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秀信の決意
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「良くぞ決心なさった。後はごゆるりとされよ」
「はは!」
徳川の残党からの使者は頭を下げるとその場を後にする。
未だに抵抗を続けていた徳川の残党は織田秀信の関東攻め、そして北条と小田等の蜂起により降伏。
徳川は豊臣の軍門に降った。
「これで、天下は落ち着いたな」
「ええ、東北も如水殿が良く働いてくれたようで、じきに落ち着いて来るでしょうな」
秀信と秀則は話し合う。
第二次関ヶ原が終わってから秀則が三郎の代わりに豊臣の手勢を率いて関東へ向かっていた。
「兄上。三郎から何か知らせはありましたか?」
「いや、今の所は何も。連絡もないという事は策を弄しているわけでも無いのだろう」
「殿」
すると、二人の元に百々綱家が入り込んでくる。
その手には文が握られていた。
「文でございまする」
「誰からだ?」
「恐らくは三郎殿から。大垣衆の者が持ってきました」
秀信は文を受け取る。
「一体何だと言うのだ……」
秀信は文を読んでいく。
そして、読んでいくに連れて少しずつ手が震えていく。
「……」
秀信は文を落とす。
秀信は立ち上がろうとするが足に力が入らなかったのか、転んで尻餅をついてしまう。
「あ、兄上! 一体……」
そこで、秀則は文を拾う。
そしてそれを読む。
「……そんな……三郎が? それに、大阪も落ちたと言うのか……信じられん……」
「そ、それは本当ですか!?」
その秀則の言葉に綱家も反応する。
「い、いや。信じられぬ。あやつがそう簡単に死ぬ訳が……」
「……いいえ、誠にございまする」
すると、陣中に勘助が現れる。
「全ては三郎の策。織田家の天下の為の策にござきまする」
「……何だと?」
秀信はフラフラと立ち上がり、勘助の肩を掴む。
「お主は知っておったのか!? 何故何もしなかった!」
「これは一方的に知らせて来た事。私には止める止めないについては何も出来無かった。それだけにございまする」
すると、その言葉に秀則が反応する。
「……止める止めないについては? という事は、何かは出来たのだな? いや、したのだな?」
勘助は頷く。
「いいえ、これからするのです」
勘助は続ける。
「これは織田家の天下のための策と申し上げた筈。三郎が命をかけて考え抜いた最後の策。私の役目はあなたを挫けさせぬ事」
今度は勘助が秀信の肩を掴む。
真っ直ぐ、秀信の目を見つめて言う。
「此度の三郎の策を知っている者はごくわずか。織田信包殿。真田昌幸殿、そして如水に私。それぞれが役目を持ってこの策を成し遂げようとしておりまする。皆が、織田家の天下の為に!」
しかし勘助には思う所があった。
(真田は信用ならんが……あれだけの所領を与えたのだ。大丈夫だろう。……もし敵側につけば大阪との連絡線を絶たれるが……)
しかしもう引き返す事は出来ない。
その勘助の気迫に秀信は決意を固める。
「……分かった」
秀信は勘助から離れ、少し考える。
そして、口を開いた。
「三郎の最後の願いを叶えよう。織田家の天下のために……勘助! 策を聞かせよ! この俺が、天下を取る!」
織田家の天下取りが、始まろうとしていた。
「はは!」
徳川の残党からの使者は頭を下げるとその場を後にする。
未だに抵抗を続けていた徳川の残党は織田秀信の関東攻め、そして北条と小田等の蜂起により降伏。
徳川は豊臣の軍門に降った。
「これで、天下は落ち着いたな」
「ええ、東北も如水殿が良く働いてくれたようで、じきに落ち着いて来るでしょうな」
秀信と秀則は話し合う。
第二次関ヶ原が終わってから秀則が三郎の代わりに豊臣の手勢を率いて関東へ向かっていた。
「兄上。三郎から何か知らせはありましたか?」
「いや、今の所は何も。連絡もないという事は策を弄しているわけでも無いのだろう」
「殿」
すると、二人の元に百々綱家が入り込んでくる。
その手には文が握られていた。
「文でございまする」
「誰からだ?」
「恐らくは三郎殿から。大垣衆の者が持ってきました」
秀信は文を受け取る。
「一体何だと言うのだ……」
秀信は文を読んでいく。
そして、読んでいくに連れて少しずつ手が震えていく。
「……」
秀信は文を落とす。
秀信は立ち上がろうとするが足に力が入らなかったのか、転んで尻餅をついてしまう。
「あ、兄上! 一体……」
そこで、秀則は文を拾う。
そしてそれを読む。
「……そんな……三郎が? それに、大阪も落ちたと言うのか……信じられん……」
「そ、それは本当ですか!?」
その秀則の言葉に綱家も反応する。
「い、いや。信じられぬ。あやつがそう簡単に死ぬ訳が……」
「……いいえ、誠にございまする」
すると、陣中に勘助が現れる。
「全ては三郎の策。織田家の天下の為の策にござきまする」
「……何だと?」
秀信はフラフラと立ち上がり、勘助の肩を掴む。
「お主は知っておったのか!? 何故何もしなかった!」
「これは一方的に知らせて来た事。私には止める止めないについては何も出来無かった。それだけにございまする」
すると、その言葉に秀則が反応する。
「……止める止めないについては? という事は、何かは出来たのだな? いや、したのだな?」
勘助は頷く。
「いいえ、これからするのです」
勘助は続ける。
「これは織田家の天下のための策と申し上げた筈。三郎が命をかけて考え抜いた最後の策。私の役目はあなたを挫けさせぬ事」
今度は勘助が秀信の肩を掴む。
真っ直ぐ、秀信の目を見つめて言う。
「此度の三郎の策を知っている者はごくわずか。織田信包殿。真田昌幸殿、そして如水に私。それぞれが役目を持ってこの策を成し遂げようとしておりまする。皆が、織田家の天下の為に!」
しかし勘助には思う所があった。
(真田は信用ならんが……あれだけの所領を与えたのだ。大丈夫だろう。……もし敵側につけば大阪との連絡線を絶たれるが……)
しかしもう引き返す事は出来ない。
その勘助の気迫に秀信は決意を固める。
「……分かった」
秀信は勘助から離れ、少し考える。
そして、口を開いた。
「三郎の最後の願いを叶えよう。織田家の天下のために……勘助! 策を聞かせよ! この俺が、天下を取る!」
織田家の天下取りが、始まろうとしていた。
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