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カレン・ノージリアとザイル
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「ノージリア国の女王……何故その様なお方がここに?」
突如として乱入してきたノージリア国女王カレン・ノージリア。
果たして本物かどうか、俺たちでは判断はつかなかったが……。
「女王陛下! このような所にお一人で!? 危なすぎます!」
「爺……じゃなかった。ザイル、一国の王が死ぬことを恐れて前線に立たずにどうするというのですか。前線の状況を把握する事も王族の大事な務めなのですよ」
ファレス騎士団の団長、ザイルの反応を見ればよく分かる。
彼女は本物だ。
それに、爺と呼ばれていた所を見るとそれなりに親しい間柄のようだ。
だがザイルは爺と呼ばれる年齢には見えない気がする。
「それに、彼女も連れてきたわ。頑固者のザイルを黙らせるには一番効果的だもの」
「ま、まさか……」
すると、見覚えのある女性が入って来る。
「な……カルラ!? 女王陛下! それはさすがに……」
「やぁ、ザイル坊や。久しぶりだね」
入って来たのはカルラであった。
そして、ザイルとの関係性に驚きを覚える。
「カルラ……ザイル殿とどういう?」
カルラのザイルを見る目は何処か怪しげだ。
良い印象を抱いている相手に向ける眼差しでは無い。
……不安はあるが、カルラならば大丈夫だろう。
「あぁ……実は遠い親戚なんだ。まぁ、私の一族……エルフと因縁のある相手でね。話してなかったのは謝るよ」
「私の隠密で貴方達魔王軍がカルラと接触しているのは知ってたから、出来ればカルラと一緒に話をしたかったのだけれど、貴方達が思いの外動きが早くてね。動きを聞いてここに直接来たわけ」
親戚……と言うことエルフの血が入っているのか。
どうりで若く見えるわけだ。
カレンは改めて俺の前に立ち、手を差し出してくる。
「改めて、私はノージリア国女王、カレン・ノージリアよ。よろしくね」
「じゃあ……ノージリアは魔王国と同盟を結びたいと?」
「ええ。前々からザルノールのやり方は気に食わなかったの。ここは元々エルフの里というだけあってこの地に根付いた思想や文化は魔王国のものと近かったの。それに、ザルノールは私達の国を道具扱いしてる。そして管理官が急にザルノールの人間になった事を受けて、決断したのよ。ザルノールは私達を属国だと思っている。いずれ決別するその時の為に、彼女達情報屋は私達にもそれ相応の情報を流してくれていたの」
カレンは現状を説明してくれた。
カレンの容姿は日本人に近かった。
黒い髪を肩ほどまでに伸ばしたその容姿は和服を着れば日本人と言っても気付かれないだろう。
「成る程……我々は魔王の家臣でしか無いのでこの場で同盟とか不可侵条約のような物は締結出来ませんが、そちらの意向は魔王へしっかりと伝えます」
「ええ、よろしく頼むわ」
まぁ『念話』でこの場でやり取りも出来るのだが、サティスに考える時間を与えたほうが良い。
これが罠という可能性も低くはないのだから。
「所で、そちらのザイル殿とカルラはどういう関係なのですか?」
「ええ。そりゃ気になるわよね」
カレンは説明を始める。
「彼はザイル。彼の祖父は初代ファレス騎士団の団長よ。そして、祖母はカルラの妹。初代ファレス騎士団長はカルラの妹と結婚していたの」
「その時はまだ魔王国との戦争は始まっていなかった。そして、魔王国との戦争が始まる頃にザイルが団長となった。ザイルは祖母である私の妹から得た情報を国に流し、エルフを攻めたのだ」
「……」
カルラは冷たく言う。
成る程、エルフの仇なのか。
そして、ザイルは何も否定しない。
「私がこうして活動していたのはこいつに復讐するためでもある。もし私がこの場に立てば交渉も何もなくこいつを殺そうとしただろうからな。だから、この場には来なかったんだ。だが来てしまった。この顔を見てしまった以上、私は今すぐこの男を殺したい……邪魔はするなよ?」
「待って、カルラ」
すると、カレンが間に割って入る。
「ザイルの話を聞いて。戦争が始まってから彼と話をしてないんでしょう?」
「……聞く話など無い。悪いな、カレン」
カルラはナイフを取り出す。
……俺には彼女を止められない。
「待って! お願いだから……」
「女王陛下。良いのです。今まで逃げていた私の責任です。甘んじて、死を受け入れましょう」
カルラはザイルに近づく。
「……言い残す事は?」
「……無い」
「そうか」
カルラはナイフを握りしめ、それを振り下ろす。
「待った!」
俺はカルラの腕を掴み止める。
間一髪、間に合った。
やっぱりこういうのは良くない。
「止めるな!」
「いいや、止める。貴方の恨みも最もだが、話を聞いてから殺しても遅くは無いんじゃないか? 彼を殺してしまえば、あなたの妹の話も聞けなくなりますよ」
「……」
そう言うと、カルラは渋々ナイフをしまった。
そして、ザイルから離れて座る。
「聞くだけだ。始末するのは変わらないからな」
「……ありがとう。さて、助けてやったんだ。話を聞かせて貰うぞ」
「……良いだろう」
突如として乱入してきたノージリア国女王カレン・ノージリア。
果たして本物かどうか、俺たちでは判断はつかなかったが……。
「女王陛下! このような所にお一人で!? 危なすぎます!」
「爺……じゃなかった。ザイル、一国の王が死ぬことを恐れて前線に立たずにどうするというのですか。前線の状況を把握する事も王族の大事な務めなのですよ」
ファレス騎士団の団長、ザイルの反応を見ればよく分かる。
彼女は本物だ。
それに、爺と呼ばれていた所を見るとそれなりに親しい間柄のようだ。
だがザイルは爺と呼ばれる年齢には見えない気がする。
「それに、彼女も連れてきたわ。頑固者のザイルを黙らせるには一番効果的だもの」
「ま、まさか……」
すると、見覚えのある女性が入って来る。
「な……カルラ!? 女王陛下! それはさすがに……」
「やぁ、ザイル坊や。久しぶりだね」
入って来たのはカルラであった。
そして、ザイルとの関係性に驚きを覚える。
「カルラ……ザイル殿とどういう?」
カルラのザイルを見る目は何処か怪しげだ。
良い印象を抱いている相手に向ける眼差しでは無い。
……不安はあるが、カルラならば大丈夫だろう。
「あぁ……実は遠い親戚なんだ。まぁ、私の一族……エルフと因縁のある相手でね。話してなかったのは謝るよ」
「私の隠密で貴方達魔王軍がカルラと接触しているのは知ってたから、出来ればカルラと一緒に話をしたかったのだけれど、貴方達が思いの外動きが早くてね。動きを聞いてここに直接来たわけ」
親戚……と言うことエルフの血が入っているのか。
どうりで若く見えるわけだ。
カレンは改めて俺の前に立ち、手を差し出してくる。
「改めて、私はノージリア国女王、カレン・ノージリアよ。よろしくね」
「じゃあ……ノージリアは魔王国と同盟を結びたいと?」
「ええ。前々からザルノールのやり方は気に食わなかったの。ここは元々エルフの里というだけあってこの地に根付いた思想や文化は魔王国のものと近かったの。それに、ザルノールは私達の国を道具扱いしてる。そして管理官が急にザルノールの人間になった事を受けて、決断したのよ。ザルノールは私達を属国だと思っている。いずれ決別するその時の為に、彼女達情報屋は私達にもそれ相応の情報を流してくれていたの」
カレンは現状を説明してくれた。
カレンの容姿は日本人に近かった。
黒い髪を肩ほどまでに伸ばしたその容姿は和服を着れば日本人と言っても気付かれないだろう。
「成る程……我々は魔王の家臣でしか無いのでこの場で同盟とか不可侵条約のような物は締結出来ませんが、そちらの意向は魔王へしっかりと伝えます」
「ええ、よろしく頼むわ」
まぁ『念話』でこの場でやり取りも出来るのだが、サティスに考える時間を与えたほうが良い。
これが罠という可能性も低くはないのだから。
「所で、そちらのザイル殿とカルラはどういう関係なのですか?」
「ええ。そりゃ気になるわよね」
カレンは説明を始める。
「彼はザイル。彼の祖父は初代ファレス騎士団の団長よ。そして、祖母はカルラの妹。初代ファレス騎士団長はカルラの妹と結婚していたの」
「その時はまだ魔王国との戦争は始まっていなかった。そして、魔王国との戦争が始まる頃にザイルが団長となった。ザイルは祖母である私の妹から得た情報を国に流し、エルフを攻めたのだ」
「……」
カルラは冷たく言う。
成る程、エルフの仇なのか。
そして、ザイルは何も否定しない。
「私がこうして活動していたのはこいつに復讐するためでもある。もし私がこの場に立てば交渉も何もなくこいつを殺そうとしただろうからな。だから、この場には来なかったんだ。だが来てしまった。この顔を見てしまった以上、私は今すぐこの男を殺したい……邪魔はするなよ?」
「待って、カルラ」
すると、カレンが間に割って入る。
「ザイルの話を聞いて。戦争が始まってから彼と話をしてないんでしょう?」
「……聞く話など無い。悪いな、カレン」
カルラはナイフを取り出す。
……俺には彼女を止められない。
「待って! お願いだから……」
「女王陛下。良いのです。今まで逃げていた私の責任です。甘んじて、死を受け入れましょう」
カルラはザイルに近づく。
「……言い残す事は?」
「……無い」
「そうか」
カルラはナイフを握りしめ、それを振り下ろす。
「待った!」
俺はカルラの腕を掴み止める。
間一髪、間に合った。
やっぱりこういうのは良くない。
「止めるな!」
「いいや、止める。貴方の恨みも最もだが、話を聞いてから殺しても遅くは無いんじゃないか? 彼を殺してしまえば、あなたの妹の話も聞けなくなりますよ」
「……」
そう言うと、カルラは渋々ナイフをしまった。
そして、ザイルから離れて座る。
「聞くだけだ。始末するのは変わらないからな」
「……ありがとう。さて、助けてやったんだ。話を聞かせて貰うぞ」
「……良いだろう」
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