【祝!完結!】第六天魔王、織田信長、再臨す 〜関ヶ原から始める織田家再興物語〜 

中村幸男

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山崎の合戦

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「かかれ!」
 
 立花宗茂隊が攻めかかる。
 それに対して伊達方、水野勝成が対応する。
 
「西国無双が相手でも、この鬼日向はそう簡単には止められぬぞ!」
 
 両者の勢い凄まじく、一進一退の攻防を繰り広げる。
 しかし。
 
「……そろそろ頃合いか……」
 
 水野勝成は後方を気にしつつ、指揮をする。
 
「引くぞ!」
 
 水野勢は少しずつ兵を引いていく。
 その行動に宗茂は不信感を抱く。
 
「……殿。如何がなさいますか?」
「……追うぞ」
 
 宗茂は天王山を見つつ言う。
 
「我らが前進すれば後続の軍が山崎に入る。さすれば、天王山を二方面から攻められる。我等は敵本隊を相手にしつつ、後続の軍に天王山を攻め落としてもらおう」
「はっ! たとえこれが罠でも我等は負けませぬ!」
 
 立花勢の士気は高い。
 前哨戦で活躍できなかった分、気合が入っていたのだった。
 
「突っ込め!」
 
 立花宗茂の号令で立花勢は一斉に仕掛ける。
 すると、敵は抗戦せずに後退していく。
 
「やはり誘ってるか……」
「如何なさいますか?」
 
 宗茂は少し考えてから口を開く。
 
「構わん。攻め続ける」
「はっ!」
 
 そして、隘路を抜け、平野部が広がる。
 すると、そこには石田、大谷、水野勢が広く布陣していた。
 立花勢は囲まれた。
 
「くっ! 不利か……されど!」 
「かかれ! 一気に押し潰せ!」
 
 立花勢の足が止まる。
 後方には島津勢が押し寄せてきており、立花勢は引くに退けなかった。
 
「西国無双の力を見せてやろう! かかれ!」
 
 立花宗茂が自ら先頭に立ち、槍を振るう。
 その様子を見た立花兵も宗茂に続いた。
 立花勢は劣勢をもろともせず、敵兵をなぎ倒していく。
 
「な……これが西国無双か!」
「大谷殿! この水野勝成が西国無双を押さえまする! その隙に雑兵を倒してくだされ!」
 
 水野勝成が西国無双、立花宗茂の前に立つ。
 
「……少し舐めておった。まさかここまで不利に立たされるとはな……」
「この鬼日向がいる限り、そう簡単には負けはせぬ。立花宗茂殿。お手合わせ願おう」
 
 互いに武器を構える。
 雑兵達は二人の一騎討ちに手は出さなかった。
 しかし。
 
「かかれ!」
 
 横槍を入れる者達が現れる。
 
「何事だ!?」
「ちっ! 邪魔をしやがって! 一体誰だ!」
 
 水野勝成と立花宗茂も異変を察知する。
 
「水野様! 後方より敵勢が!」
「何だと!? 一体誰の部隊だ!?」
 
 水野勝成の元に伝令が駆け寄る。
 
「は! 加藤清正、鍋島直茂、龍造寺ら、大阪にて取り逃がした者等にございまする! その数二万!」
 
 天王山に陣取るは三万。
 水野勝成ら本隊が率いるのは四万程。
 対して立花宗茂が率いるのは三万。
 しかし伊達方の背後に突如として二万の敵が現れた。
 
「くっ! 耐えよ! 天王山の南部殿達が撤退するまで時間を稼ぐぞ!」
 
 伊達方は完全に退路を断たれたわけでは無かった。
 しかし、ここで石田勢ら後退すれば天王山の南部勢が取り残される。
 引くわけには行かなかった。
 
「水野殿……決着は、大阪にてつけましょうぞ」
「……相分かった」
 
 水野勝成はその場を後にする。
 山崎の合戦は双方大きな被害が無いまま、終結した。
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