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処遇
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「黒田殿を生かしておくつもりか!」
「如水殿は天下を取ろうと我が島津を始め、多くの者が被害を被っておりまする!豊臣の世を覆そうとしたのも許し難い!」
熊本城では現在、黒田如水を始めとした、如水に味方した勢力の処罰について話し合われていた。
長宗我部と島津が声を荒立てる。
しかし、その島津は豊久ではなく……。
「島津義久殿。いえ、今は龍伯殿でしたか。そちらの言い分も分かりまする。が、どうか矛を収めてはくれませぬか。」
島津龍伯。
島津義久とも名乗っていたこの人物は島津家の16代当主で関ヶ原で義弘が活躍していた頃、九州で戦っていた。
豊久の叔父でもある。
「しかし、この男のせいで多くの者が死んだ。」
「そうだ!島津殿の言う通りだ!小早川殿もこの男に殺されたような物!断じて許すわけには行かぬ!」
その言葉を聞き、三郎は反論する。
「ですが、小早川殿を暗殺したのも小野寺勘助という者の独断との事。その男はもう既に死んでおりまする。それに、確かに多くの者が死にましたが、それは戦の常。そのような事をいちいち言っていては器の大きさを疑われますぞ。」
三郎は強気に出た。
それは、小早川の代わりを務めるという三郎の意思表示でもあった。
「……如水殿は城下町にて起きた喧嘩に巻き込まれ、殺されかけた某を救ってくださりました。それに、あれ以上戦を続けていては更に多くの死人が出ます。それを防いだのも如水殿のご決断。ここはどうか、矛を収めて下され。……島津殿には所領を一カ国加増致しまする。それでどうか。」
「一カ国だと!?」
その三郎の言葉に龍伯は怒りを覚える。
「お主等が来るまでの間、黒田を抑えたのは儂等だぞ!関ヶ原でも我が島津は活躍した筈!たったのそれだけか!?」
「……では、九州の南半分。で、どうですかな?」
その三郎の言葉に龍伯は驚く。
「……たしかに、それは魅力的な提案だが……お主にそんな権限があるのか?」
「いえ。ですが、考えはありまする。此度の戦で勝てたのは我が策があっての事。あらゆる手を尽くして、南九州を島津殿の手に渡るよう、力を尽くしまする。……どうか、信じてはもらえませぬか。」
三朗が深く頭を下げる。
「わ、分かった!分かったから、頭を上げて下され!」
「……ありがとう御座いまする。では、黒田如水殿は蟄居という形で、我が織田の所領、岐阜にて悪さをせぬよう、目を光らせておきまする。二度とこのような事が出来ぬように。」
その三郎の提案に皆が頷く。
「残った北九州の大部分は龍造寺殿、黒田殿、今はおりませぬが、立花殿等で分け合うという形でよろしいでしょうか。」
「……三郎殿。そろそろ我が四国について話し合いたいのだが……。」
長宗我部のその言葉を聞き、三郎は頷いた。
「そうですな。某の調べによりますと、鍋島直茂殿のご活躍で藤堂高虎、加藤嘉明らは我が方に付き、宇喜多殿に当たっているとのことです。その軍勢には本国に残り、防衛に努めていた蜂須賀殿、生駒殿の父上方も混ざっているように御座いまする。」
「あ、あぁ。そうだが、その、所領についてだな……。」
長宗我部は申し訳無さそうに口を開く。
「……某は、長宗我部殿には四国一国をお任せしたいと思っておりまする。長宗我部殿程頼りになるお方はおりませぬ故。」
「三郎殿!それでは、我が蜂須賀の所領はどうなるのだ!」
「そうだ!我等生駒も納得が行かぬぞ!」
「毛利も……まぁ、我が安国寺ですが、四国には所領を有しておりまする。その辺りは、どうするおつもりで?」
生駒一正と蜂須賀至鎮が声を荒げる。
安国寺恵瓊もそれに加わり、意見する。
しかし、三郎は慌てずにそれを諌める。
「ご安心下され。お二人には馴染み深いであろう岐阜に近い場所をお任せしたいと思っておりまする。丁度、大谷殿の所領や石田殿の所領だった場所がまだ空白。元の所領よりも加増できるように調整してお任せしたいと考えておりまする。」
「う、うむ。」
三郎の的確な返しに二人は黙る。
「お二人には今後、豊臣政権の中枢を担う存在になってもらいたいのです。」
そう言われると二人は異論が無いのか、口を閉じた。
「それと、加藤清正殿なのですが……ずっと東軍に味方し、黒田にも付いたとあれば、加増はありえませぬ。ですが、加藤殿程の勇将。家を取り潰すのも申し訳無い。減封もしくは国替えという形がよろしいかと……。」
その提案に加藤清正は反論しない。
反論した所で、無駄だとわかっているからだ。
「さて、藤堂高虎、加藤嘉明殿らは元は東軍。されど、我が方に味方してくださった故、小早川殿や宇喜多殿の空いた所領に入ってもらいたいと考えておりますが……。それに、安国寺殿も宇喜多殿の所領に入ってもらいたいと思っておりまする。」
「宇喜多?まだ降伏しておらぬが……。」
長宗我部の言葉に三郎は答える。
「すぐにでも、降伏してくるでしょう。小西殿もどうやら動き始めたようですしな。」
「如水殿は天下を取ろうと我が島津を始め、多くの者が被害を被っておりまする!豊臣の世を覆そうとしたのも許し難い!」
熊本城では現在、黒田如水を始めとした、如水に味方した勢力の処罰について話し合われていた。
長宗我部と島津が声を荒立てる。
しかし、その島津は豊久ではなく……。
「島津義久殿。いえ、今は龍伯殿でしたか。そちらの言い分も分かりまする。が、どうか矛を収めてはくれませぬか。」
島津龍伯。
島津義久とも名乗っていたこの人物は島津家の16代当主で関ヶ原で義弘が活躍していた頃、九州で戦っていた。
豊久の叔父でもある。
「しかし、この男のせいで多くの者が死んだ。」
「そうだ!島津殿の言う通りだ!小早川殿もこの男に殺されたような物!断じて許すわけには行かぬ!」
その言葉を聞き、三郎は反論する。
「ですが、小早川殿を暗殺したのも小野寺勘助という者の独断との事。その男はもう既に死んでおりまする。それに、確かに多くの者が死にましたが、それは戦の常。そのような事をいちいち言っていては器の大きさを疑われますぞ。」
三郎は強気に出た。
それは、小早川の代わりを務めるという三郎の意思表示でもあった。
「……如水殿は城下町にて起きた喧嘩に巻き込まれ、殺されかけた某を救ってくださりました。それに、あれ以上戦を続けていては更に多くの死人が出ます。それを防いだのも如水殿のご決断。ここはどうか、矛を収めて下され。……島津殿には所領を一カ国加増致しまする。それでどうか。」
「一カ国だと!?」
その三郎の言葉に龍伯は怒りを覚える。
「お主等が来るまでの間、黒田を抑えたのは儂等だぞ!関ヶ原でも我が島津は活躍した筈!たったのそれだけか!?」
「……では、九州の南半分。で、どうですかな?」
その三郎の言葉に龍伯は驚く。
「……たしかに、それは魅力的な提案だが……お主にそんな権限があるのか?」
「いえ。ですが、考えはありまする。此度の戦で勝てたのは我が策があっての事。あらゆる手を尽くして、南九州を島津殿の手に渡るよう、力を尽くしまする。……どうか、信じてはもらえませぬか。」
三朗が深く頭を下げる。
「わ、分かった!分かったから、頭を上げて下され!」
「……ありがとう御座いまする。では、黒田如水殿は蟄居という形で、我が織田の所領、岐阜にて悪さをせぬよう、目を光らせておきまする。二度とこのような事が出来ぬように。」
その三郎の提案に皆が頷く。
「残った北九州の大部分は龍造寺殿、黒田殿、今はおりませぬが、立花殿等で分け合うという形でよろしいでしょうか。」
「……三郎殿。そろそろ我が四国について話し合いたいのだが……。」
長宗我部のその言葉を聞き、三郎は頷いた。
「そうですな。某の調べによりますと、鍋島直茂殿のご活躍で藤堂高虎、加藤嘉明らは我が方に付き、宇喜多殿に当たっているとのことです。その軍勢には本国に残り、防衛に努めていた蜂須賀殿、生駒殿の父上方も混ざっているように御座いまする。」
「あ、あぁ。そうだが、その、所領についてだな……。」
長宗我部は申し訳無さそうに口を開く。
「……某は、長宗我部殿には四国一国をお任せしたいと思っておりまする。長宗我部殿程頼りになるお方はおりませぬ故。」
「三郎殿!それでは、我が蜂須賀の所領はどうなるのだ!」
「そうだ!我等生駒も納得が行かぬぞ!」
「毛利も……まぁ、我が安国寺ですが、四国には所領を有しておりまする。その辺りは、どうするおつもりで?」
生駒一正と蜂須賀至鎮が声を荒げる。
安国寺恵瓊もそれに加わり、意見する。
しかし、三郎は慌てずにそれを諌める。
「ご安心下され。お二人には馴染み深いであろう岐阜に近い場所をお任せしたいと思っておりまする。丁度、大谷殿の所領や石田殿の所領だった場所がまだ空白。元の所領よりも加増できるように調整してお任せしたいと考えておりまする。」
「う、うむ。」
三郎の的確な返しに二人は黙る。
「お二人には今後、豊臣政権の中枢を担う存在になってもらいたいのです。」
そう言われると二人は異論が無いのか、口を閉じた。
「それと、加藤清正殿なのですが……ずっと東軍に味方し、黒田にも付いたとあれば、加増はありえませぬ。ですが、加藤殿程の勇将。家を取り潰すのも申し訳無い。減封もしくは国替えという形がよろしいかと……。」
その提案に加藤清正は反論しない。
反論した所で、無駄だとわかっているからだ。
「さて、藤堂高虎、加藤嘉明殿らは元は東軍。されど、我が方に味方してくださった故、小早川殿や宇喜多殿の空いた所領に入ってもらいたいと考えておりますが……。それに、安国寺殿も宇喜多殿の所領に入ってもらいたいと思っておりまする。」
「宇喜多?まだ降伏しておらぬが……。」
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