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江戸潜入
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「殿、人が多いですな」
「馬鹿、殿と呼ぶな。三郎も駄目だぞ……そうだな、適当に太郎とでも呼んでくれ」
三郎達率いる大垣衆で形成された少数精鋭の前田まつ救出隊は江戸に到達した。
目標はまつだけではなく徳川に人質として取られている者達全員であった。
「人質は皆、江戸城内の一角に集められているとの事です。入り込めさえすれば纏めて助け出せまする」
「……しかし、人が多いな」
江戸の城下町には溢れんばかりの人がおり、活気に満ち溢れていた。
が。
「……どこか、暗いな」
待ち行く人々の顔は何処か暗かった。
原因は明らかである。
「もうすぐ江戸に敵が来ると噂が広まっておりまする」
「それに、東海道や中山道を攻め上がった軍によって難を逃れた民達が江戸に集まっているしな今にも江戸が火の海になるのではと恐れているんだ」
三郎は虎助達大垣衆の面々と共に宿に入る。
そこには先に潜入していた大垣衆の人間達が居た。
「おお、三郎様! お待ちしておりましたぞ!」
「待て。俺の事は太郎と呼べ。虎助、徹底させろ」
虎助と大垣衆の面々は頷く。
そして、三郎は予め用意されていた部屋に行く。
「さて、江戸の状況はどうだ?」
「は。どうやら、徳川は戦支度を整えているようです」
その言葉に三郎は反応する。
「何処とだ? 上杉や伊達に備えてか?」
「いえ、はっきりとは分かりませぬが、伊達や上杉に対応していた兵達が戻って来ており、続々と江戸城に入っておりまする」
密偵はそのまま続ける。
「今現在、戻ってきた兵達の為か、戦をするためなのかは分かりませぬが、兵糧を集めております」
「……それだな」
三郎は頷く。
「城に兵糧を入れる商人に成りすます。城内に入れば敵の狙いも分かりやすくなる筈だ。虎助、手配してくれ」
「は」
「そちらにつきましては、既に調達しております」
密偵の一人が言う。
「そう言われるかと思いまして、兵糧を独自に入手しました!」
「おお! 良くやった! 早速商人に成りすます支度を整えろ!」
三郎は立ち上がり、その場をあとにしようとする。
「と……太郎様。どちらへ行かれるので?」
「……少しな。一人で良い。支度が整い次第始める。急げよ」
虎助の問いに答え、三郎はそのまま宿を出る。
そして、遠くに見える江戸城を見つめる。
「……あそこに、天海がいるのか……。少し、調べてみるか」
三郎は待ち行く人々に南光坊天海について聞いた。
しかし、あの有名な説を裏付ける物は見つからなかった。
が、一つ。
かつては京に暮らしていたという人から話を聞けた。
「あの人……何処かで見た事ある気がするんだよ……ほら、昔織田家に仕えてた……ええと……誰だったか……まぁともかく、誰かに似てる気がねぇ?」
その言葉は、三郎を動かす理由になった。
三郎は決意する。
「……ならば、確かめる他は無い。な」
「馬鹿、殿と呼ぶな。三郎も駄目だぞ……そうだな、適当に太郎とでも呼んでくれ」
三郎達率いる大垣衆で形成された少数精鋭の前田まつ救出隊は江戸に到達した。
目標はまつだけではなく徳川に人質として取られている者達全員であった。
「人質は皆、江戸城内の一角に集められているとの事です。入り込めさえすれば纏めて助け出せまする」
「……しかし、人が多いな」
江戸の城下町には溢れんばかりの人がおり、活気に満ち溢れていた。
が。
「……どこか、暗いな」
待ち行く人々の顔は何処か暗かった。
原因は明らかである。
「もうすぐ江戸に敵が来ると噂が広まっておりまする」
「それに、東海道や中山道を攻め上がった軍によって難を逃れた民達が江戸に集まっているしな今にも江戸が火の海になるのではと恐れているんだ」
三郎は虎助達大垣衆の面々と共に宿に入る。
そこには先に潜入していた大垣衆の人間達が居た。
「おお、三郎様! お待ちしておりましたぞ!」
「待て。俺の事は太郎と呼べ。虎助、徹底させろ」
虎助と大垣衆の面々は頷く。
そして、三郎は予め用意されていた部屋に行く。
「さて、江戸の状況はどうだ?」
「は。どうやら、徳川は戦支度を整えているようです」
その言葉に三郎は反応する。
「何処とだ? 上杉や伊達に備えてか?」
「いえ、はっきりとは分かりませぬが、伊達や上杉に対応していた兵達が戻って来ており、続々と江戸城に入っておりまする」
密偵はそのまま続ける。
「今現在、戻ってきた兵達の為か、戦をするためなのかは分かりませぬが、兵糧を集めております」
「……それだな」
三郎は頷く。
「城に兵糧を入れる商人に成りすます。城内に入れば敵の狙いも分かりやすくなる筈だ。虎助、手配してくれ」
「は」
「そちらにつきましては、既に調達しております」
密偵の一人が言う。
「そう言われるかと思いまして、兵糧を独自に入手しました!」
「おお! 良くやった! 早速商人に成りすます支度を整えろ!」
三郎は立ち上がり、その場をあとにしようとする。
「と……太郎様。どちらへ行かれるので?」
「……少しな。一人で良い。支度が整い次第始める。急げよ」
虎助の問いに答え、三郎はそのまま宿を出る。
そして、遠くに見える江戸城を見つめる。
「……あそこに、天海がいるのか……。少し、調べてみるか」
三郎は待ち行く人々に南光坊天海について聞いた。
しかし、あの有名な説を裏付ける物は見つからなかった。
が、一つ。
かつては京に暮らしていたという人から話を聞けた。
「あの人……何処かで見た事ある気がするんだよ……ほら、昔織田家に仕えてた……ええと……誰だったか……まぁともかく、誰かに似てる気がねぇ?」
その言葉は、三郎を動かす理由になった。
三郎は決意する。
「……ならば、確かめる他は無い。な」
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