歴史オタクの軍略無双〜外れスキルと国を追放された俺はスキルと歴史知識を駆使して復讐する〜

中村幸男

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決起

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「諸君。ついにこの時が来た。ついにすべての準備が整ったのだ」
 
 再興軍のアジトにてガルンの演説が始まる。
 すべての準備が整い、これまでのゲリラ的活動によって日和見を決めていた他の軍団長も、再興軍の力を認めてきたのかゴルンの行動に反発するようになってきていた。
 今こそが決起の時であると、ガルンは立ち上がったのだ。
 
「我がドヴェルグ家の縁戚とは言え、ゴルンの行動は許し難い。我が父、母、兄や弟、家臣の多くを討ち取った。その行動に義はなく、決して認められるものではない!」
 
 ガルンとゴルンが親戚の関係にあるとは初耳だ。
 成る程、だからこそザルノールはゴルンを唆したのか。
 恐らく、王家よりも力を持っていた軍部を掌握していたゴルンが権力欲に取り憑かれていると推測したのだろう。
 結果、この通りになっている。
 ザルノールの誤算はガルン・ドヴェルグが非常に優秀で生き残ってしまったことだ。
 彼が多くの仲間を引き連れて落ち延びた事で、この状況が起こったのだ。
 
「諸君! ここに集う者達は皆王宮が襲われた際に親兄弟、親しい者達を失った! この悲しみも怒りも決して忘れてはならない! 私利私欲で虐殺を行ったゴルンに正義の鉄槌を下すのだ! これはドヴェルグ王国のためではない! 正義の為の戦いだ!」
 
 ガルンが大きく拳を突き上げるを
 それに応えるように大きな歓声が上がる。
 ……一瞬何処かで聞いたことのあるフレーズがあったが……。
 どちらにせよ、士気は充分。
 この戦、勝てる。
 
「流石は若ですね」
「……ドリンさん」
「我々参謀部も再度作戦を見直しました。勝ちの目は充分にあります」
「えぇ。そうですね」
 
 しかし気がかりもある。
 作戦の準備段階、各方面で行ったゲリラ的活動で敵の動きが非常に良かったのだ。
 まるでこちらの動きを知っているかの如く動いてきていた。
 念の為に作戦を行う者とは『念話』を繋いで『俯瞰』を使えるようにしていたので不測の事態にも対応が出来たが、もし俺がいなければ一網打尽にされていたことも少なくなかった。
 考えられるとすれば……。
 
「どうかしましたか? 何か心配事でも?」
「……いえ、恐らく大丈夫でしょう。考えすぎです」
 
 やれる事はやった。
 色々と不安な要素はあるが後は進むしかない。
 
「皆の者! 行くぞ! 出陣だ!」
 
 ついに始まるのであった。
 至上最悪の戦闘が。
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