その先代の名前は?」
サナンは刀をしまい、口を開く。
「宮本武蔵。そう名乗っていたな」
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