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見えない攻防
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「成る程、その様に来るのか。」
「船で上陸すると見せかけ、薩摩に入る、か。」
如水と勘助は話し合う。
三郎の立てた策が漏れたのだ。
「うむ。中々面白い。だが、それも策の内だろうな。予定通り沿岸に兵を配置しよう。」
如水は裏の裏をかいた三郎の策を見抜いたのであった。
「船でくるのならば、そこで兵を減らしておきたいな……。少々勝手に動くぞ。」
「構わん。」
勘助は文を書く。
如水も信頼して任せていた。
「さて、毛利が寝返る気配は無いが、動きは止めた。豊臣方が四国を抑えるのを諦めたのならば……攻め所だな。鍋島直茂を四国へ送るか。」
鍋島直茂。
九州の大名、龍造寺家に仕えた軍師である。
龍造寺家の復権のために奔走した名軍師である。
「鍋島直茂が……信用しても良いのか?情勢次第では寝返るぞ。」
「あぁ、だが、龍造寺政家はこちらが抑えている。いわば人質だ。簡単には寝返らんだろう。」
龍造寺政家は黒田家の居城、中津城に実質的に幽閉されている。
鍋島直茂は龍造寺家の復興を約束に黒田に味方していた。
「加藤嘉明や藤堂高虎と共に四国を抑えてもらう。」
「さすれば、未だ動きを見せぬ小西行長も動くであろう。」
如水の言葉に勘助は頷く。
「四国が落ち、小西も寝返れば毛利もこちらにつく。か。さすれば残るは豊臣のみ。」
「そのためにも小早川を始めとする九州征伐軍を倒さなくてはな……。」
如水は考える。
「まぁ、その前に問題は島津だ。」
「うむ、あの者達はそう簡単には倒せん。加藤清正も流石に苦戦しているしな。」
賎ヶ岳七本槍の一人で熊本城を作った事でも知られる加藤清正は黒田に味方していた。
「さて、どうしたものか……。島津は後回しにして四国、中国に本腰を入れるのも面白いが……。」
如水は考える。
正直に言えば手が足りないのだ。
「征伐軍も策を張り巡らしている。油断は出来ぬな……。」
「安心しろ。」
如水の言葉に勘助は応える。
「俺は未来の知識が入ってる。向こうの陣営に俺たち二人に戦えるような軍師はいない。……真田は怖いが、今は東にいる。立花、島津義弘も同じく。策を講じるような相手はいない。」
「……油断は命取りだぞ。」
勘助の言葉に如水は違和感を覚える。
自分の知識が圧倒的であるという油断を感じだったのだ。
「儂であればその様には思わん。生まれ変わって、何を学んだかは知らんが、油断するとはらしく無いな。」
「……確かにな。」
勘助は軽く咳払いをし、文を書き続ける。
「未来で学んだ知識に敵う者はいないだろうと確かに油断していた。……らしく無い、か。」
「殿!文に御座います!」
すると、如水のもとに文が届けられる。
「うむ。」
如水はそれを受け取り、読む。
「……成る程、お前が気にしていた織田三郎は病に倒れたそうだ。」
「では出陣はどうなる?」
「予定通りに行われるらしい。恐らく、参加しないのだろうな。」
その報告を聞き、勘助は考える。
(例の三郎とやらが策を講じているのではとも思ったが……。気の所為だったか。)
すると勘助は筆を置く。
「よし、密偵も良く働いてくれているな。重畳だ。」
勘助は如水に指摘されたが、心のどこかでは油断していた。
勘助には老練な如水とは違い、落ち着きが無い。
転生の弊害が現れていたのだった。
「船で上陸すると見せかけ、薩摩に入る、か。」
如水と勘助は話し合う。
三郎の立てた策が漏れたのだ。
「うむ。中々面白い。だが、それも策の内だろうな。予定通り沿岸に兵を配置しよう。」
如水は裏の裏をかいた三郎の策を見抜いたのであった。
「船でくるのならば、そこで兵を減らしておきたいな……。少々勝手に動くぞ。」
「構わん。」
勘助は文を書く。
如水も信頼して任せていた。
「さて、毛利が寝返る気配は無いが、動きは止めた。豊臣方が四国を抑えるのを諦めたのならば……攻め所だな。鍋島直茂を四国へ送るか。」
鍋島直茂。
九州の大名、龍造寺家に仕えた軍師である。
龍造寺家の復権のために奔走した名軍師である。
「鍋島直茂が……信用しても良いのか?情勢次第では寝返るぞ。」
「あぁ、だが、龍造寺政家はこちらが抑えている。いわば人質だ。簡単には寝返らんだろう。」
龍造寺政家は黒田家の居城、中津城に実質的に幽閉されている。
鍋島直茂は龍造寺家の復興を約束に黒田に味方していた。
「加藤嘉明や藤堂高虎と共に四国を抑えてもらう。」
「さすれば、未だ動きを見せぬ小西行長も動くであろう。」
如水の言葉に勘助は頷く。
「四国が落ち、小西も寝返れば毛利もこちらにつく。か。さすれば残るは豊臣のみ。」
「そのためにも小早川を始めとする九州征伐軍を倒さなくてはな……。」
如水は考える。
「まぁ、その前に問題は島津だ。」
「うむ、あの者達はそう簡単には倒せん。加藤清正も流石に苦戦しているしな。」
賎ヶ岳七本槍の一人で熊本城を作った事でも知られる加藤清正は黒田に味方していた。
「さて、どうしたものか……。島津は後回しにして四国、中国に本腰を入れるのも面白いが……。」
如水は考える。
正直に言えば手が足りないのだ。
「征伐軍も策を張り巡らしている。油断は出来ぬな……。」
「安心しろ。」
如水の言葉に勘助は応える。
「俺は未来の知識が入ってる。向こうの陣営に俺たち二人に戦えるような軍師はいない。……真田は怖いが、今は東にいる。立花、島津義弘も同じく。策を講じるような相手はいない。」
「……油断は命取りだぞ。」
勘助の言葉に如水は違和感を覚える。
自分の知識が圧倒的であるという油断を感じだったのだ。
「儂であればその様には思わん。生まれ変わって、何を学んだかは知らんが、油断するとはらしく無いな。」
「……確かにな。」
勘助は軽く咳払いをし、文を書き続ける。
「未来で学んだ知識に敵う者はいないだろうと確かに油断していた。……らしく無い、か。」
「殿!文に御座います!」
すると、如水のもとに文が届けられる。
「うむ。」
如水はそれを受け取り、読む。
「……成る程、お前が気にしていた織田三郎は病に倒れたそうだ。」
「では出陣はどうなる?」
「予定通りに行われるらしい。恐らく、参加しないのだろうな。」
その報告を聞き、勘助は考える。
(例の三郎とやらが策を講じているのではとも思ったが……。気の所為だったか。)
すると勘助は筆を置く。
「よし、密偵も良く働いてくれているな。重畳だ。」
勘助は如水に指摘されたが、心のどこかでは油断していた。
勘助には老練な如水とは違い、落ち着きが無い。
転生の弊害が現れていたのだった。
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