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織田の血脈
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「殿、本当に宜しかったのですか!?」
「取り返しはつきませぬぞ!」
「百々、木造もう良い決めたのだ。」
三郎が去った後の織田の陣。
織田家の家老達は秀信と三郎の間で交わされた話を聞き、反対の意見を出していた。
「しかし、それがもし失敗すれば今度こそ織田家は滅びまする!」
「どうか!どうかお考え直しを!」
百々と木造は秀信の眼の前で平伏し、懇願する。
「二人共。私はもう決めたのだ。ここで我が人生が終わろうと悔いは無い。歴史に名を刻めるのだからな。」
「……承知しました。」
木造が顔を上げ、槍を手に取る。
「この木造長政、最後までお供致します。老いぼれてすが、まだまだ槍の腕は衰えませぬ!」
その言葉を聞き、百々も立ち上がる。
「では、儂も。……殿を主君に迎えてから、何処かでこうなることを祈っていたのやも知れませぬな。」
二人は秀信の決意が硬いことを知ると、それを支える事を誓った。
すると、陣に弟の秀則が顔をだす。
「兄上、我等はまだ動かぬのですか!?」
「……これは、私の独断だ。」
秀信は百々と木造にそう言うと、秀則に近付く。
「秀則。お主は杉江勘兵衛、松田重太夫殿と共に急ぎ大垣へ行け。」
「大垣?何故ですか?」
「徳川父子を取り逃したときの備えだ。もし討ち取ったならば、我等が勝ったと知り、岐阜の敵は逃げ出すやも知れん。お前は大垣で臨機応変に動けるようにしておけ。」
秀則は少し考えると頷いた。
「分かりました。」
秀則が陣を出て行こうとする。
「……秀則!」
が、秀信が呼び止めた。
「良いか。何があっても私はお前の味方だ。という事はお前は私の味方だ。我等兄弟、決して敵対することは無い。そうだな?」
「は、はい。」
秀信は語り続ける。
「この先、我等がどうなろうとも、お前は織田の血脈を守れ。良いな。」
「……兄上。一体何をしようとしてるのですか!?」
しかし、秀信は語らない。
すると、秀則はある事に気が付く。
「……兄上!……三郎殿は、祖父上は何処に居られるのですか!?」
「秀則様!」
すると、木造が秀則を抑える。
「秀則様。我が殿は心をお決めになられたのです。天下を、織田の手に取り返すと。」
「……ならば、ならば私も共に!」
「なりませぬ!」
そこで、百々も止めに入った。
「ここから先は危険な大博打。三郎殿の策があろうとも、成功するかどうかは分かりませぬ。その為、貴方様には生きてもらうのです。織田の血脈を守る為に!」
「……分かった。」
秀則は頷く。
「では、事が上手く運べば岐阜を取り返しまする。徳川父子が落ち延びたとあればすぐさま討ち取る為、出陣いたしまする。」
「……三郎は徳川と石田殿、両方が死ぬ事が大事だと言っていた。討ち漏らしてはならんぞ。」
「はっ!」
秀則は頭を下げると去って行った。
その後ろ姿は何処か不満気であった。
「……これで良かったのか?この後が最も大事な場面だと言うのに手勢を減らすような真似を……。」
「まぁ、杉江勘兵衛と松田重太夫は石田の家臣じゃ。連携を乱されるよりは良いだろう。」
「百々の言う通りだ。危険な大博打だからこそ、少しでも確実にしておきたいんだ。」
「殿!」
すると、伝令が駆け込んでくる。
「松尾山より狼煙が上がりました!」
「小早川を内応させたか。流石は三郎だ!」
秀信は伝令の言葉を聞くとすぐさま指示を出した。
「出陣じゃ!敵は石田三成!我等の手に天下を取り戻すぞ!まずは大谷吉継を討つ!我に続け!」
「「おお!」」
歴史が今、大きく変わろうとしていた。
「取り返しはつきませぬぞ!」
「百々、木造もう良い決めたのだ。」
三郎が去った後の織田の陣。
織田家の家老達は秀信と三郎の間で交わされた話を聞き、反対の意見を出していた。
「しかし、それがもし失敗すれば今度こそ織田家は滅びまする!」
「どうか!どうかお考え直しを!」
百々と木造は秀信の眼の前で平伏し、懇願する。
「二人共。私はもう決めたのだ。ここで我が人生が終わろうと悔いは無い。歴史に名を刻めるのだからな。」
「……承知しました。」
木造が顔を上げ、槍を手に取る。
「この木造長政、最後までお供致します。老いぼれてすが、まだまだ槍の腕は衰えませぬ!」
その言葉を聞き、百々も立ち上がる。
「では、儂も。……殿を主君に迎えてから、何処かでこうなることを祈っていたのやも知れませぬな。」
二人は秀信の決意が硬いことを知ると、それを支える事を誓った。
すると、陣に弟の秀則が顔をだす。
「兄上、我等はまだ動かぬのですか!?」
「……これは、私の独断だ。」
秀信は百々と木造にそう言うと、秀則に近付く。
「秀則。お主は杉江勘兵衛、松田重太夫殿と共に急ぎ大垣へ行け。」
「大垣?何故ですか?」
「徳川父子を取り逃したときの備えだ。もし討ち取ったならば、我等が勝ったと知り、岐阜の敵は逃げ出すやも知れん。お前は大垣で臨機応変に動けるようにしておけ。」
秀則は少し考えると頷いた。
「分かりました。」
秀則が陣を出て行こうとする。
「……秀則!」
が、秀信が呼び止めた。
「良いか。何があっても私はお前の味方だ。という事はお前は私の味方だ。我等兄弟、決して敵対することは無い。そうだな?」
「は、はい。」
秀信は語り続ける。
「この先、我等がどうなろうとも、お前は織田の血脈を守れ。良いな。」
「……兄上。一体何をしようとしてるのですか!?」
しかし、秀信は語らない。
すると、秀則はある事に気が付く。
「……兄上!……三郎殿は、祖父上は何処に居られるのですか!?」
「秀則様!」
すると、木造が秀則を抑える。
「秀則様。我が殿は心をお決めになられたのです。天下を、織田の手に取り返すと。」
「……ならば、ならば私も共に!」
「なりませぬ!」
そこで、百々も止めに入った。
「ここから先は危険な大博打。三郎殿の策があろうとも、成功するかどうかは分かりませぬ。その為、貴方様には生きてもらうのです。織田の血脈を守る為に!」
「……分かった。」
秀則は頷く。
「では、事が上手く運べば岐阜を取り返しまする。徳川父子が落ち延びたとあればすぐさま討ち取る為、出陣いたしまする。」
「……三郎は徳川と石田殿、両方が死ぬ事が大事だと言っていた。討ち漏らしてはならんぞ。」
「はっ!」
秀則は頭を下げると去って行った。
その後ろ姿は何処か不満気であった。
「……これで良かったのか?この後が最も大事な場面だと言うのに手勢を減らすような真似を……。」
「まぁ、杉江勘兵衛と松田重太夫は石田の家臣じゃ。連携を乱されるよりは良いだろう。」
「百々の言う通りだ。危険な大博打だからこそ、少しでも確実にしておきたいんだ。」
「殿!」
すると、伝令が駆け込んでくる。
「松尾山より狼煙が上がりました!」
「小早川を内応させたか。流石は三郎だ!」
秀信は伝令の言葉を聞くとすぐさま指示を出した。
「出陣じゃ!敵は石田三成!我等の手に天下を取り戻すぞ!まずは大谷吉継を討つ!我に続け!」
「「おお!」」
歴史が今、大きく変わろうとしていた。
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