14 / 36
牢の中で
しおりを挟む
「……ん。」
目が覚める。
ここ三年、全く同じ天井を見ながら目が覚めている。
「隊長!朝です!点呼ですよ!」
「分かってる。」
俺は部下と共にアメリカ軍に捕まり、投獄された。
逃げ延びた部下も居るようだが、ここにいる間その辺りの情報は全く入っていない。
新聞なんかで世界情勢は入ってくるが、その程度だ。
「まぁ、俺達は点呼に出る必要は無いんだがな。」
「いや、でも出ましょうよ。さすがに。」
同室には俺の部隊のナンバースリーとも言える部下、スミスの右腕とも言える優秀な奴がいる。
若干ウザく感じている。
「マイク。俺は寝る。」
「隊長ぉ~。起きましょー。」
少し軽いのが勿体無いが優秀であることに変わりはない。
「俺達は優遇されてるからな。」
アメリカはあのAIを使いこなせてはいない。
その為、唯一それを使いこなしていた俺達は優遇されている。
情報を引き出す為だ。
勿論、誰一人として口を開くものは居ない。
それも当たり前だろう。
皆が慕っていたスミスが、柏木が。
苦楽を共にした戦友が殺されたのだ。
口を開きたい者が居るはずが無い。
「隊長。朝食です。」
「おう。置いとけ。」
マイクがトレーを置く。
ここでは点呼と同時に朝食が配られる。
「……ん?」
トレーを受け取ると、いつもと様子が違う事に気が付く。
パンの置いてある皿がいつもと違う。
皿の下を見る。
すると、小さな紙が置いてある。
マイクに静かにするように指示する。
この部屋には盗聴器が仕掛けられている。
ほんの少しでも情報を聞き出す為だ。
「……パンいるか?」
「ちゃんと食べて下さい。」
他愛の無い会話を続けつつ小さく折りたたまれた紙を開く。
そこには『準備良し』と書かれていた。
それをマイクに見せる。
「……いいから食え。俺は寝る。」
「隊長……。」
ベッドに横たわり、目を閉じる。
いよいよこの時が来た。
三年前の柏木の最後の依頼を果たせる時が来た。
三年前の事を思い出す。
「私の作ったAIを破壊して下さい。」
そう最後に言われた。
「今更なんですがあのAI、アイという名前なんです。」
「お前の妹と同じ名前か。」
止血を続けるが血は止まらない。
「やっぱり……日本にお詳しいんですね。」
「……まぁな。」
ほんの少しだが、日本については知っている。
「だが、どうやって勝つ。奴等に使われたら勝てんぞ。」
「……弱点が……あります。」
段々と喋るのも辛そうになってきている。
「あれは……人の感情に疎いです……。第二次大戦の日本軍のデータを読み込ませたら……大抵エラーが……。」
「あぁ。それで?」
傷口を押えつつ、話を聞く。
せめて、最後まで聞いてやろう。
「特に大戦末期の……行動が……。」
「しっかりしろ!絶対にお前の依頼は果たして見せる!教えてくれ!」
すると、柏木は少し笑った。
「……なんだかんだ言って、優しい……ですよね……。」
「……。」
段々と柏木の力が抜けていく事を感じる。
「どうか……アイを……。」
「柏木……。」
その言葉を最後に柏木は息を引き取った。
あれから三年、俺は柏木のヒントをずっと考えていた。
そこで、一つの答えにたどり着いた。
それがあっていれば勝てる。
柏木の最後の依頼を完璧に果たして見せる。
目が覚める。
ここ三年、全く同じ天井を見ながら目が覚めている。
「隊長!朝です!点呼ですよ!」
「分かってる。」
俺は部下と共にアメリカ軍に捕まり、投獄された。
逃げ延びた部下も居るようだが、ここにいる間その辺りの情報は全く入っていない。
新聞なんかで世界情勢は入ってくるが、その程度だ。
「まぁ、俺達は点呼に出る必要は無いんだがな。」
「いや、でも出ましょうよ。さすがに。」
同室には俺の部隊のナンバースリーとも言える部下、スミスの右腕とも言える優秀な奴がいる。
若干ウザく感じている。
「マイク。俺は寝る。」
「隊長ぉ~。起きましょー。」
少し軽いのが勿体無いが優秀であることに変わりはない。
「俺達は優遇されてるからな。」
アメリカはあのAIを使いこなせてはいない。
その為、唯一それを使いこなしていた俺達は優遇されている。
情報を引き出す為だ。
勿論、誰一人として口を開くものは居ない。
それも当たり前だろう。
皆が慕っていたスミスが、柏木が。
苦楽を共にした戦友が殺されたのだ。
口を開きたい者が居るはずが無い。
「隊長。朝食です。」
「おう。置いとけ。」
マイクがトレーを置く。
ここでは点呼と同時に朝食が配られる。
「……ん?」
トレーを受け取ると、いつもと様子が違う事に気が付く。
パンの置いてある皿がいつもと違う。
皿の下を見る。
すると、小さな紙が置いてある。
マイクに静かにするように指示する。
この部屋には盗聴器が仕掛けられている。
ほんの少しでも情報を聞き出す為だ。
「……パンいるか?」
「ちゃんと食べて下さい。」
他愛の無い会話を続けつつ小さく折りたたまれた紙を開く。
そこには『準備良し』と書かれていた。
それをマイクに見せる。
「……いいから食え。俺は寝る。」
「隊長……。」
ベッドに横たわり、目を閉じる。
いよいよこの時が来た。
三年前の柏木の最後の依頼を果たせる時が来た。
三年前の事を思い出す。
「私の作ったAIを破壊して下さい。」
そう最後に言われた。
「今更なんですがあのAI、アイという名前なんです。」
「お前の妹と同じ名前か。」
止血を続けるが血は止まらない。
「やっぱり……日本にお詳しいんですね。」
「……まぁな。」
ほんの少しだが、日本については知っている。
「だが、どうやって勝つ。奴等に使われたら勝てんぞ。」
「……弱点が……あります。」
段々と喋るのも辛そうになってきている。
「あれは……人の感情に疎いです……。第二次大戦の日本軍のデータを読み込ませたら……大抵エラーが……。」
「あぁ。それで?」
傷口を押えつつ、話を聞く。
せめて、最後まで聞いてやろう。
「特に大戦末期の……行動が……。」
「しっかりしろ!絶対にお前の依頼は果たして見せる!教えてくれ!」
すると、柏木は少し笑った。
「……なんだかんだ言って、優しい……ですよね……。」
「……。」
段々と柏木の力が抜けていく事を感じる。
「どうか……アイを……。」
「柏木……。」
その言葉を最後に柏木は息を引き取った。
あれから三年、俺は柏木のヒントをずっと考えていた。
そこで、一つの答えにたどり着いた。
それがあっていれば勝てる。
柏木の最後の依頼を完璧に果たして見せる。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
0
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる