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保険
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「成実殿。片倉殿。よくぞ、この信包の話を聞いてくれる気になりましたな」
「津軽殿から話は聞いておる。三郎を討ち取るとな。そうでなければ話など聞かぬわ」
成実と片倉景綱は信包と会っていた。
津軽為信との密談は、志を同じくする伊達成実と片倉景綱にも津軽為信を通じて知らされており、計画の準備は着々と進んでいた。
しかし、両名は何をすれば良いのかは知らされていなかった。
「さて、我らに何をさせたいのかな?」
「ええ、津軽殿が事を起こした折、大阪にて秀頼公を保護し、三郎のやろうとしている悪行を元に大義名分を得るのです。大阪城内にいる伊達様の軍は一万。難攻不落の大阪城と言えど、内からならば容易に落とせまする」
成実と景綱は静かに信包の話を聞いていた。
「豊臣方の兵はじきに去りまする。さすれば、被害も無く大阪を落とせまする。後は津軽殿と協力し伊達殿を救い出し、畿内を抑え、抵抗する者等を倒し、豊臣に対して未だに抵抗を続ける徳川と奥州の者と連携して政宗殿の天下と致しまする」
「成る程……天海殿もお救いできれば心強い、か」
成実がそう言うと、景綱も口を開いた。
「信包殿。あなたの願いは三郎の死、そしてその先は……」
「太平の世、にございまする」
信包は続ける。
「正直に申し上げれば誰の天下でも良いのです。長らく戦を続けたこの日の本は疲れ果てておりまする。もう、血を流すのは良いかと思いまするが、三郎が天下を治めるようになればかつての太閤殿下のように朝鮮へ出兵をするやもしれませぬ。それは、あってはならぬこと」
信包の言葉に二人は頷く。
「本当に、天下人は三郎以外の誰でも良いのか? 秀頼公でなくても」
「無論に御座います。秀頼公を確保せよと申したのはそれが天下へ最も近い道だからにございまする。三郎は豊臣の家臣としての立場を利用して地位を高め、政権を掌握するつもりにございまする。その三郎のやろうとしている事を伊達様にやってもらうのです。伊達様ならば、天下を良く治めてくれるでしょうな」
その信包の言葉に納得したのか、成実は頷いた。
「……分かった。その話、受けよう。事が起こった暁には我らの手勢で大阪を抑え、秀頼公を確保する。大義名分を下に豊臣方の将兵を味方につけ、抵抗をするであろう織田方を滅しよう」
「……しかし成実様。危険過ぎはしませぬか?」
景綱が意見する。
「このままありのままを受け入れれば伊達の家名は守られまする。もしこのまま事をお越し、失敗すれば伊達家は滅びまするぞ」
「……されど、既に津軽殿は支度を整えておる。今からやめるように行っても止まるような人ではないぞ」
二人は互いに暫くの間論議を繰り広げる。
暫く続いた後、納得したのか景綱は静かになった。
「……では、信包殿。津軽殿に合わせて動くとしよう」
「ありがとうございまする。そして、それに当たり我が息子を二人おつけいたしまする。」
「おお、左様にございますか!」
信包は頷く。
「我が息子たちは非常に優秀。必ずや、お役に立ってくれるでしょう」
「うむ。頼りにしておるぞ」
信包と両名の密談は終わった。
後に、信包の保険がうまく作動する事になる。
「津軽殿から話は聞いておる。三郎を討ち取るとな。そうでなければ話など聞かぬわ」
成実と片倉景綱は信包と会っていた。
津軽為信との密談は、志を同じくする伊達成実と片倉景綱にも津軽為信を通じて知らされており、計画の準備は着々と進んでいた。
しかし、両名は何をすれば良いのかは知らされていなかった。
「さて、我らに何をさせたいのかな?」
「ええ、津軽殿が事を起こした折、大阪にて秀頼公を保護し、三郎のやろうとしている悪行を元に大義名分を得るのです。大阪城内にいる伊達様の軍は一万。難攻不落の大阪城と言えど、内からならば容易に落とせまする」
成実と景綱は静かに信包の話を聞いていた。
「豊臣方の兵はじきに去りまする。さすれば、被害も無く大阪を落とせまする。後は津軽殿と協力し伊達殿を救い出し、畿内を抑え、抵抗する者等を倒し、豊臣に対して未だに抵抗を続ける徳川と奥州の者と連携して政宗殿の天下と致しまする」
「成る程……天海殿もお救いできれば心強い、か」
成実がそう言うと、景綱も口を開いた。
「信包殿。あなたの願いは三郎の死、そしてその先は……」
「太平の世、にございまする」
信包は続ける。
「正直に申し上げれば誰の天下でも良いのです。長らく戦を続けたこの日の本は疲れ果てておりまする。もう、血を流すのは良いかと思いまするが、三郎が天下を治めるようになればかつての太閤殿下のように朝鮮へ出兵をするやもしれませぬ。それは、あってはならぬこと」
信包の言葉に二人は頷く。
「本当に、天下人は三郎以外の誰でも良いのか? 秀頼公でなくても」
「無論に御座います。秀頼公を確保せよと申したのはそれが天下へ最も近い道だからにございまする。三郎は豊臣の家臣としての立場を利用して地位を高め、政権を掌握するつもりにございまする。その三郎のやろうとしている事を伊達様にやってもらうのです。伊達様ならば、天下を良く治めてくれるでしょうな」
その信包の言葉に納得したのか、成実は頷いた。
「……分かった。その話、受けよう。事が起こった暁には我らの手勢で大阪を抑え、秀頼公を確保する。大義名分を下に豊臣方の将兵を味方につけ、抵抗をするであろう織田方を滅しよう」
「……しかし成実様。危険過ぎはしませぬか?」
景綱が意見する。
「このままありのままを受け入れれば伊達の家名は守られまする。もしこのまま事をお越し、失敗すれば伊達家は滅びまするぞ」
「……されど、既に津軽殿は支度を整えておる。今からやめるように行っても止まるような人ではないぞ」
二人は互いに暫くの間論議を繰り広げる。
暫く続いた後、納得したのか景綱は静かになった。
「……では、信包殿。津軽殿に合わせて動くとしよう」
「ありがとうございまする。そして、それに当たり我が息子を二人おつけいたしまする。」
「おお、左様にございますか!」
信包は頷く。
「我が息子たちは非常に優秀。必ずや、お役に立ってくれるでしょう」
「うむ。頼りにしておるぞ」
信包と両名の密談は終わった。
後に、信包の保険がうまく作動する事になる。
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