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閑話 女友達
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「はぁ……なんか疲れた」
軍議の後、キサラは自室に戻り休んでいた。
「まぁ、ここのところしっかりとした休みも取れてないし……仕方が無いか」
「キサラ、入ってもよいか?」
すると、戸が叩かれる。
声の主は上司でもあり、女友達でもあるサティスであった。
サティスからすると、キサラは唯一心の許せる女友達であるのだ。
「勿論です。魔王様」
すると、戸が開けられサティスが入って来る。
その装いは完全にフリーで、かなりラフな姿であった。
「まったく……二人きりの時は呼び捨てで良いと言っているだろう」
「だって扉の外にサティス以外の人がいるかも知れないでしょう? 迂闊なことは出来無いからね」
二人は実は幼馴染であった。
魔族と人間との戦が始まってから約二十年後、キサラとサティスは同じ年に生まれた。
そしてその才能を見込まれ、魔王から直接英才教育をサティスと共に教え込まれた。
その頃、魔王軍は徐々に劣勢になりつつあり、魔王はそれを見越して、万が一の時のために次代の指揮官を育成したのかもしれない。
それ故、二人は仲が大変良かったのである。
「それで、急にどうしたの? いつもなら前もって言ってくれてるのに」
「い、いや……その……だな……」
サティスは急にモジモジし始める。
それはさながら思春期の少女のようであった。
そして、キサラは非常に勘が鋭かった。
「まさか……佐切殿?」
「……う……」
サティスは恥ずかしそうに頷いた。
その様子に、キサラは思わず笑みがこぼれる。
「へぇ……ああいうのがタイプなんだ……」
「だ、だって……お父様の影響か、これまで魔族の人に惹かれた事無くて……初めて私が相対した敵じゃない男の人は佐切が初めてだったから……」
そう言うサティスの頬は赤い。
「……一目惚れ?」
「……そう……かも?」
「……もう少し相手を知ってからの方がいいんじゃない? ていうか、何を聞きに来たの? 相談?」
相談であれば、キサラは力になれないのである。
なぜならば、自分もそういった経験は皆無だからである。
そこまで言うと、キサラはサティスの聞きたい事に自分で気が付く。
「あ、そうか。レナの事ね? 確かにずっと一緒にいたし、報告書にもフィアナの事は書いてたし……成る程。佐切殿の女性関係ね?」
サティスは頷いた。
サティスがここまでしおらしくなるのも珍しいとキサラは感じた。
「実は、私には何も分からないんだ」
「え、えぇ……」
「まぁでもフィアナは確実に特別な感情を抱いているだろうし、レナもそうでしょうね。要塞街ファレスの内通者、カルラもいるし……案外侮れないかもよ?」
「……」
そう言うと、サティスは明らかに肩を落とす。
「……そっか……」
「……ま、まぁ! 何も確かな事は言えないし……そうだ! 搦手砦から魔王派が帰ってくるはずだし……フィアナに直接聞いてみたら?」
「え!? で、でも……」
サティスは躊躇う。
しかし、はっきりさせれば友の恋路を応援出来る。
そう考えたキサラは更に押す。
「大丈夫! 私も一緒に話すから!」
「……う、うん……なら……」
なんとか前へと踏み出した友に、キサラは安堵するのであった。
(……これで皆の眼の前に出る時は平然としてるんだから……本当に凄いわ)
軍議の後、キサラは自室に戻り休んでいた。
「まぁ、ここのところしっかりとした休みも取れてないし……仕方が無いか」
「キサラ、入ってもよいか?」
すると、戸が叩かれる。
声の主は上司でもあり、女友達でもあるサティスであった。
サティスからすると、キサラは唯一心の許せる女友達であるのだ。
「勿論です。魔王様」
すると、戸が開けられサティスが入って来る。
その装いは完全にフリーで、かなりラフな姿であった。
「まったく……二人きりの時は呼び捨てで良いと言っているだろう」
「だって扉の外にサティス以外の人がいるかも知れないでしょう? 迂闊なことは出来無いからね」
二人は実は幼馴染であった。
魔族と人間との戦が始まってから約二十年後、キサラとサティスは同じ年に生まれた。
そしてその才能を見込まれ、魔王から直接英才教育をサティスと共に教え込まれた。
その頃、魔王軍は徐々に劣勢になりつつあり、魔王はそれを見越して、万が一の時のために次代の指揮官を育成したのかもしれない。
それ故、二人は仲が大変良かったのである。
「それで、急にどうしたの? いつもなら前もって言ってくれてるのに」
「い、いや……その……だな……」
サティスは急にモジモジし始める。
それはさながら思春期の少女のようであった。
そして、キサラは非常に勘が鋭かった。
「まさか……佐切殿?」
「……う……」
サティスは恥ずかしそうに頷いた。
その様子に、キサラは思わず笑みがこぼれる。
「へぇ……ああいうのがタイプなんだ……」
「だ、だって……お父様の影響か、これまで魔族の人に惹かれた事無くて……初めて私が相対した敵じゃない男の人は佐切が初めてだったから……」
そう言うサティスの頬は赤い。
「……一目惚れ?」
「……そう……かも?」
「……もう少し相手を知ってからの方がいいんじゃない? ていうか、何を聞きに来たの? 相談?」
相談であれば、キサラは力になれないのである。
なぜならば、自分もそういった経験は皆無だからである。
そこまで言うと、キサラはサティスの聞きたい事に自分で気が付く。
「あ、そうか。レナの事ね? 確かにずっと一緒にいたし、報告書にもフィアナの事は書いてたし……成る程。佐切殿の女性関係ね?」
サティスは頷いた。
サティスがここまでしおらしくなるのも珍しいとキサラは感じた。
「実は、私には何も分からないんだ」
「え、えぇ……」
「まぁでもフィアナは確実に特別な感情を抱いているだろうし、レナもそうでしょうね。要塞街ファレスの内通者、カルラもいるし……案外侮れないかもよ?」
「……」
そう言うと、サティスは明らかに肩を落とす。
「……そっか……」
「……ま、まぁ! 何も確かな事は言えないし……そうだ! 搦手砦から魔王派が帰ってくるはずだし……フィアナに直接聞いてみたら?」
「え!? で、でも……」
サティスは躊躇う。
しかし、はっきりさせれば友の恋路を応援出来る。
そう考えたキサラは更に押す。
「大丈夫! 私も一緒に話すから!」
「……う、うん……なら……」
なんとか前へと踏み出した友に、キサラは安堵するのであった。
(……これで皆の眼の前に出る時は平然としてるんだから……本当に凄いわ)
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